オーディオの足跡

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B-4の画像
 解説 

新開発のRo(出力インピーダンス)コントロールを搭載したステレオパワーアンプ。

B-4の基本回路構成は、初段にローノイズデュアルFETカスコードブートストラップ差動増幅回路、プリドライブ段にカスコード接続カレントミラープッシュプル差動増幅、出力段にHigh-fTトランジスタを用いた3段ダーリントン接続ピュアコンプリメンタリーパラレルプッシュプルOCLを採用したDCパワーアンプ構成となっています。
さらにB-4では、出力インピーダンスを+1Ω~-1Ωの範囲で変化することのできるRoコントロールを搭載しています。また、フロントパネルのオペレーションスイッチによりBクラス動作とAクラス動作の切換えが可能です。

初段はローノイズでHigh-gmのデュアルFETによるソースフォロアと、カスコード接続されたデュアルトランジスタによる平衡送り出し差動増幅回路にブートストラップ回路をアッセンブリーしています。また、2段目はカスコード接続カレントミラー回路によるプッシュプル差動増幅回路を採用しています。
ここで使用しているデュアルFETは、ローノイズでgmの高い2つのFETの電気的、熱的特性を揃えて、同一のパッケージに納めたもので、DCアンプの初段の素子に十分なペア特性を得ています。またこのステージではカスコードブートストラップ回路を採用しているため、信号源インピーダンスの変化による歪率の増加が少なく抑えられています。
プリドライブ段に採用されたカレントミラー回路は、電圧増幅段として充分なゲインを得ると共に、2つのトランジスタが一種のプッシュプル回路の働きをして、偶数次の高調波歪を打ち消す働きをしています。
DCアンプで特に問題となる中点電圧の温度変化及び時間によるDC電圧のドリフトは、デュアルFETの採用とカスコードブートストラップ回路などにより非常に少なく抑えられており、充分に安定なハイスルーレートで低歪率な電圧増幅段を実現しています。

電力増幅回路は、High Speed High-fT(利得帯域)のトランジスタで構成された3段ダーリントン接続のピュアコンプリメンタリーパラレルプッシュプルOCLの電力増幅回路となっています。ペア特性の良く揃ったHigh-fTのトランジスタを3段構成することで、充分な電力ゲインを広帯域にわたって得ると共に、各段も蓄積電荷の速やかな放電と無負荷時の安定度を大切にした設計となっています。
このHigh-Speed・High-fTのトランジスタの性能を最大限に引き出すため、ドライブ段のトランジスタのE-E間にダイオードと抵抗をシリーズ接続しており、この抵抗値を33Ωと十分低い値にしています。これによりベース領域の電荷放電インピーダンスが下がり、立ち上がり・立ち下がりの速いアンプに仕上がっています。

電力増幅段はオペレーションスイッチを切換えることによりB級動作とA級動作を等音量で切換えることができます。これはヤマハ独自のバイアス回路を用いたもので、電力増幅段の電源電圧が切換わると、その変化を自動的に検出してバイアス電流を切換えています。
動作は、B級バイアスにおいて各トランジスタのVBE温度特性を充分に補正しておき、A級動作時には温度特性の無い定電圧バイアスを自動的にB級時に加算するようにしています。これによりA級-B級切換え動作が可能なアンプで特に重要なアイドリング電流の温度安定度が確保され、広帯域にわたって優れた低歪率を実現しています。

アンプの出力抵抗を+1Ω~0~-1Ωにわたって連続可変できるRoコントロール(出力インピーダンスコントロール)回路を搭載しています。
この回路はアンプの出力電流を高精度なメタルクラッド抵抗で検出し、反転バッファアンプで位相反転し、パワーアンプのNFB回路へ電流信号とNFB~PFBを任意に加算することで出力インピーダンスをコントロールしています。
これにより、種々のスピーカーシステムの実用時の適切なダンピング値を設定できるようになり、スピーカーシステムの能力を引き出すことが可能です。

電源回路には、左右完全独立2電源方式を採用しており、2つの大容量トランスと音質で吟味して選ばれたオーディオ用低倍率エッチング大容量15,000μF(75V)電解コンデンサーを採用しています。また、電解コンデンサの限界を補うためマイラコンデンサをパラレルで接続し、高域での電源インピーダンスの上昇を抑えています。さらに磁性材で厳密にシールドすることでコンデンサー同士のフラックスの干渉を防止し熱的に保護しています。
また、これまでのノウハウを活かし電流ループの発生を少なくしてループ内でのインダクタンスを減少させて、後期まで電源インピーダンスが非常に低く抑えられた過渡応答の優れた回路となっています。
さらにプリドライブ段も左右独立したローカル定電圧電源となっており、他段からの影響を抑えています。

保護回路としてスピーカー保護回路と出力トランジスタ保護回路を搭載しています。
スピーカー保護回路は、スピーカーにとって有害なDC電圧が発生した場合に、自動検出してスピーカー保護リレーによりスピーカーをアンプから切り離します。この保護回路はミューティング回路も兼ねており、電源スイッチ投入時に発生するショックノイズからスピーカーを保護するため、アンプが正常な動作になるまでの数秒間スピーカーを切り離す役割を持っています。
出力トランジスタ保護回路は、スピーカー出力がショートしたような過負荷の状態において、出力信号電圧やパワーTrのエミッタ電流を検出し、演算してパワーTrのコレクタ損失を制限するPcリミッタ回路となっています。この保護回路は負荷抵抗が2Ω以下で動作するよう設計されています。

B-4では左右対称の2モノラルコンストラクションを採用することでチャンネル間のクロストークを低減しています。また、アンプ全体で生じる電流ループの減少化を図っており、アンプの内部フラックスがシャーシの磁気特性の影響を受け、電流線に歪んだリアクションが生じるのを防いでいます。また、大電流の流れるパワー段のアースには、1.5mm厚の銅板を用いてインピーダンスの低減を図っています。

さらなる高音質化を図るため、電源部に採用した大容量低倍率エッチング電解コンデンサーをはじめ、マイラフィルムコンデンサ、スチロールコンデンサ、電流歪の少ない高精度メタルクラッド抵抗、無誘導巻エミッタ抵抗、直径2.3mmの銅線を用いた直流抵抗の少ないスピーカーコイルなどのパーツが採用されています。

リアパネル面にはレベルコントローラーを搭載しています。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
定格出力(10Hz~30kHz、歪0.007%) ClassB:120W+120W(8Ω)
ClassA:30W+30W(8Ω)
パワーバンド幅(8Ω) ClassB:10Hz~100kHz(歪0.02%、60W)
ClassA:10Hz~100kHz(歪0.008%、15W)
入力感度/インピーダンス 1V/25kΩ(8Ω、100W)
周波数特性(8Ω、1W)
mode DC  10Hz:
1kHz:
100kHz:
0dB
0dB
-1±1dB
mode AC  10Hz:
1kHz:
100kHz:
-2±1dB
0dB
-1±1dB
全高調波歪率(8Ω)
Class B 10Hz~50kHz(60W):
100kHz(60W):
0.007%以下
0.02%以下
Class A 10Hz~50kHz(15W):
100kHz(15W):
0.004%以下
0.008%以下
混変調歪率(8Ω) Class B(60W):0.002%以下
Class A(15W):0.002%以下
出力インピーダンスコントロール 可変インピーダンス範囲(1kHz):+1Ω~0Ω~-1Ω
可変周波数帯域:10Hz~20kHz
セパレーション 80dB以上(1kHz)
70dB以上(20kHz)
残留ノイズ(IHF-A) -87dBV
使用ヒューズ T5A250V
ACアウトレット unswitched:100W
電源 AC100V、50Hz/60Hz
定格消費電力 330W
外形寸法 幅435x高さ145.5x奥行381mm
重量 21kg