TRIO KT-770
¥49,800(1983年発売)
解説
DLLDを採用したFM/AMシンセサイザーチューナー。
新開発の広帯域直線検波DLLD(ダイレクト・リニア・ループ・ディテクター)を採用しています。
これは、10.7MHzのIF信号をダイレクトにリニア化し、閉ループ検波器で検波しており、さらに閉ループ内に歪補正回路を設け、VCOの非直線歪やIFフィルターで発生する歪もゼロにするという検波方式となっています。
FM放送は、音楽信号によりFM変調をかけて送り出しているもので、この変調により10.7MHzのIF信号はつねに動かされています。
DLLDはFM変調による10.7MHzの変化と同じ量だけVCOが動き、相位比較器の出力の誤差がつねにゼロになるように設定してオーディオ信号だけを取り出しています。
また、非直線歪の発生を抑えるため歪補正回路を採用しており、低歪の広帯域直線検波を実現しています。
また、DLLDは閉ループ検波器なので、ループ内で発生するノイズは抑えられており、SN比も改善されています。
比較周波数を可聴帯域外の25kHzに設定したパルススワロー・スタティックコントロール方式を採用しています。
また、局発同調型バッファー回路、低雑音で大入力特性に優れたツイン・バラクタダイオードなどにより、局発発振信号の純度を高め、98dBというSN比を実現しています。
RF増幅部とMIX部にデュアルゲートMOS FETを採用し、相互変調特性を改善しています。
AM部にはAM帯域可変回路を採用しており、各放送局のプリエンファシス量に合わせて周波数特性をコントロールしています。
機種の定格
型式 | FM/AMシンセサイザーチューナー | ||||
<FMチューナー部> | |||||
受信周波数範囲 | 76MHz~90MHz | ||||
アンテナインピーダンス | 75Ω不平衡 | ||||
感度(75Ω) | 0.95μV(IHF)、10.8dBf(新IHF) | ||||
SN比50dB感度 | mono:1.8μV(IHF)、16.2dBf(新IHF) stereo:24μV(IHF)、38.8dBf(新IHF) |
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高調波歪率 |
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SN比(100%変調) | mono:98dB stereo:88dB |
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実効選択度 | 60dB(IHF±400kHz) | ||||
ステレオセパレーション | 66dB(1kHz) 45dB(50Hz~10kHz) 40dB(15kHz) |
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イメージ妨害比 | 95dB(84MHz) | ||||
IF妨害比 | 110dB(84MHz) | ||||
スプリアス妨害比 | 100dB(84MHz) | ||||
AM抑圧比 | 70dB | ||||
サブキャリア抑圧比 | 70dB | ||||
<AMチューナー部> | |||||
受信周波数範囲 | 522kHz~1611kHz | ||||
感度 | 10μV(IHF) 250μV/m(ループアンテナ) |
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SN比 | 52dB(30%変調1mV入力) | ||||
高調波歪率 | WIDE 0.3%~0.8% Narrow(1000kHz) | ||||
選択度(IHF) | Narrow 50dB~30dB Wide | ||||
<総合> | |||||
定格消費電力 | 9.5W(電気用品取締法) | ||||
電源 | AC100V、50/60Hz | ||||
外形寸法 | 幅420x高さ64x奥行317mm | ||||
重量 | 3.4kg |