SONY DAS-R1
¥300,000(1988年頃)
解説
デジタル信号の極めて高精度なアナログ変換と、無共振化を徹底して推し進めたD/Aコンバーター。
デジタルフィルターには、8倍オーバーサンプリングの18ビット・タイプを採用しています。
CDプレイヤーから入力された44.1kHzのサンプリング周波数を、8倍の352.8kHzに変換し、情報密度を大幅に高めるとともに、アナログフィルターの負荷を軽減させる事で音質を向上させています。
また、DAS-R1のデジタルフィルターは293次と極めて高次なため、帯域内のリンプル±0.00001dB以内、プリエコー-124dB以下、150kHzまでのリジェクション120dB以上という優れた特性を実現してます。さらに、演算誤差は、最終的に出力される18ビットの演算値よりも十分に小さいため、事実上エラーレスとなってます。
再量子化ノイズを低減するため、ノイズシェイピングという演算手法を導入しています。
この手法は、常にデータの誤差を累積していき、四捨五入時に累積誤差も考慮して出力を決めています。
D/A変換方式にはオーバーラップ・スタガードD/A変換方式を採用しています。
この方式は、4fsで動作するD/AコンバーターICを片チャンネル当たり2個使用し、動作タイミングを半周期ずらして出力を合成するというもので、2個のD/Aコンバーターは8倍オーバーサンプリングのデータを交互に入力され、オーバーラップ動作をします。
この方式の特徴は、一種のフィルター特性であるアパーチャー効果が、8fsのD/A変換でありながら4fsから始まる事で、これにより4fs付近に集中するノイズシェイピングによって生じたディザーノイズを打ち消しています。
また、オーバーラップ動作にともない、歪やノイズが平均化され、D/Aコンバーターが単独の場合に比べて、歪率が最大3dB向上しており、さらに出力電流が2倍になることから、SN比が最高6dB改善されています。
シャーシには、不要振動や共振の排除を目指し、FBシャーシを採用しています。
これは、外周を一周するフレームと、前後のフレームをつなぐ数本のビームで構成されており、十分に厚みをとった各部材が強固にジョイントされています。
電源部には、デジタル用、アナログ用にそれぞれ専用の電源トランスを配し、相互干渉を抑えています。
また、内部スペースの約2/3を占めるほど電源部にたっぷりと余裕をもたせ、安定した電源供給を補償しています。
CDP-R1との接続用のツインリンク・オプティカル入力端子のほか、2系統のコアキシャル(同軸)入力端子を搭載しています。
デジタル入力は、サンプリング周波数32kHz、44.1kHz、48kHzの3種に自動対応していいます。
また、動作中のサンプリング周波数を示すインジケーターや入力切替スイッチに連動したDigital
Inputインジケーターにより、演奏中のプログラムソースを判別できます。
機種の定格
型式 | D/Aコンバーター |
デジタル同軸入力端子 | 2系統(ピンジャック) 入力信号レベル:0.5Vp-p ±20% 入力インピーダンス:75Ω |
ツインリンク端子 | ツインリンクジャック 光波長:800nm ファイバー径:0.2mm往復式 |
ライン出力端子 | ピンジャック 出力レベル:2.5Vrms(MSB) |
チャンネル数 | 2チャンネルステレオ |
複合化(D/A) | 16ビット直線 |
周波数特性 | 10Hz~20000Hz +0 -0.5dB (入力デジタル信号サンプリング周波数:44.1kHz以上) |
高調波歪率 | 0.003%以下(EIAJ) |
S/N比 | 110dB以上(EIAJ) |
ダイナミックレンジ | 97dB以上(EIAJ) |
チャンネルセパレーション | 100dB以上(EIAJ) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 25W |
外形寸法 | 幅470x高さ125x奥行410mm |
重量 | 約17kg |