SONY TC-K777ES
¥168,000(1982年発売)
解説
音質を最優先し、一切の妥協を捨てて開発されたESシリーズ最高峰モデル。
ヘッド部には、占有スペースはコンビネーションヘッドと同等で、録音用、再生用の両ヘッドに均一なヘッドタッチと高精度のアジマスが得られる独立懸架型3ヘッド方式を採用してます。
ヘッドには、コア材にSN比に優れ磁気飽和がしにくいアモルファス磁性合金を使用したレーザーアモルファスヘッドを搭載しています。
キャプスタン駆動には、モーターの回転軸をそのままキャプスタンとし、それをクォーツロックで回転速度をサーボするクォーツロックダイレクトドライブ方式を採用してます。
モーターには音響機器用として高い性能を持つリニアBSLD.D.モーターを採用しています。
安定したテープ走行とヘッドタッチを得るため、クローズドループデュアルキャプスタン方式を採用しています。
これは、ヘッドを中心に配置した2組のキャプスタンとピンチローラーでテープを挟み込み、テープ走行を安定させる方式で、リールから伝わるテープ振動を断つことでワウ・フラッター特性が向上し、また、テープ振動のスパンを短く区切れるためモジュレーションノイズを可聴帯域外に追放でき、さらに2つのテープテンションを利用し、常に一定したヘッドタッチを実現するなどの特徴を持っています。
これにより、テープの走行安定性やテープとヘッドの密着性を高めています。
アンプ部にはシンプル&ストレート思想に徹した全段L/Rツインモノ構造とし、信号の流れに沿った回路レイアウトでまとめたDCアンプ構成となっています。
また、ヘッドと再生アンプのダイレクトカップリングや信号変調要因を極力排除したデュアルFET差動2段SEPP回路、さらにセパレートレイアウトされた高能率変形トロイダル・カットレスコア電源トランスなどを採用することで、音質を優先した構造となっています。
より音質を向上させるため、シャーシにも音質重視を徹底した構造を採用しています。
このため、基本シャーシにはオーディオ回路に磁気歪が生じるのを防ぐカッパータイト(銅メッキ処理)が使用されています。
また、ダイキャスト製のヘッド基台や振動を分散させる芽かブロックを採用することで、テープ走行系への振動を低減しています。
使用するテープごとに細かく調整できる±20%のバイアスキャリブレーションや、ドルビーNRの効果を最大限に発揮させる録音レベルキャリブレーションを搭載しています。
さらに、レベルメーター部の表示が、調整モードに合わせて切替わり、専用ディスプレイとなります。
ドルビーNR B/C回路を構成するICには、左右チャンネル対称構造のシンメトリープロセスドルビーICを採用し、定位を向上させてます。
また、ドルビーNRを使用しない場合は、NR回路はオーディオ回路から完全にパスすることができます。
多機能ワイドレンジピークプログラムメーターや、テープ走行量を分秒単位でデジタル表示するリニア電子カウンターを搭載しています。
カウンター連動メモリーストップ/プレイ、オートスペース付Rec Mute、別売りタイマーによる連続留守録音/目覚まし再生、RM-65によるソニーのプレイヤーとのシンクロプレイなどの機能を搭載しています。
固定出力と可変出力を搭載しており、可変出力はインピーダンス変化の少ない5ステップのアッテネーター式で、ヘッドホン出力と連動しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
ヘッド | 再生ヘッドx1 録音ヘッドx1 消去ヘッドx1 |
モーター | リニアBSLD.D.モーターx2 |
SN比 | 57dB(EIAJ) 61dB(Dolby off、ピークレベル、メタルテープ) 74dB(Dolby NR C) |
周波数特性 | 15Hz~19kHz ±3dB(EIAJ、メタルテープ) |
周波数範囲 | 10Hz~20kHz(EIAJ、メタルテープ) |
ワウ・フラッター (EIAJ) |
±0.036%Wpeak 0.020%WRMS |
歪率 | 0.3%(EIAJ) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 39W |
外形寸法 | 幅430x高さ105x奥行390mm |
重量 | 10.0kg |