オーディオの足跡

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SB-M1(M)の画像
 解説 

テクニクス初のモニタースピーカーとして原音高忠実度再生の思想を徹底して開発された4ウェイフロア型スピーカーシステム。

25Hz~38kHzの帯域の殆どをピストンモーション再生し、さらに音楽再生上楽器の音色などを決定する150Hz~15kHzにおいては±1.5dBのフラットな周波数特性を得ています。さらに、1W入力時の主要帯域の歪率は-55dB以下を実現しています。

一般的なコーン型スピーカーでは、前室効果(キャビティ・エフェクト)と呼ばれる現象が起きており、常に振動板の中心部とが異種部宇で再生される音に時間差が生じるため、空気の共振につきまとわれ周波数特性に乱れが発生します。
これを解消するため、テクニクスではハニカムディスク平面振動板を採用しており、よりフラットな周波数特性を獲得しています。

平面振動板で空気抵抗に対してリニアリティに優れた音を得るため、アルミニウム合金を素材とするハニカム構造体を採用しています。このアルミハニカムはジェット機やスペースシップの一部に採用されている軽量・高剛性の蜂の巣状の構造体で、剛性は紙コーンの1,000~1,500倍を実現しており、大入力時の変形による歪発生や、経年変化、温度変化などによる特性劣化が殆どありません。

この平面振動板に採用されたハニカム構造体の利点を生かし、周波数特性を伸張・平坦化するため、節ドライブ構造によってピストンモーション帯域を拡大しています。
平面振動板は、自由空間で振動させると、ある特定の周波数で全く動かなくなる部分(節)が表れる特長を持っています。この節となる部分にボイスコイルをつないでドライブする節ドライブの原理によって共振モードが打消され、高次の振動モードまでピストンモーション域を拡大することが可能となります。
また、節の表れ方のパターンが単純であるほど理想的な節ドライブが可能となるため、SB-M1では円形振動板を採用しています。
さらに、六角形のセルを持つハニカム構造ではコアの構造上強度に方向性があり、共振の節が楕円形に現れ真円形ボイスコイルでの正確な節ドライブが困難になるため、これを解決するために軸対称ハニカムコアを採用しています。これにより、節を円形にするとともに、一つ一つの六角セルの寸法が同じために共通の周波数で共振が起こるなどの問題も解決し、さらに通常のハニカムコアに比べ節をより小さくすることができ、ボイスコイルの構成も有利になっています。

低域には38cmハニカム平面型ウーファーを搭載しており、ハニカム振動板を節ドライブすることで、2kHz以上のピストンモーションを可能にしています。
SB-M1のウーファーには、特にリニアリティを高めるため、特殊構造の新開発リニアダンパーを採用しています。これは、上下対称のギャザーを四方に配した構造のダンパーで、傾きに対する抵抗力が通常のダンパーの10倍以上もあります。このため、ローリングの発生を極小化でき、大入力時にも優れたリニアリティを得ています。
磁気回路には直径200mm、重量3.2kg、磁束密度14,800gauss、総磁束500,000maxwellの大型・強力マグネットを採用し、94dB/Wの高能率を実現しています。また、ボイスコイルボビンはポリイミド系樹脂積層フィルムを採用し、250℃の高温にも耐える高耐入力設計となっています。
SB-M1ではこのユニットを280Hzでクロスオーバーして使用する余裕のある設計となっています。

中低域には22cmハニカム平面型ミッドローユニットを搭載しており、節ドライブにより4kHzまでのピストンモーションを実現しています。
このユニットでは高能率を得るため、直系156mm、重量1.4kg、総磁束密度11,000gauss、総磁束270,000maxwellのマグネットを採用し、さらに直径60mmのボイスコイルには高耐入力設計を施しています。
このユニットは900Hzのクロスオーバーで使用することで十分な余裕を持たせています。

中高域には8cmハニカム平面型ミッドハイユニットを搭載しており、振動板の節を直径50mmのボイスコイルで直接駆動することで、10kHzまでのピストンモーション再生能力を得ています。
磁気回路には直径140mm、重量1.2kgのストロンチウムマグネットを採用し、軽量・高剛性振動板と相まって94dB/Wの高能率を実現しています。
また、エッジ部とエッジカバーとで構成されるキャビティをコントロールすることで、ピークやディップを抑制しています。

高域には2.8cmハニカム平面型トゥイーターを搭載しています。
このユニットのハニカムコアの形状は他のユニットと異なり、幅1mm、厚さ20μmのアルミ合金リボンを菊の花弁状に形成しており、コアのスキン材には積層マイカを採用しています。これはマイカ(雲母)の細片をエポキシ系樹脂で固めたもので、音速が6700mと早く、比重も1.9と軽量で、さらにヤング率が高く、アルミの約3倍の曲げ剛性を持っています。
さらに、磁気回路には重量800gのストロンチウムマグネットを採用しており、ミッドハイとトゥイーターの間隔を狭め、上下方向の指向特性を向上させるため角形としています。
また、ボイスコイルと磁極の間には磁性流体を充填し、ポールピースやヨークに熱を逃がすことで放熱効果を高め、耐入力を向上させています。

ネットワーク部は、ウーファー用に特に大型低歪のチョークコイルを使用しており、フェライト系コアで低歪化を図っています。さらに高域特性に優れたメタライズド・ポリエステルフィルムコンデンサを使用し、高性能化とともに信頼性を高めています。
また、ネットワークの設計にもコンピューターを導入し、システム全体での設計精度を高めています。

過大入力や異常信号によるトゥイーター破壊を防ぐため、サーマルリレー保護回路を搭載しています。
また、リセットボタンも搭載しています。

トゥイーター、ミッドハイ、ミッドローに各々独立したアッテネーターを搭載しています。

極太スピーカーコードにも対応したターミナル端子を搭載しています。

エンクロージャーは内容積170Lでバスレフ構造となっており、素材には30mm厚の高密度パーチクルボードを採用し、総重量はSB-M1(M)で約93kgにも達しています。
ミッドハイ、ミッドローはそれぞれ独立のバックキャビティを持ち、ウーファーからの干渉を防いでおり、さらにバックキャビティの形状には定在波を防ぐ特殊形状を採用しています。
また、バスレフポートも定在波を考慮して補強材を入れた形状となっています。

左右対称設計が採用されています。
アッテネーターが内側に来る位置が正しい配置で、アッテネータープレートはバッフル板とフラットになるように設計されており、スピーカー間の聴取位置での指向特性を改善しています。

SB-M1(M)の外装素材には天然木をふんだんに使用しており、厳選されたローズウッドを、エンクロージャー造り30年以上の熟練者が1本1本手作りで仕上げています。
さらにバスレフポートの内壁やサランネットの枠木にはローズウッドのムク材を使用するなどの豪華な仕上げとなっています。

SB-M1(S)はモニターライクなデザインとしてグレーの塗装が施されています。

機種の定格
方式 4ウェイ・4スピーカー・バスレフ方式・フロア型
ユニット 低域用:38cm平面型
中低域用:22cm平面型
中高域用:8cm平面型
高域用:2.8cm平面型
周波数特性 25Hz~38kHz -16dB
35Hz~35kHz -10dB
出力音圧レベル 94dB/W/m
インピーダンス
許容入力 350W(Music)
150W(Din)
クロスオーバー周波数 280Hz、900Hz、4kHz
外形寸法 SB-M1(M):幅630x高さ1,120x奥行439mm
SB-M1(S):幅630x高さ1,050x奥行439mm
重量(ネット含む) SB-M1(M):92.5kg
SB-M1(S):85.5kg