TRIO LS-1000
¥118,000(1台、1981年発売)
解説
振動板以外の振動を許さないリアクション・スタビリティを追求し、スピーカーを構成する要素の全てについて検討を加え、ダイナミックディストーションを大きく改善したスピーカーシステム。
低域には28cmコーン型ウーファーを搭載しています。
このウーファーの振動板には、サーマルショック・トリーテッドコーンにリブを設けた高剛性のリブつきコーン紙を採用しています。従来のコーン紙では適度なインナーロスをもたせる事で分割振動を吸収していましたが、同時に細かな音の表情を吸収したり、本来なら信号に含まれていない音を再生するという問題点を持っていました。LS-1000では振動板の強度を向上させる事でインナーロスを無用としており、より忠実な再生を実現しています。
ユニットの固定にはバイオネットチャック式を採用しています。この方式は一眼レフカメラのレンズマウントと同様にバッフル板をしめつけて固定する構造となっています。これによりバスドラムの連打といった大きな低域信号にもびくともしない低域再生を実現しています。
中域には10cm、高域には3.6cmの平面型ユニットを採用しています。
振動板にはアクリルレジンとカーボンファイバーで構成された平面振動板を採用することで、位相ズレや周波数特性の中だるみを発生させず、立ち上がり、立ち下がり特性も改善しています。
さらに、それぞれのユニットには分厚いダイキャスト製フレームを採用しており、ダイヤフラム周辺の振動を抑える事で歪を抑えた音を実現しています。
ネットワーク部での相互干渉を排除するため、コイルを遠隔配置し、アースラインを改善しています。
また、トリオが当時発表していたΣドライブ・アンプ用のシグマセンサー端子を搭載しており、Σドライブアンプの能力を引き出すスピーカードライブが可能となっています。
エンクロージャーはパーチクルボードの2重構造バッフルにアルミダイキャストのウーファーベースを配した複合構造となっています。互いの物質がそれぞれに発生する周波数の異なる振動を相殺し合うことで箱鳴りを抑えています。
さらに、各ユニット間にスリットを設ける事でユニット間の相互干渉を低減しています。
ユニットレイアウトはウーファーをセンター配置したデザインとしています。これにより上下の縦方向に発生する有害振動を抑えています。また、ウーファーをセンター配置することによっても制御できないバックボード上の定在波をピラミッド型のバックボードでキャンセルしています。この多面体バックボードはキャビネットの剛性も向上させており、箱鳴りや有害運動の影響を受けないよりクリアな音を実現しています。
また、バスレフダクトをウーファーユニットの真後ろのバックボードに設置したリニアサスペンション構造としてダクトからの音を背面に逃がす事でダイアフラムから発生した音を濁らせるのを防いでいます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・リニアサスペンション方式・ブックシェルフ型 |
ユニット | 低域用:28cmコーン型 中域用:10cm平面型 高域用:3.6cm平面型 |
周波数特性 | 32Hz~25kHz |
最大入力 | 180W |
定格入力 | 120W |
インピーダンス | 8Ω |
出力音圧レベル | 89dB/W/m |
クロスオーバー周波数 | 800Hz、6kHz |
外形寸法 | 幅360x高さ680x奥行326mm |
重量 | 33.5kg |