TEAC X-1000R
X-1000R:¥198,000(1981年発売)
X-1000RBL:¥210,000(1981年発売)
解説
dbxやクローズドループデュアルキャプスタン、EEテープ対応などの優れた機構を搭載したテープデッキ。
ノイズリダクションシステムとしてdbxを搭載しています。
dbxシステムはテープの許容ダイナミックレンジを越えるような音を録音する場合、その音のレベルを原音の姿のままデシベルで2分の1に圧縮します。そして再生の時、2倍にレベルを伸長して元に戻します。これにより全可聴周波数帯域で30~40dBのノイズリダクション効果を実現しています。また、その他にも伝送系のダイナミックレンジの拡大や、録音レベルの飽和点を実行値として7~10dB上昇させる効果、直線的な対数圧縮・伸長を行うためレベルマッチングやパイロットトーンが不要、急激なアタック音に対してもトランジェントエラーを生じないなどの特徴を得ています。
さらに、オーディオ信号が伝送中に位相ずれを生じても、RMSレベルセンサーによってシステムは正確な動作を行います。
高密度記録用磁性材を使用したEEテープに対応するため、X-1000Rには新システムのバイアス発振回路とイコライザー回路を採用しています。また、録音・再生用ヘッドには新型の高硬度パーマロイヘッドを採用しており、経時変化の少ない優れた音質を獲得しています。
さらに消去ヘッドには、EEテープの大きい残留磁束密度に対応するため、消去効果の高いダブルギャップを採用しています。
EEテープの性能を生かすため、バイアスとイコライザーを設定したEEテープ用セレクターポジションを搭載しています。
メカニズム部には2組のキャプスタンとピンチローラーがテープを挟んで駆動するデュアルキャプスタン方式を採用しています。消去ヘッドはそれぞれのキャプスタンシャフトの外に配置されており、ループ内のテンションは常に一定で、しかもテープスパンを短くすることに成功しています。
これによりテープ走行は、フォワード/リバースとも安定し、変調ノイズやフラッター成分を大幅に低減しています。
走行系を安定させるためフルテンションサーボシステムを搭載しています。これにより、あらゆるテープの走行にもテンションアームに連動したフォトインタラプタの働きによりテンションサーボが正しく作動し、常に一定のテープテンションが得られることで、極めて安定な走行を実現しています。
この機構は左右のテンションアームにそれぞれ装備されているため、テープの巻き始めと巻き終り、正転・逆転・早送り・巻戻し動作の全てに働き、テンションを自動的にサーボコントロールします。また、フーテージローラーの回転数を検知してテンションサーボをコントロールしながら、早巻速度をセーブする役目も持っています。これによりテープ走行の安定化とテープ保護を実現しています。
マイコンコントロールによる編集機構を搭載しています。
カウンターには5桁のLEDリニア電子カウンターを採用しています。このカウンターでは時・分・秒で表示します。
カウンターの加算・減産のシステムは、正転・逆転の回転方向をフーテージローラーが回転した瞬間にマイコンが判断して行うティアック独自の機構となっています。このリニア電子カウンターにより録音のトータル時間、曲の正確な時間測定、オートスペーサーの正確な秒設定、ロケーションのサーチ、録音スタート時のタイミング取りなどを実現しています。
また、プログラムカウンターとしての機能も持っており、PROGRAMボタンを押すと、任意にその曲の時間を測定し、正転・逆転に関係なくテープ走行により加算表示します。この時、PROGRAMボタンを押す前の表示はマイコンが記憶していて、PROGRAM解除により再表示されます。
STZ(Search to Zero)機能を搭載しておりSTZボタンを押すとテープのどこからでもカウンター0表示までテープを戻します。
テープの送りは、早送りか巻戻しかをマイコンが判断して距離的に短い方選択し、0表示に近づくと自動的に電磁ブレーキがかかり、スローダウンしながら停止します。
STC(Search to Cue)機能を搭載しており、CUEボタンを押した位置をマイコンに記憶させ、その位置まで早送りか巻戻しでテープを送ることができます。デッキの動作がどのモードにあってもSTCボタンによってダイレクトに作動します。
また、STCをTape Lifterで行うこともできます。リフターを上げてテープキューイングしながら止めたい地点でリフターを下ろすと、マイコンが記憶してSTCでサーチできます。
Auto Spacerにより最大8秒間まで無信号録音スペースを作ることができます。また、Rec
Muteを2度押すとこのスペースが無限大になります。
ティアックのカセットデッキ(C-2X、C-3X、C-4X、C-3RX、V-7、V-8)と別売りコード(WR-100)で接続することで、同期してカセットへ録音することができます。
X-1000Rをプレイすると、カセットデッキはRec PauseからRec/Playに変わります。
録音、再生、消去の各ヘッドを往復とも独立させた本格的6ヘッド構成を採用しています。
早巻きからプレイ操作への移行がスムーズなモーションセンシング機構を搭載しています。
1-3、4-2トラック選択キュー機構を搭載しています。
録音ポーズからの立ち上がりがスムーズなリアルタイムポーズを搭載しています。
録音・再生の両方に働くピッチコントロール機構を搭載しています。
テープを保護する電磁ブレーキを採用しています。
リバースタイマー録音ができる独立タイマースイッチを搭載しています。
エンドレス再生が可能なオートリバース・カウンターリピート機構を搭載しています。
Rec Mute機構を搭載しています。
任意の区間を繰り返し再生するブロックリピート機構を搭載しています。
X-1000RとX-1000RBLの2種類のカラーバリエーションがありました。
X-1000Rはウッドケース別売り、X-1000RBLはウッドケース標準装備となっています。
機種の定格
型式 | テープデッキ |
トラック形式 | 4トラック・2チャンネル |
ヘッド構成 | 6ヘッド |
リール | 26形、17形 |
テープ速度 | 19cm/s、9.5cm/s |
モーター構成 | 3モーター |
駆動方式 | クローズドループデュアルキャプスタン |
ワウフラッター(WRMS) | 19cm/s:0.03% 9.5cm/s:0.04% |
周波数特性(EEテープ) | 19cm/s:30Hz~34kHz 9.5cm/s:30Hz~24kHz |
総合SN比(3%THDレベル、WTD) | dbx out:65dB dbx in:100dB |
ダイナミックレンジ(dbx in、1kHz、ピークレベル) | 115dB |
総合ひずみ率(規準レベル) | 0.8% |
ステレオ・チャンネル・セパレーション(1kHz) | 50dB |
入力感度/インピーダンス | マイク:0.25mV-72dB/適合マイク200Ω以上 ライン:60mV/50kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.45V/10kΩ以上 ヘッドホン:8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 88W |
外形寸法 | X-1000R:幅432x高さ452x奥行262mm X-1000RBL:幅474x高さ490x奥行262mm |
重量 | X-1000R:22kg X-1000RBL:26kg |
付属 | ウッドケース(X-1000RBLのみ) |
別売 | 接続コード WR-100 リモートコントローラー RC-100(¥12,000) アクリルカバー TZ-550(ケース無し用、¥5,500) アクリルカバー TZ-650(¥6,500) ウッドケース CS-100(X-1000R用、¥10,000) 10号空リール RE-1003B(¥2,300) |