オーディオの足跡

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CDP-XA50ESの画像
 解説 

光学系固定方式メカニズムと可変デジタルフィルターを搭載したESシリーズのCDプレイヤー。

メカニズム部には光学系固定方式メカニズムを採用しており、光学ピックアップを強固なベース部に固定し、ディスク側を移動させる方式となっています。これによりピックアップの受ける振動を大幅に減らし、サーボに必要な電流はディスクの歪や偏心に対する補正を行う比較的ゆっくりとした動きだけにし、サーボ電流の変動を低減しています。
この方式ではディスクはスタビライザーを用いて上から固定し、ディスクの振動を排除しています。また、ディスク駆動モーターには回転ムラの少ないBSLモーターを使用しています。
CDP-XA50ESではピックアップベースに亜鉛ダイキャストを採用することで共振を大幅に低減しており、微小レベルの音の再生能力を高めています。

デジタルフィルターには新開発の可変(V.C.)デジタルフィルターを搭載してます。
デジタルフィルターのフィルターとしての遮断特性や位相特性は計算式によって設定することができ、これらの特性を変えれば音質が変化します。そこで、新開発のデジタルフィルター用ICに複数の計算式を登録しており、手持ちのオーディオ機器や部屋の環境、曲に合わせて好きなポジションを選択できます。
ESシリーズではシャープ・ロールオフ特性のスタンダードポジションに加え、スロー・ロールオフ特性のNo1、2、3、4を搭載してます。さらにNo3と4はそれぞれ3段階から選択できトータル9ポジションが選択できます。

可変デジタルフィルターのスタンダードとスプラインのポジションでは、フル・フィードフォワード方式デジタルフィルターを採用しています。
このデジタルフィルターでは、まずディスクから得たデータとデータの中間点に補完データを生成し、できたデータを用いて次の補完データを作るという2倍型デジタルフィルターを3段階連結した方式を採用しています。従来のデジタルフィルターではここで得られた演算結果の下位ビットを四捨五入して上位ビットだけを利用していましたが、この四捨五入による誤差が原因で再量子化ノイズが発生していました。
フル・フィードフォワード方式デジタルフィルターでは、四捨五入された下位ビットを別ルートで伝送してメモリーし、次段の演算結果と合成するFF(フルフィードフォワード)演算を行うことで、下位ビットのデータも反映したオーバーサンプリング演算を実現しています。これにより可聴帯域内での再量子化ノイズはほぼ完全に除去できており、レベルの小さい信号のクオリティを大きく向上させています。

D/A変換部にはカレント・パルスD/Aコンバーターを採用しています。
この方式では、安定した綺麗な電流源を用意し、パルス生成器の出力を利用してスイッチングすることで電流パルスを生成しています。これにより電圧を用いていた従来のパルスD/Aコンバーターで問題となった電圧変動の影響や、演算回路の電圧性ノイズの影響を排除しています。
また、パルスD/Aコンバーターの出力を差動合成するコンプリメンタリーPLMを採用しており、高調波歪を低減しています。

ラインアンプ部には信号経路からカップリングコンデンサーを排除したDCサーボアンプ構成を採用しています。これによりコンデンサー特有のカラーレーションを排除するとともに超低域まで安定した増幅を実現しています。
また、オーディオ系のI-V変換回路オペアンプには帯域とスルーレート特性を向上させたタイプを採用し、バッファー段のオペアンプにもノイズレベルと歪を大幅に抑えたタイプを搭載しています。これにより切れ味の鋭いシャープなサウンドを実現しています。

サーボ回路にはハイプレシジョン・デジタルサーボを採用しており、演奏するディスクごとに光学ピックアップのサーボ量を調整することでディスクのコンディションをより的確に反映したサーボコントロールを可能にしています。

ディスク回転系及び光学ピックアップのドライブ回路にファインドライブ回路を採用しており、同相ノイズの打ち消しが可能なバランスプッシュプルで構成しています。これによりアースラインへのノイズ混入を防いでいます。
また、デジタル回路基板を最小限の容積にまとめた上でオーディオ回路基板から分離し、メカデッキ部に配置することでオーディオ部への影響を低減しています。

表示部には表示の変化のない部分は点滅しないスタティック方式のFL管を採用しています。
これにより表示部で発生するノイズを低減し、オーディオ回路への影響を抑えています。

電源部にはRコアトランスを2個搭載しており、デジタル及びサーボ系とオーディオ系を独立給電することで回路間の相互干渉を低減しています。
Rコアトランスは鉄芯の切れ目が無く断面が円形のドーナツ型となっており、磁束漏れと振動を大幅に低減しています。

内部レイアウトにはセンターメカマウントシステムを採用しており、CDプレイヤー唯一の機械的動作セクションでもあるメカデッキをシャーシ中央に配置することでシャーシに加わる回転モーメントを最小に抑え、振動に対する安定度を高めてます。

シャーシにはFBシャーシを採用しており、外周を取り囲むフレーム(Frame=枠)と前後に渡したビーム(Beam=梁)でシャーシ全体を一つの箱として強固に固めた構造としています。それぞれ異なる形状と大きさの部材を組み合わせることで固有振動を相互に打ち消し、シャーシ全体としての振動を大きく低減しています。
また、天板には二重構造のトッププレートを装備しています。

脚部には偏心インシュレーターを採用しています。
このインシュレーターは取り付け穴の位置をセンターからオフセットした設計になっており、外部振動を相互に打ち消し合うことでシャーシへの振動伝搬を低減しています。穴の位置や直径については試作と試聴を繰り返して決定しており、特に聴感に影響を与える中高域の振動成分の減衰に効果を得ています。

数曲前または後の曲の頭出しを行うAMSをジョグダイヤルによるロータリー選曲方式としています。
これにより目的曲近くまでは急速に、あとはゆっくり、などの指先の感覚を生かした選曲が行えるようになっています。

カスタムエディット機能を搭載しており、ピークサーチ、タイムエディット、ジャストエディット、プログラムエディット、タイムフェード、マニュアルフェーダー、可変フェードなどの機能を操作できます。

カスタムファイル機能を搭載しており、カスタムインデックスやデリートバンクのメモリーが可能です。
最大対応枚数は224枚までとなっています。

デリートプレイやシャッフルプレイ、デリートシャッフル、オートスペース、タイマープレイ(オートスタート)、8モードリピート、インデックスサーチなどの機能を搭載しています。

光と同軸の2系統のデジタル出力を搭載しています。

アナログ出力は固定と可変の2系統を搭載しています。
また、ラインアウト兼用のボリューム付きヘッドホン端子を搭載しています。

ワイヤレスリモコンが付属しています。

機種の定格
型式 CDプレイヤー
D/Aコンバーター カレント・パルスD/Aコンバーター
デジタルフィルター 可変デジタルフィルター
周波数特性 2Hz~20kHz ±0.3dB
ダイナミックレンジ 100dB以上(EIAJ)
全高調波歪率 0.0017%以下(EIAJ)
ワウ・フラッター 測定限界(±0.001%W.peak)以下(EIAJ)
デジタル出力 光:-18dBm(発光波長660nm)
同軸:0.5Vp-p/75Ω
アナログ出力 固定:2Vrms
可変:2Vrms~0V
ヘッドホン出力 28mW(32Ω負荷)
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 18W
外形寸法 幅430x高さ125x奥行375mm
重量 約15.2kg
付属 ワイヤレスリモコン RM-DM950
 
可変デジタルフィルターのポジションとその概要
ポジション 遮断特性 位相 インパルス応答 タイプ/方式 音の印象
シャープロールオフ
スタンダード 従来型デジタルフィルター/
フル・フィードフォワード方式
広いレンジ感
広がり感
スローロールオフ
No1
スプライン
3次スプライン関数/
フル・フィード方式
滑らかな感じ
音像定位が明瞭
No2
プレーン
再量子化ノイズレス/
ダイレクト8倍方式
鮮度の高い音
力強さ
No3
アナログタイプ
7次バターワース/
ダイレクト8倍方式
雰囲気のある暖かい音
奥行感
No4
バターワース
バターワース次数可変
(5次~9次)
直線位相/
ダイレクト8倍方式
バランスの取れた心地よい音