TRIO KT-7100
¥39,800(1977年発売)
解説
音質重視で設計されたFM/AMチューナー。
フロントエンド部にはデュアルゲートMOS FETと周波数直線型4連バリコンを採用しており高感度化を実現するとともに強電界でも十分に受信できる大入力特性を獲得しています。
IF部には群遅延特性に優れたフェイズリニア6素子フィルターとLC同調回路を採用しており、高い選択度を確保しています。
また、ディスクリートには帯域の広いクオドラチュア検波を採用しており、低歪率特性を得ると同時にオフセット電圧を調整して同調ズレをただし、広帯域にわたって優れた歪率特性を実現しています。
さらに高集積度ICを用いた高利得増幅段と5段リミッターにより音質劣化を抑えています。
MPX部では、PLLのパイロット信号を検出する際のトラッキングフィルター作用を検討することによって低歪率を実現しています。また、温度や湿度による経年変化に強いPLLを採用することで安定したセパレーションを獲得しています。
さらにノルトン変換した5素子の左右分離型ローパスフィルターによって周波数特性を損なうことなくキャリアリークを改善しています。
プリアンプ部には2段直結のディスクリート回路を採用しており、300%のオーバー変調でも低歪率の維持が可能です。
FMミューティング回路ではSカーブおよびIF帯域検出によって狭帯域化を実現しています。
また、オーディオ出力の高信号レベルでのFETスイッチ制御方式を採用することでポップノイズも殆ど無く、局間ノイズをシャープに消し去っています。
電源ON/OFF時には±電源時間差回路が働き、ポップノイズやショックノイズを防止します。
AMチューナー部ではIF段に3端子型セラミックフィルター素子2個とコイルを組み合わせた高選択度セラミックフィルター及び新型ICを採用しています。また、RF段には受信帯域外をカットするスプリアストラップ回路を入れ、短波帯からのビート障害を排除しています。
電源トランスを除いた全ての回路を1つのブロック板に収め、コードの浮遊容量の影響などの配線による音質劣化を抑えています。
実効長270mmのロングスケールダイヤルやディファレンシャルプーリー、60φの大型フライホイールを採用しており、バックラッシュの無いスムースなチューニングが可能です。
写真でのキャリングハンドルは別売りオプションとして発売されました。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナー | |||
<FMチューナー部> | ||||
受信周波数 | 76MHz~90MHz | |||
アンテナインピーダンス | 300Ω平衡 75Ω不平衡 |
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SN比50dBクワイティング感度 | mono:3.6μV/16.3dBf(新IHF) stereo:43μV/37.9dBf(新IHF) |
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感度 | 1.8μV(IHF)/10.3dBf(新IHF) | |||
歪率(100%変調) |
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SN比(100%変調、1mV入力) | mono:75dB stereo:70dB |
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イメージ比 | 90dB | |||
選択度(IHF) | 75dB | |||
IF妨害比 | 100dB | |||
ハーモニックススプリアスレスポンス | 100dB | |||
AM抑圧比 | 60dB | |||
キャプチャーレシオ | 1.0dB | |||
ステレオセパレーション | 50dB(1kHz) 40dB(50Hz~10kHz) 35dB(15kHz) |
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キャリアリーケージ | 65dB | |||
周波数特性 | 50Hz~10kHz +0.2 -0.3dB 30Hz~15kHz +0.2 -1.2dB |
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<AMチューナー部> | ||||
受信周波数 | 520kHz~1,605kHz | |||
感度 | 14μV(IHF) 250μV/m(バーアンテナ) |
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歪率 | 0.5% | |||
SN比(30%変調、1mV入力) | 50dB | |||
イメージ比 | 60dB | |||
選択度(IHF) | 35dB | |||
<総合> | ||||
出力レベル/インピーダンス | FM(400Hz、100%変調):0V~1.0V/2.5kΩ AM(400Hz、30%変調):0V~0.3V/2.5kΩ |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | |||
定格消費電力(電気用品取締法) | 14W | |||
外形寸法 | 幅430x高さ149x奥行377mm | |||
重量 | 7kg | |||
別売 | キャリングハンドル D-7(1組、¥3,000) |