LUXMAN E-06a
 


「本当のこと言おうか、
僕は僕自身のために曲を書いているんだ」モーツァルトの音楽美学のすべてが
この一言に結晶している。彼にとって音楽は、ダンスの付属物ではなく、神に奉仕
する捧げものでもない。ましてや自己の思想を表明する道具でもなかった。音楽が
音楽として自律する。観念という夾雑物をまとわず、ひたすら純粋であり続ける。
そこに浮かび上がる楽の音こそ、自分のための真実の音楽だったのだ。晩年、演奏
会の回数は減り、移り気なウィーンの大衆はモーツァルトから離れつつあった。
生活はさらに困窮をきわめた。しかしそうした葛藤をみじんも感じさせぬほど、
作品はいよいよ純粋さを深めていく。「弦楽三重奏のためのディベルティメント」
の透明な調べに、無垢の心を聴こう。モーツァルト、それは美しい純潔への戒律。


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