Technics SL-P1000
¥125,000(1987年頃)
¥116,000(1989年4月1日改定)
解説
classAAオーディオ回路や耐振設計、編集機能などのSL-P1200の技術を継承し、さらにアクティブサーボ電源による重低音の強化や、デジタル出力端子の装備など、新たなノウハウを導入したCDプレイヤー。
サンプルホールド回路、バッファアンプ、ヘッドホンアンプの3つの回路のL/R、それぞれ計6ヵ所にclassAA方式を採用しています。
強力なドライブ能力と正確な波形伝送能力により、高解像度を獲得しています。
D/Aコンバータが発生するスイッチングノイズを除去するサンプルホールド回路では、波形伝送を行う電圧制御アンプと、ホールド用コンデンサ、ローパスフィルタなどの負荷駆動を行う電流ドライブアンプを独立し、電圧制御アンプを無負荷状態で動作させることにより、D/A変換の精度を高めています。
D/AコンバーターはLch、Rchそれぞれ専用のコンバーターを配したデュアルコンバーター方式を採用しています。
これによりL/Rの位相差の問題を解決するとともに、コンバータ出力を電流モードで動作させ、D/A変換を高速化し、高域における歪率や分解能を改善しています。
デジタル回路系やサーボ回路系で発生したノイズが、電源を介してオーディオオーディオ回路に混入するのを防ぐため、電源トランスは、デジタル系とオーディオ系のそれぞれ専用のトランスを備えた2トランス方式を採用しています。
さらにオーディオ系専用のトランスの2次巻線も、Lcn、Rch、ヘッドホンアンプの3系統に分離し、オーディオ回路内における相互干渉も防止しています。
また、整流回路にはファースト・リカバリ・ダイオードと大容量オーディオ用電解コンデンサを使用して、整流ノイズを低減するとともに、大入力時にも安定した電源供給を可能にしています。
このほか、オーディオ回路側でも、回路基板をシャーシ内のシールド構造の中に配置することによって、他の回路系や電源トランスからの干渉を排除し、ラインアウト端子も、シールド構造のピンジャックと、シールド効果の高い同軸ケーブルによる配線を使用し、音の純度を高めています。
立ち上がりの早い低音に対応するため、オーディオ回路用の電源に、独自のローノイズ・アクティブサーボ電源を採用しています。
これは、温度安定性に優れた電源専用の定電圧ICと、高周波特性に優れた広帯域ICを組み合わせて帰還回路を形成し、電源ノイズを従来より20dB以上も低減し、S/N比を向上させるとともに、カーバッテリーをもしのぐ優れたレギュレーション(電圧安定性)を得ています。
音質に悪影響を与えるさまざまな振動を排除するために、徹底した無共振・無振動対策を施しています。
まず、スピーカーから伝わる音圧振動に対しては、ベース部に3層構造重量ベースを採用しています。これは、金属シャーシ、特殊ダンピングゴム、新素材TNRC(テクニクス・ノンレゾナンス・コンパウンド)の異なる素材を一体成形したもので、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することにより、高い制動効果を得ています。
またキャビネット天板にも特殊デッドニングゴムを用いて、防振性を高めています。
次に、設置台から伝わる床振動には、4つの大型インシュレーターと光学デッキのフローティングによるダブルインシュレータ構造で、振動を抑えこんでいます。
それ以外にも、CDプレイヤー内部の振動源である2電源トランスも、ゴムフローティングを施し、トランスの振動が外部に伝わるのを防いでいます。
音楽信号のD/A変換時に生じるノイズ成分を除去するため、オーディオ回路に独自のスーパークリーン・デジタルフィルタを採用しています。
演算精度の高い96次デジタルフィルタとアナログ・ローパスフィルタの組み合わせにより、音質を向上しています。
光と同軸の2系統のデジタル出力端子を搭載し、オーディオ信号を外部のD/Aコンバータユニットにダイレクトに伝送が可能です。
コンデンサ類に、銅箔スチロールコンデンサやオーディオ用電解コンデンサを採用しています。また、OFCリード線と非磁性体キャップを使用したオーディオ用抵抗を全面的に採用するなど、オーディオ回路を構成するそれぞれのパーツについても、物理特性と試聴テストの両面から検討を重ね、厳選使用しています。
ディスクの信号を読み取るピックアップには、レーザー光の利用効率が高く、再生信号のSN比を大幅に改善した独自の1ビーム方式を採用しています。
さらに、アルミダイキャストベース、温度や湿度の変化に強いガラスレンズ、位相差方式トラッキングサーボなどの使用により、高いプレイアビリティと耐久性を得ています。
指先でダイヤルを回すことにより、正逆両方向に微細に頭出しができる2スピード・サーチダイヤルを搭載しています。
1回転あたりの再生速度は、約1秒(slow)と約30秒(fast)の2モードが選べ、最小で3フレーム(1/25秒)単位の精密なアクセスが可能です。
ピックアップを移動させるトラバースメカニズムの駆動部に、リニアモータを採用しています。マイコンを使用した独自のサーボシステムにより、曲間のピックアップ移動を約0.9秒に短縮しています。
また、ギアベルトなどの減速機構がなくなることにより、静粛性、耐久性も向上しています。
ディスク収録曲のイントロ部分のみを順次再生するプログラマブル・ミュージックスキャンを搭載しています。
1曲あたりの再生時間は1~99秒まで自由に設定が可能です。
プレイ、ポーズの基本操作から、サーチ、リピート、タイムモード表示まで、ほとんどの操作が手元で行える10キーワイヤレスリモコンを搭載しています。
また、レベルキーにより音量調整が可能なデジタルアッテネータ機能も装備しています。
テープ収録時間に合わせたCD編集が可能なプリセット・エディティング機能を搭載。
機種の定格
型式 | CDプレイヤー |
<オーディオ部> | |
出力電圧 | 2.5V(0dB、EIAJ) |
周波数特性 | 2Hz~20000Hz ±0.3dB(EIAJ) |
ダイナミックレンジ | 96dB以上(EIAJ) |
SN比 | 108dB以上(EIAJ) |
全高調波歪率 | 0.0025%以下(1kHz、0dB、EIAJ) |
高調波歪率 | 0.0012%以下(1kHz、0dB) |
チャンネルセパレーション | 108dB以上 |
ワウ・フラッタ | 測定限界以下(EIAJ) |
<信号フォーマット> | |
標本化周波数 | 44.1kHz |
誤り訂正方式 | テクニクス・スーパー・デコーディング・アルゴリズム |
複合化 | 16ビット直線 |
<ピックアップ> | |
方式 | FF-1 |
光源 | 半導体レーザー |
波長 | 780nm |
<トラバース> | |
方式 | ハイスピードリニアアクセスシステム |
<スピンドル> | |
方式 | ブラシレスD.D. |
<総合> | |
ヘッドホン出力レベル | 最大15mW/32Ω(可変) |
消費電力 | 24W |
電源 | AC100V、50/60Hz |
外形寸法 | 幅430x高さ127.5x奥行382mm |
重量 | 9.0kg |
付属:ワイヤレスリモコン | |
機能 | 27キー |
使用乾電池 | 単3乾電池1.5Vx2 |
外形寸法 | 幅65x奥行155x厚み18mm |
重量 | 140g(乾電池含む) |