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THORENS  TD2001 
 


ナターシャの ワルツの針音

もっとも好きなワルツは「ナターシャのワルツ」だ。
不幸にもあまり知られていないが、ま、いずれは20世紀のクラシック音楽のひとつとして残るのではないだろうか・・・・・・
オードリー・ヘップバーンとヘンリー・フォンダとメル・ファーラーの「戦争と平和」カルロ・ポンティ監督・1956年の音楽だ。
作曲はニーノ・ロータ、オリジナル・サウンドトラックのシングル盤とLPがあった。
わたしはこのシングルを異常に偏愛し、繰り返し聴くからスクラッチがふえ、
やがてスクラッチの合間から聞こえるようになるが、それがノスタルジックでいいと感じるほど惚れていた。
1981年にグリニッジ・ヴィレッジで幻のこのLPを探しあてる。傷みも少なかった。
これを棚に収めたときわたしのフィフティーズがやっと終わった・・・・・そんな実感があった。
このまえ六本木でおなじLPのCD版を見つけ、ひざびさに心が騒いだ。
でも音を聴いて愕然とした! フィフティーズの暖かさや音の切れ込みが失われていた!・・・・・
救いを求めるようにあの古いシングルをトーレンスにのせて針を下ろしてみる・・・・・
(そう、これがナターシャのワルツなんだ!)
・・・・・私は「ホッ」と胸をなでおろす・・・・・
気のせいかスクラッチもまえより少なくなったように感じられた。