KENWOOD LS-990A
¥59,800(1台、1985年頃)
解説
デジタルソースの広いダイナミックレンジに対応するためクラスAサスペンションなどの技術を投入したスピーカーシステム。
クラスAサスペンションはケンウッド独自の技術で、エンジニアプラスティック・ポリアミド系繊維を成型した2枚のサスペンションを使用しており、静止している時にも適切な機械バイアスがかかっており、ボイスコイルの振動に伴い、一方が伸びると一方が縮むプッシュプル動作を繰り返します。
このプッシュプル動作により、互いの持っている正反対の非直線歪成分を打ち消し、小信号は小振幅、大信号は大振幅に変換できる振動版のリニアな動きを実現しています。
低域には33cmのコーン型ウーファーを採用しています。
HRカーボンと、リブで強化したパルプ層で、硬質樹脂層を挟んだ3層構造とし、高剛性化すると同時に素材固有の鳴きを抑えています。
また駆動系には総磁束88000maxwellの大型マグネットと4層ボイスコイルを採用しています。
中域には10cmのセミドーム型スコーカーを採用しています。
ドーム部には、トゥイーターと同様にイオンプレーティングして高剛性を得、メタル固有の鳴きを押さえ、ボイスコイルボビンに直結したイオンプレーティングチタン・ドームを採用しています。
また、コーン部には特殊処理を施した軽量コーン、磁気回路には総磁束61000maxwellのマグネット、ボイスコイルには熱硬化型融着性アルミ線、フレームは補強リブつきアルミダイキャストなど、高音質化を図るための技術を投入しています。
高域には2.5cmハードドーム型トゥイーターを採用しています。
振動版はイオンプレーティング技術を導入して開発しており、窒化チタンをイオン化し、プラズマ状態で加速してチタンの表面に蒸着するもので、窒化チタンの分子の運動エネルギーを高めて蒸着しているため、蒸着強度が高く、高剛性なチタンの6倍以上の硬度を持つ振動版に仕上がっています。
また、ボイスコイルには軽量のアルミ線を使用し、磁気回路にはストロンチウムフェライトマグネットを採用して総磁束24000maxwellを実現しています。
ネットワークはウーファー、スコーカー、トゥイーターに専用のプリント基板を使い、分離して配置しており、漏洩磁束によるクロストークやアースラインによるクロストークを抑えています。
また、電線材やコイル巻線は無酸素銅を採用しています。
キャビネットは、20mm厚の針葉樹系高密度パーティクルボードで側板・裏板を構成し、前面バッフルの強度は特に重視して18mm厚と12mm厚のパーティクルボードを張り合わせた構造としており、強度を向上させています。
また、ダクトを折り曲げてキャビネット内の音を直接前面に逃がさない設計とし、またポートを短く設定するなど検討がされています。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:33cmコーン型 中域用:10cmセミドーム型 高域用:2.5cmドーム型 |
再生周波数帯域 | 28Hz~45kHz |
最大入力 | 190W |
インピーダンス | 6Ω |
出力音圧レベル | 92dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 600Hz、5kHz |
外形寸法 | 幅355x高さ671x奥行321mm |
重量 | 22kg |