VICTOR KD-4
¥79,800(1976年頃)
解説
単一乾電池6本で12時間連続録音が可能なナマロクデッキ。
ノイズリダクションシステムとしてスーパーANRSを搭載しています。
スーパーANRSは、ローレベル時の高域雑音低減機能を持つANRSにハイレベル時の高域クリッピング・レベルを高める機能を追加したもので、録再ダイナミックレンジを拡大しています。
駆動モーターには新開発コアレスモーターを採用することで低消費電力化を図っており、単一乾電池6本で12時間の連続録音を可能にしています。
さらに、コアレスモーターは慣性モーメントが小さく効率が高いため、立ち上がりに対する応答速度が早く、安定した動作が期待できます。
録再ヘッドにはSA(センアロイ)ヘッドを採用しています。
このヘッドではパーマロイ積層コアにコイルを巻き、その先端のテープ摺動部にセンダスト合金を高温接着した構造を採用しています。テープ摺動部がセンダスト合金で作られているため硬度が高く、長時間の使用が可能です。そのうえフェライトに起こりがちな欠けや割れが少なく、特性も安定しています。
また、コイルコアにパーマロイ、テープ摺動部にセンダスト合金を用いているため、ギャップ精度がフェライト同様に高くでき、周波数特性は高音域まで伸びています。さらに大信号時の録音歪も少なく、使用時の温度変化に対する特性も安定しています。
プリアンプ部には低雑音・低歪率設計がされており、特にイコライザー回路には直流まで負帰還をかける2段直結NF型を採用することで過渡特性を向上させています。
電池電圧が下がっても常に安定した電圧をアンプ部に供給できるよう定電圧DC-DCコンバーターを採用しています。
これによりアンプ部のリニアリティを損なわずに広いダイナミックレンジを得ています。
左右の独立した録音ボリュームに加えて左右連動の録音専用マスターボリュームを搭載しています。
MIC/DIN、-20dB/ATT/MIC、LINEの3段切換機構を搭載しています。これにより、プレイヤーやチューナーから録音する場合に入力信号をマイクアンプと無関係に直接ラインアンプに接続する事が可能です。
また、マイクでは0dBと-20dBの2段切替式のマイクアッテネーターを装備しています。
メカニズム部にはリードスイッチによるフルオートストップメカニズムを採用しており、どのモード時でもテープが巻き終わるとメカが自動的に解除します。
これにより電池の消耗を防ぐとともにテープやメカニズムへの余分な負担を減らしています。特にメカニズム解除時のプランジャー作動のエネルギーは回転中にアンプ電源用のコンデンサにチャージした電力をしており、電池の消耗を少なくするとともに減電圧での解除ミスを防ぎます。
大型VUメーターを搭載しています。
肩掛けベルトが付属しています。
別売でキャリングケースや専用ラックがありました。
機種の定格
型式 | ナマロク・コンポカセットデッキ |
ヘッド | 録再:SA(センアロイ)ヘッドx1 消去:フェライトヘッドx1 |
モーター | DCコアレス・モーター |
周波数特性 | クローム:25Hz~18kHz(45Hz~16kHz ±3dB) SF:25Hz~17kHz(45Hz~15kHz ±3dB) |
SN比 | ANRS off: 57dB(JIS) 54dB(ピークレベル時) ANRS on:1kHzで5dB、5kHz以上で10dB改善 |
Super ANRSの効果(SF) | 周波数特性の改善 (0VU録音時):10kHzで6dB改善 (+5VU録音時):10kHzで12dB改善 歪率の改善 (0VU録音時):10kHzで3%以下に改善 (+5VU録音時):10kHzで3%以下に改善 |
クロストーク | 65dB(1kHz、録再飽和レベル) |
歪率 | 1.2%(SFテープ、1kHz、0VU録音) |
ワウ・フラッター | 0.08%(WRMS) |
録音バイアス | 95kHz |
使用スピーカー | 10cm |
使用半導体 | IC:5個 トランジスタ:37個 ダイオード:29個 SCR:1個(モーター部含む) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz 外部DC8V~DC16V 内部乾電池9V(SUM-Ix6) |
消費電力 | 10W(AC100V、50Hz/60Hz時) 5W(DC9V、SUM-1x6時) |
外形寸法 | 幅370x高さ100x奥行245mm |
重量 | 4.6kg(電池含まず) 5.2kg(電池含む) |
付属 | 肩掛けベルト |
別売 | キャリングケース CB-4(¥4,500) ナマロク・デッキ専用ラック KL-4(¥4,500) |