SONY TA-8650
¥295,000(1973年発売)
解説
忠実な波形伝送を実現するため、V-FET採用第1号のプリメインアンプ。
V-FETをはじめ、モジュール化されたDCユニットアンプなど実に数十にのぼる新デバイスを開発し、その全てを投入したアンプで、それまでのESシリーズを発展させたES-IIシリーズの最初の機種でした。
V-FETはソニーが独自に開発した素子で、パルス応答特性が良い、ピンチオフ特性がなめらか、高入力インピーダンス低出力インピーダンス特性、NチャンネルPチャンネルのコンプリメンタリー特性、電圧応答素子であるなどの特徴を持っており、高域特性が優れ、クロスオーバー歪やノッチング歪が少ないなどの性能を持っています。
パワーアンプAクラス段は、初段デュアルFETによる3段差動増幅で、出力段はV-FETによるピュアコンプリメンタリー・トリプルプッシュプル構成となっています。
イコライザー段は波形伝送可能なDCユニットアンプ(BX-269)とICアンプを採用しています。
BX-269は初段のFET差動増幅をはじめとした回路をモジュール化したもので、直流からMHzオーダーまでフラットな周波数特性を優れた位相特性を得ています。
Phono1は一般用、Phono2にはLow、High、MC型用のヘッドアンプの3ポジションとなっています。
カートリッジの入力にはダイレクトカップリング方式を採用しています。
また、ヘッドアンプにはMC型の低インピーダンス信号源に威力を発揮する低雑音特性のLECトランジスタを採用しています。
あらゆる市販のマイク、使用条件に応えるため、高耐圧ローノイズICをマイクアンプに採用しています。
DCユニットアンプ(BX-270)をバッファアンプに採用しており、シャープな遮断特性のロー/ハイフィルターを搭載しています。
音場補正をするアコースティック・コンペンセーターを搭載しており、5ポジションの切り替えが可能です。
また、ミューティングスイッチやターンオーバー周波数切替え可能なトーンコントロールを搭載しています。
プリセットつきのボリュームを搭載してます。
応答速度の優れた発光ダイオード(LED)によって入力レベル(マイクやフォノ)、出力レベルのクリップポイントを警告するクリップレベルインジケーターを搭載しています。
4ch用アダプターやオクターブ・イコライザー、3台目のデッキなどが接続可能なエキストラ・アダプター端子を搭載しています。
1パック内に2つのコンデンサー素子を封入した±2電源用電解コンデンサーを採用しています。
ダクトを設けて強制的に空冷するチムニー型ヒートシンクを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ | ||||
実効出力(両ch動作) | 1kHz:90W+90W(8Ω) 20Hz~20kHz:80W+80W(8Ω) |
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高調波歪率 | 0.1%以下(実効出力時) | ||||
混変調歪率 | 0.1%以下(実効出力時) | ||||
ダンピングファクター(1kHz、8Ω) | 200以上 | ||||
Phono最大許容入力(1kHz) | 175mV、310mV | ||||
トーンコントロール (括弧内はターンオーバー周波数) |
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フィルター | Low:10Hz/40Hz以下、12dB/oct High:9kHz/20kHz以上、12dB/oct |
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アコースティックコンペンセーター | Low1、2、プレゼンス、ラウドネス | ||||
消費電力 | 240W | ||||
外形寸法 | 幅440x高さ170x奥行425mm | ||||
重量 | 20.8kg |