VTL IT-85
¥500,000(2000年頃)
解説
VTL初のインテグレーテッドアンプとして登場した真空管プリメインアンプ。
パワーアンプ部はドライバー段に12ATを4本用いた構成となっており、出力段には信頼性の高い電力増幅管EL34を4本プッシュプル接続にして使用しています。
EL34はオーディオ管としてよく使われる5極管で、力感においては6550Cに譲るものの優れた音色バランスを持ち、中音域の表現力に優れています。出力段はTetrode
Mode(5極管接続)に固定されており、第2グリッドをB+電源に接続しています。これにより大きな出力によってダイナミズムのある音楽再生を実現しています。
プリアンプ部は許容入力の高い12AU7を2本用いた回路で構成しています。
回路全体には6~14dBの負帰還が加えられており、アンプの高速な反応を保持しつつ、特性や歪率、SN比、ダンピングファクターの改善を図っています。
電源部には入念な二重含浸処理を施すことで振動ファクターの影響を抑えた電源トランスをアイソレーションのもとで搭載しています。
また、整流回路にはソリッドステート素子を使用しています。
バッファードプリアウト端子とパワーアンプダイレクト端子を備えています。
プリアウトはバッファーを介しており、VTLのステレオパワーアンプST-85などを組み合わせることでバイアンプ構成も可能です。IT-85ではこの用途を想定してST-85とのゲインマッチングも厳密に設定されています。
真空管回路によるヘッドホン出力を備えています。
スピーカー出力端子にはバナナプラグやスペードラグの使用も可能な5ウェイタイプを採用しています。
また、入出力端子には金メッキ端子を採用しています。
付属のリモートコントローラーによって音量調整とミュート切換が可能です。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
定格出力 | 60W+60W(8Ω) 80W+80W(4Ω |
周波数特性 | 1Hz~75kHz -3dB |
入力感度/インピーダンス | Line:180mV/20kΩ Power in:575mV |
出力インピーダンス | Pre out:400Ω Headphone:16Ω |
入力端子 | ライン:5系統 パワーアンプダイレクト:1系統 |
出力端子 | プリアウト:1系統 テープ:1系統 ヘッドホン:1系統 |
推奨負荷 | スピーカー:4Ω~8Ω |
使用真空管 | プリアンプ部:12AU7x2 ドライバー段:12AT7x4 出力段:EL34x4 |
消費電力 | 200W(アイドル時) 600W(最大) |
外形寸法 | 幅400x高さ195x奥行280mm |
重量 | 20.5kg |
付属 | ワイヤレスリモコン |