オーディオの足跡

PR:YAMAHAの製品をヤフオク!で検索
PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

T-8の画像
 解説 

T-6に採用されたSLLシンセサイザ方式をリファインしたCSL(コンピュータサーボロックド)シンセサイザシステムを採用したFM/AMチューナー。

新開発のCSLシンセサイザシステムを搭載することで、デジタルの操作性の良さと、アナログの受信性能・音質の良さを両立させてます。
この回路では、0.01MHzの桁まで制御する高分解能PLLシンセサイザと、高忠実度・高妨害排除特性を両立したFMアナログサーボチューニングシステムとを、受信状態に応じてコンピューターがコントロールしています。
CSLシステムは、ステップ選局とプリセット選局時の呼び出し時はPLL動作なので非常に正確であり、また、わずかでも入力信号があればアナログサーボ動作に切換り、IF帯域の中心点にロックされます。この時にはPLL動作が停止するため低周波部と高周波部への妨害が殆どゼロとなります。また、PLLシステム部の基準周波数は100Hzなため、周波数の瀬って、読み込みは0.01MHz単位で行うことができます。さらにIFのオフセットを10kHz単位の精度でアジャストできるため、同調点をより厳密に追い込むことができます。

10局のランダムアクセスメモリ機能を搭載しており、FM/AM合計10局までプリセットが可能です。
メモリには、電源を切った場合も内容が消えない不揮発性メモリを採用しており、バックアップ用バッテリーを使わずに半永久的にメモリ内容が保持されます。

2種類のチューニングモードを搭載しており、オート時には放送局が見つかるまで同調周波数をUPあるいはDOWNし続け、マニュアル時はTuningボタンを押している間だけ100kHzステップで周波数が変化します。

ラストプリセットチャンネルフラッシングを搭載しています。
新しい局をメモリする際に、メモリボタンを押すと最後に記憶したチャンネルがフラッシングするため、同じ局を重複してメモリしたり、メモリした曲を消すことがありません。

電源ON時に受信できる曲をメモリできるイニシャルステーションセット機能を搭載しています。

フロントエンド部は、4連ツインバラクタダイオードとデュアルMOS FETを採用し、アンテナ回路をシングルチューンに、段間をダブルチューンにすることで各種の妨害排除特性の向上を図ったRFアンプ、FETバッファ付きローカルオシレータ、バイポーラ幹さ回路により構成されています。
また、高感度・高妨害排除特性を実現するため、新開発のRFサーボゲインコントローラを採用しています。この回路は、RFアンプに対してのゲインの制御を行うもので、妨害の無い時にはRFゲインを最大にして高感度受信を可能にし、妨害がある時には、その妨害に応じて受信状態が裁量になるようにRFゲインを自動的に制御しています。

IF段は、ヤマハ独自の微分利得直視解析法の導入などによって高妨害排除特性とオーディオ特性の両立を実現した低損失ユニレゾナンスセラミックフィルタと、リミッタ特性に優れた差動IFアンプによって構成されています。また、IF帯域の自動切換え回路としてAuto-DX回路を採用しており、受信状態に応じて最適な受信を実現しています。
Local-IF段は低損失ユニレゾナンスセラミックフィルタ2素子で構成されており、25dBという通常の使用に十分な選択度を得るとともに、優れたオーディオ特性を得ています。また、DX-IF段は低損失ユニレゾナスセラミックフィルタ5素子で構成されており、実効選択度85dBという高選択度を実現してます。
Auto-DX回路では、受信電波に対する妨害の有無を電子的に検出し、自動的にIF回路のモード(Local-DX)を選択しています。

検波回路にはウルトラリニアダイレクトディテクタを採用しています。
このウルトラリニアダイレクトディレクタは、FM100%変調時に相当する帯域幅150kHz(P-PF)に対して、1200kHz(P-P)という広帯域にわたってリニアな検波特性を持っており、帯域内での微分利得偏差も極めて少ない優れたものとなっています。このウルトラリニアダイレクトディテクタは、IFの10.7MHzの信号を、パルスカウント検波のようにビートダウンせずにダイレクト検波しているため、情報伝送能力はパルスカウント検波に比べて5倍~10倍となっています。

MPXデコーダ部にはリアルタイムC-MOSデコーダを採用しています。
この回路は、一対のC-MOS双方向アナログスイッチと、対称オープンコレクタタイプの超高速での負荷安定度を重視したハイスルーレートDC NFBアンプとで片チャンネル分のNFBスイッチング回路を形成しており、それを左右それぞれに使用したシンプルな完全バランス構成となっています。これにより従来用いられてきたバイポーラトランジスタで問題となるキャリア蓄積効果を排除し、ハイスピードスイッチングを実現しています。

パイロット信号を同振幅逆相のサイン波を用いてスイッチング回路の入力でキャンセルするため、トラッキングタイプパイロットピュアキャンセル回路を搭載しています。この回路は放送局によってパイロットレベルが異なる場合でも、正確にレベル追従してパイロット信号をデコーダに入る前にキャンセルしています。

19kHzのパイロット信号から、コンポジット信号を復調するための38kHzサブキャリアを発生するPLL回路にはAnti interference PLL Systemを採用しています。この回路では、入力に同調型の妨害除去フィルタを付加することで、ステレオ音声信号によるサブキャリアの乱れを少なく抑えています。

Rec Cal(レコーディングキャリブレータ)を搭載しています。
Rec CalをONにすると、FMモノラル50%変調時に相当する333Hz信号が出力され、録音レベルを合わせる場合には、カセットデッキのレベルメータの指示が-6VU~0VUになるようにセットすれば確実な録音を行えます。

弱い電波をステレオで受信した場合に気になるノイズ成分を低減するためAuto Blend回路を搭載しています。
この回路はAuto-DX回路とシグナルクオリティに関連して作動するため、ステレオ放送のサービスエリアを従来のものより大幅に拡大し、改善しています。

3点LED式のシグナルインジケーターを搭載しています。

AMチューナー部の回路構成は、2連バリコン相当非同調高周波カスコード増幅段、差動ミキサ、トリプルチューンIFTとなっており、高過度・高ダイナミックレンジを確保しています。また、RXモードスイッチを切換えることにより、AMチューナー部においてもDXポジションとLocalポジションが選べます。

AM用アンテナに、従来のループアンテナを改良したHi-Qタイプのローインピーダンスループアンテナを採用しています。

機種の定格
型式 FM/AMチューナー
<FMチューナー部>
受信周波数 76MHz~90MHz
50dB SN感度 mono:3.0μV(14.7dBf)
stereo:32μV(35.3dBf)
実用感度(mono) 75Ω:0.9μV(10.3dBf)
300Ω:1.8μV(10.3dBf)
イメージ妨害比 80dB
IF妨害比 100dB
スプリアス妨害比 100dB
AM抑圧比 65dB
実効選択度 DX:85dB
Local:25dB
キャプチャーレシオ DX:2.5dB
Local:1.2dB
SN比 mono:90dB
stereo:84dB
全高調波歪率
Local DX
mono 100Hz:
1kHz:
6kHz:
0.02%
0.03%
0.05%
0.05%
0.3%
0.8%
stereo 100Hz:
1kHz:
6kHz:
0.04%
0.04%
0.06%
0.6%
0.6%
1.2%
混変調歪率
mono: 0.03%(Local)
0.3%(DX)
stereo: 0.04%(Local)
0.6%(DX)
ステレオセパレーション
Local DX
50Hz:
1kHz:
10kHz:
60dB
60dB
50dB
28dB
28dB
25dB
周波数特性 50Hz~10kHz ±0.3dB
30Hz~15kHz +0.3 -0.5dB
サブキャリア抑圧比 65dB
AUTO DX切換レベル 40μV(37.3dBf)
<AMチューナー部>
受信周波数 518kHz~1615kHz
実用感度 10μV
選択度 DX:17dB
Local:27dB
SN比 50dB
イメージ妨害比 45dB
スプリアス妨害比 50dB以上
全高調波歪率 0.3%
<総合>
出力レベル/インピーダンス FM(1kHz、100%変調):0.5V/2.2kΩ
AM(1kHz、30%変調):0.15V/2.2kΩ
Rec Cal(333kHz、FM50%変調時相当):0.25V/4.7kΩ
ACアウトレット Unswitched:1系統、300Wmax
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 12W
外形寸法 幅435x高さ72x奥行320.5mm
重量 4.0kg