TRIO KT-6005
¥49,800(1972年頃)
解説
独自に開発したダブルスイッチング・デモジュレーター方式などを搭載することで、高音質化を図ったFM/AMチューナー。
ダブルスイッチング・デモジュレーター方式では、主スイッチング回路と、補助スイッチング回路の出力を左右対称にし、また逆位相をとり、両スイッチング回路の出力を加えることによって漏れ信号を打ち消すようにしています。また、補助スイッチング回路の前には位相補正回路を搭載しており、主信号と漏れ信号の位相を合わせるように設計されています。
これにより、IF段での主信号と補助信号の位相ズレが引き起す、セパレーションの悪化を防止しています。
雑音指数の低いデュアルゲートFETとRF増幅2段を採用して実用感度を向上させています。
容量が直線的に可変できる周波数直線型バリコンを採用しており、等間隔目盛を採用することで、選局しやすいスケールを実現しています。
独自の方法で開発したLC型フィルターを採用しており、SN比とほぼ同じ割合のキャリア・サプレッションを獲得しています。
また、発振バイアスの低い、漏れの大きなテープレコーダーで録音してもビートが起こるのを防いでいます。
チューナーのコイルは、構造から巻き方や、コアの配合剤の調整、コアとコアを被っているフェノール樹脂の温度特性を合わせるなどを行っており、温度や湿度に強いコイルとなっています。
機種の定格
| 型式 | FM/AMチューナー |
| <FMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 76MHz~90MHz |
| アンテナインピーダンス | 300Ω平衡 75Ω不平衡 |
| 感度 | 1.5μV/84MHz |
| クワイティングスロープ | 55dB(3μV) 65dB(10μV) 70dB(50μV) |
| 歪率 | 0.3% |
| SN比(100%変調、100μV入力) | 70dB |
| キャプチャーレシオ | 1.3dB |
| 選択度(IHF) | 80dB |
| イメージ比 | 90dB(84MHz) |
| IF妨害比 | 100dB(84MHz) |
| AM抑圧比 | 60dB |
| ハーモニック・スプリアスレスポンス | 100dB |
| マルチパス出力 | 0.15V(垂直、水平とも) |
| マルチパスインピーダンス | 20kΩ |
| <FM MPX部> | |
| セパレーション | 45dB(400Hz) 38dB(100Hz~8kHz) |
| キャリアリーケージ | -65dB |
| 歪率 | 0.5% |
| SN比 | 65dB |
| 周波数特性 | 50Hz~15kHz +0.2 -0.5dB 100Hz~10kHz +0.2 -1.0dB |
| SCA妨害比 | 65dB |
| <AMチューナー部> | |
| 受信周波数 | 520kHz~1610kHz |
| 感度 | 13μV(IHF) 300μV/m(バーアンテナ) |
| イメージ比 | 70dB |
| IF妨害比 | 70dB |
| SN比 | 50dB |
| 選択度 | 35dB |
| 歪率 | 1% |
| <総合> | |
| 定格出力(400Hz) | FM(100%変調):1.5V AM(30%変調):0.15V |
| 出力インピーダンス | 10.5kΩ |
| 電源電圧 | AC100V/117V、50Hz/60Hz |
| 定格消費電力(電気用品取締法) | 20W |
| 外形寸法 | 幅435x高さ153x奥行300mm |
| 重量 | 8.9kg |