オーディオの足跡

PR:SONY/ESPRITの製品をヤフオク!で検索
PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

MDS-JA50ESの画像
 解説 

ATRAC用DSPやワイドビットストリームテクノロジーを投入したESシリーズMDデッキのプレステージモデル。

音声圧縮技術ATRACのフォーマットを最大限に生かし、さらに音質の向上を図るため、新開発のATRAC用DSP採用によるワイドビットストリームテクノロジーを導入しています。この技術では、第4.5世代にあたる新ATRAC用DSPをキーデバイスとして、入出力の20ビット化、演算語調の拡大=24ビット(データ)x24ビット(係数)を図っています。
さらにMDS-JA50ESでは、オーディオ帯域を低・中・高の3つのブロックに分け、ブロックごとにフローティング演算を実施し、大きいデータを持つブロックはそのままに、小さいデータを持つブロックは、ブロックごとレベルを一旦持ち上げて演算することで、従来切り捨てられていた下位ビットの再生が可能になり、微小レベルの音楽信号の再現性が向上しています。これにより、20ビット相当精度のダイナミックレンジの広い録音・再生を可能にしています。
また、A/D変換部には、高精度オーバーサンプリング方式の24ビットΔΣ(デルタ・シグマ)A/Dコンバーターを搭載しています。

高域の再現性や自然な音の広がり感を向上させる適応高域制御技術を導入しています。
これは、人間の聴感に基づき、入力信号に応じて高域を制御することで、限られたデータ量を有効に使うアルゴリズムとして開発されたものです。このアルゴリズムでは、例えば、量子化ビット数が少ないと歪感の悪化を感じる規則正しい周波数成分が含まれる信号は、約15kHzから22.05kHzの間で制限して量子化ビットの増加に努めます。対して、量子化ビット数不足の影響が少ない複雑な周波数成分を含む信号では、高い周波数まで再生帯域を延ばして高域の再現性を向上させるように動作します。
この適応高域制御技術と演算語調の拡大が相まって、信号処理の精度が向上し、従来に比べ全高調波歪率が約8dB改善されています。

32kHzや48kHzの各サンプリング周波数を44.1kHzに自動変換し、音質劣化の少ないデジタル録音を可能にするサンプリングレートコンバーターを搭載しています。

D/A変換部には、ソニーのESシリーズのCDプレイヤーで採用されているカレント・パルスD/Aコンバーターを採用しています。電圧として出力されるパルスを電圧性ノイズの影響を受け難い電流に置き換えて伝送しており、安定した電流源を持つ事と、電圧変動の影響を受けないことで安定した低域再生を実現しています。

電源部には、トランスの鉄芯に切れ目が無く、さらに断面も円形のドーナツ型にすることで磁束漏れと振動を減少させたRコアトランスを採用しています。

フロントパネルにはBASCパネルを採用しています。BASCはB(Brass=真鍮)、A(Aluminium=アルミニウム)、S(Steel=スチール)、C(Construction=構造)の頭文字をとったもので、モールド部品の組合わせでは出せない構造精度と共振の追放を追及しています。
モールド部品の場合、ビス止めできるポイントはある程度限られ共振する部分が残ります。また、精度的にも部品を成形する際の伸縮が存在し、精密感が足りないものとなります。これに対し、金属部品は高精度な加工が行えることで高度な構造精度が追及でき、さらに部品の結合ポイントも要所要所に設けることができます。さらに、それぞれ固有振動数の異なる3種類の金属を組合わせることで、お互いの振動を止め合う効果も得られます。
MDS-JA50ESでは、スチールのベースにブラスのガイドが設けられ、アルミのパネル板と結合されています。また、ボリュームなどのパーツはブラスのガイドに取り付けられ、アルミパネルから顔を出すようになっています。
さらに、ボリュームのツマミやボタン類もほとんどアルミ製としています。

シャーシにはFBシャーシを採用しており、十分な強度と厚みを持ったメタル材を使用し、外周を取り囲むブレームと前後に渡したビームで、シャーシ全体を一つの箱として強固に固めています。それぞれの部分に異なる形状と大きさの部材を組合わせることで固有振動を相互に打消し、シャーシ全体としての振動を低減しています。
さらに、メカデッキのシャーシには、十分な厚みを持ったメタル材を使用しており、ベースユニット部を囲む形で強固なメタルを組み合わせ、一つのシェルを形成しています。これにより剛性だけでなく、振動に対しても強い構造となっています。

シャーシへの取り付け穴の位置をセンターからオフセットした偏心インシュレーターを採用しています。これにより外部から伝わる信号を相互に打消し合い、シャーシに伝わり難くすることで、特に聴感に影響する中高域の振動成分の減衰に効果を発揮しています。

デジタルRECレベルコントロールを搭載しており、ゲイン0dBを中心として-∞dBから最大+12dBまでコントロールができます。さらに、入力ソースのレベルをチェックし、ゲインオーバーでクリップ(飽和状態)が発生すると、クリップ状態が続いている間、不自然にならないように除々にボリューム値を絞るノンクリップ回路を搭載しています。
また、デジタル録音レベルを調整するときのボリューム変化カーブも選択可能となっており、曲の雰囲気に合わせてLinear(リニア)、Sin(サイン)、Log(ログ)の3つのカーブから選ぶことができます。

V.C.(Variable Coefficient)デジタルフィルターを搭載しており、MDの再生時に機能させることでデジタルフィルターの遮断特性を変え、微妙な音の変化が得られます。可変デジタルフィルターのポジションは4種類あり、好みに応じた音質の調整が可能です。

無音と判断する検出レベル及び検出時間が選択できる可変レベルシンク機能を搭載しています。

1分または5分ごとに自動的にトラックマーキングできる等間隔トラックマーキング機能を搭載しています。

同じディスク内の曲名やディスク名をコピーできるネームコピー機能を搭載しています。

再生中に電源を切っても次にその位置から再生できるリジューム機能を搭載しています。

録音・再生中の最大レベルがチェックできるピークホールド機能を搭載しています。

デジタル出力の語調を切換えられるデジタルアウト語調切替え機能(20bit/16bit)を搭載しています。

フェードイン/フェードアウト機能を搭載しています。

タイムマシン録音機能を搭載しており、録音ポーズ状態でマルチジョグダイヤルを押すと最大6秒前の音に遡ってディスクに記録されます。

直前の編集操作をキャンセルしてやり直すことができるUNDO機能を搭載しています。

COMBINEやDIVIDEでの編集ポイントを確認できるリハーサル機能を搭載しています。
編集ポイントの移動は、DIVIDEの編集点を分・秒・フレーム(約0.01秒)単位で微調整できます。

1曲内の指定した2点間を消去できるA-B ERASE機能を搭載しています。

ディスク名や曲名を約1,700文字までディスクに記録できるタイトル機能を搭載しており、従来のアルファベットや数字、記号に加えカタカナ文字も使用できます。
入力は、録音・再生中でも本体及びリモコンで行えます。また、別売りのカタカナ入力専用リモートコマンダーを利用することで、ダイレクト入力が可能です。

モノラルフォーマットのディスクは再生のみ対応しています。

デジタル録音はSCMS(シリアルコピーマネージメントシステム)により、1世代に限り可能で、2世代以降のデジタル録音はできません。

ゴールドとブラックの2種類のモデルがありました。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格
型式 MDデッキ
A/Dコンバーター 24bit⊿∑
D/Aコンバーター カレントパルスD/Aコンバーター
可変(V.C.)フィルター
録音方式 磁界変調オーバーライト方式
再生方式 非接触光学式
レーザー 半導体レーザー(λ=780nm)
回転数 約400~900rpm
符号化方式 ACIRC
サンプリング周波数 44.1kHz
音声圧縮方式 ATRAC
変調方式 EFM(8-14変調)
チャンネル数 2チャンネル
録音・再生時間 ステレオ:最長74分
モノラル:最長148分
周波数特性 5Hz~20kHz ±0.3dB
ダイナミックレンジ 105dB以上(再生時)
SN比 108dB以上(再生時)
全高調波歪率 0.002%以下(再生時)
ワウ・フラッター 測定限界(0.001%W・peak)以下
入力端子 ライン:1系統
光デジタル:2系統
同軸デジタル:1系統
出力端子 ライン:1系統
光デジタル:1系統
ヘッドホン:1系統
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 22W
外形寸法 幅430x高さ125x奥行375mm
重量 約14.3kg
付属 ワイヤレスリモコン RM-D14M
別売 カタカナ入力専用リモートコマンダー RM-D10P(¥7,500)