オーディオの足跡

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V-9000の画像
 解説 

新時代のリファレンスを目指して開発されたカセットデッキ。

ヘッド部にはCAヘッドをブラッシュアップした新開発のCA(コバルト・アモルファス)録音・再生コンビネーション3ヘッドを搭載しています。
アモルファスは優れた電磁変換特性と耐摩耗性や硬度などの物理特性を両立した理想的なコア材です。このアモルファスの非結晶構造を生かして薄い箔状化し、14層というラミネート構造を実現しています。これにより渦電流損失を抑え高域特性を大きく向上させています。また、内部捲線にはPC-OCCを採用しており、優れた伝送能力によって歪の発生を抑えています。
消去ヘッドにはセンダストガードのダブルギャップ消去ヘッドを採用しています。このヘッドではセンダストガードを装備する事で、フェライト消去ヘッドの保磁力に伴う自己減磁や消去電流歪によるテープ信号のわずかな高域やS/N比の劣化を排除しています。

ヘッド部は亜鉛合金ダイキャストヘッドベースにマウントされており、確実なヘッドポジションによって高いアジマス精度を確保し、高域特性や位相特性を向上しています。

メカニズム部にはクローズドループデュアルキャプスタン方式を搭載しています。
この方式では2組のキャプスタンとピンチローラーによってテープを駆動する事で、テープの外乱による微振動を排除し、かつ安定したテープテンションを保っています。V-9000ではこのメカニズムをさらに高精度化しており、左右のピンチローラーの径をわずかに変えてワウフラッターの周期を分散させる周波数分散型にし、さらにピンチローラー軸受けのオイル含浸プラスチックによる微振動の吸収や、キャプスタンにミクロンオーダーのエッチング処理を施してテープスリップを防止するなど、確実で安定したテープ走行メカニズムを実現しています。

メカニズム部には3モーター方式を採用すると共に、キャプスタン軸には外径90mmの高精度大型フライホイール(慣性質量1,100g/cm3)を2個搭載し、極めて安定した回転を得ています。さらにキャプスタン軸受には38mmロングスパンメタルアッセンブリーを採用する事で回転中心精度を高めています。

ティアック独自のE.M.(Electro Magnetic)ヒステリシス・テンションサーボによるバックテンションコントロールを搭載しています。
この機構は電磁結合による非接触ブレーキで、トルク変動が少なく、また温度や湿度などの環境変化に対しても安定した動作を実現しています。常に一定したテンションによってワウフラッターや変調ノイズを大幅に抑え、ヘッドタッチも安定させ、左右の位相差を改善するなど、走行特性を向上させています。

新開発のテープテンションコンプレッサーシステムを搭載しています。
リールモーターのトルク変動はテープをそのまま伝わりワウフラッターの原因となります。テープテンションコンプレッサーシステムでは、右ピンチローラー部に設けられたテンションコンプレッサーがテープのトルク変動を大きく減少させ、ワウフラッター値を限界近くまで追い込んでいます。

アンチスタティック・カセットスタビライザーを搭載しており、カセットハーフをがっちりと抑え込んでホールドする事でカセットハーフの微振動による音質劣化を防いでいます。
このスタビライザーのアームには制振効果の高い3mm厚アルミの3層構造を採用しており、振動対策を徹底しています。
また、カセットハーフに広い部分で圧着する高導電性の特殊パッドを装備しており、ハーフの静電気を逃がして帯電を防止しています。これによりテープ走行によって静電気が発生して蓄積された際に、ヘッド周りや空気中の埃を吸い寄せてドロップアウトや傷の原因となるのを防いでいます。

ダブルロック・カセットホルダーを採用しており、1.6mm厚の鉄板で剛性を高めると共に左右両側を確実にロックしてカセットの浮きから発生する振動やホルダー部の共振を抑えています。

トライアングルカセットサポートシステムを採用しており、4点サポートではハーフの反りなどの影響でいずれかが浮いてがたつきが発生していたのを3点支持にしてハーフ浮きを防いでいます。

ダイナミック・トルク・ダンパー付きリール台を採用しており、モーターの微小コギングによって生じる巻取軸部の振動をリール台からカセットハーフ内のハブへ動力を伝える部分で吸収しています。

再生アンプは±2電源でダイレクトカップリング方式のオールDCアンプ構成としています。
ヘッドアンプの入力カップリングコンデンサを排したFET入力回路によるDCサーボ構成によって、録再で10Hzをクリアするなど低域の周波数特性を大きく向上しています。
さらに電源電圧の供給力を約40%アップしてアンプ部の余裕を大幅に増大しており、特にドルビーIC出力もカップリングコンデンサーを無くして高耐圧化し、ハイレベル録音テープにも充分なヘッドルームを残しています。また、出力レベルもドルビーで0dBとしています。
録音側では従来の0dBから1.1dBアップしたDIN250nwb/mに変更しており、ダイナミックレンジの広いハイレベルソースにもマージンを持った録音を可能にしています。

録音ボリュームには、L/Rシールドのアルミダイキャストの密閉ケースに収められたものを採用しており、基板と直付け構造としています。

アンプ部、電源部、ディスプレイ部などの基板を分離したうえ、各部を専用のインナーシャーシに収めた完全シールドの独立構造とする事で相互干渉によるノイズの発生を防いでいます。
また、回路には最短距離で構成したストレート設計によって伝送時のトラブル発生を抑えています。

バイアス信号周波数を210kHzまでシフトしており、信号入力などの高調波とバイアス周波数との間でのビートを回避しています。

シャーシ構造は徹底した制振によって高剛性化を図ったハイリジット構造シャーシとしています。
テープ走行メカニズム部はU型の専用シャーシに収めてからフロント側と強固に一体化した二重構造となっています。また、フロント、リアシャーシ、独立のサイドシャーシと底面全体を保持するボトムシャーシの一体化による重層構造によって高剛性化を図っています。
さらに、逆U型でトップパネル部分に制振シールドを装着したシャーシと一体化したボンネットや制振効果の高いサイドウッドによってあらゆる振動の影響を排除しています。

脚部には内部損失が高くて高比重で音速が速い特殊金属複合材のインシュレーターを採用しています。

ドルビーHXプロを搭載しています。

ノイズリダクションシステムとしてドルビーB/Cを搭載しています。

CDダイレクト入力を装備しています。

15曲まで飛び越し選曲が可能なCPS機能を搭載しています。

録音、再生で自動的に切り替わるオートモニターを搭載しています。

ピークレベルやテープ残量表示切替が可能なテープカウンターを搭載しています。

メモリーストップ機構を搭載しており、早送りや巻戻し時にテープの任意位置でストップできます。

オートRECミュートを搭載しています。

ディスプレイON/OFFスイッチを搭載しています。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

ゴールドとブラックの2色のカラーバリエーションがありました。

機種の定格
型式 カセットデッキ
トラック形式 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式
ヘッド 録再:PCOCCコバルトアモルファスコンビネーションヘッドx1
消去:センダストガードヘッドx1
モーター キャプスタン:DCサーボモーターx1
リール:DCモーターx1
メカニズム:DCモーターx1
ワウ・フラッター 0.025%(W.RMS)
±0.045%(W.Peak EIAJ)
周波数特性(EIAJ) メタル:25Hz~21kHz ±3dB
クローム:25Hz~20kHz ±3dB
ノーマル:25Hz~18kHz ±3dB
総合SN比 60dB(NR off、3% THDレベル、WTD)
70dB(ドルビーB NR on、5kHz以上)
80dB(ドルビーC NR on、1kHz以上)
早巻時間 約70秒(C-60テープ)
入力感度/インピーダンス ライン:60mV/50kΩ以上
CDダイレクト:60mV/50kΩ以上
出力レベル/インピーダンス ライン:0.3V/50kΩ以上
ヘッドホン:40mW/8Ω
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 28W
外形寸法 幅472x高さ149x奥行355mm
重量 10.2kg
付属 ワイヤレスリモコン RC-365