山本音響工芸 A-04
¥980,000(2000年代前半頃)
解説
ヨーロッパの直熱5極出力管PT-15を使用したシングルステレオ方式のパワーアンプ。
PT-15は分類としては送信管として扱われる真空管ですがオーディオ用としても優れた性能と音質を持っています。プレート容量は30W、スクリーングリッド損失は15Wあるため、全体のパワー容量としてはウエスタンエレクトリックの300Bと同等の許容損失を持っています。
A-04ではPT-15を直結方式で駆動しており、5極管接続で約10Wの出力を得ています。
直結方式にはロフチンホワイト方式と呼ばれる回路構成を採用しています。
この方式では初段の増幅管に流れる電流をそのまま出力管のドライブ用のバイアスとして使用するシンプルな構造となっています。その間にはカップリングコンデンサやトランスなども使用せず2本の真空管のみで増幅回路を構成できるため、ピュアでストレートな回路を実現しています。
A-04の初段にはウエスタンエレクトリックの小信号用直熱5極管WE373Aを採用しており、増幅回路を直熱管のみで構成することでよりクリアな音を追求しています。
電源回路にはレギュレーションに優れた水銀整流管RCA83を2本使用しており、プレート回路とスクリーングリッド回路を分離して独立した電源回路としてエネルギーを供給しています。これにより5極管の性能を引き出しています。
また、フィルターコンデンサーには応答速度の優れた低歪率ポリプロピレンフィルムコンデンサーを採用しています。
A-03やY-300SSに採用されたテフロン絶縁のオリジナル無共振チューブソケットの採用や、テフロン絶縁によって巻かれた超大型カットコア出力トランスの採用、テフロンチューブを通して全面に使用した1.6mm径6N銅線による配線などの山本音響工芸のノウハウが施されています。
PT-15はトッププレートの真空管で高圧端子が外部に出ているため、安全のために保護カバーを備えています。
このカバーは大きなアールを設けると共にシャンパンゴールドのメッキが施されています。
機種の定格
型式 | 管球式ステレオパワーアンプ |
最大出力 | 10W+10W |
周波数特性 | 15Hz~40kHz |
入力インピーダンス | 200kΩ |
使用真空管 | PT-15x2本 WE373Ax2本 RCA83x2本 |
外形寸法 | 幅520x高さ260x奥行280mm |
重量 | 25kg |