OPTONICA SM-5000V
未発売機種(1975年頃)
解説
縦型FETやMIDV方式のドライバー段を採用したプリメインアンプ。
このシリーズは試作機の完成形まで出来ていたようですがシャープのオーディオ事業の方針転換によって発売には至りませんでした。
パワーアンプ部の出力段には縦型FETを採用しています。
縦型FETはNチャンネルとPチャンネルを一組とした純コンプリメンタリ構成で、明快な対称動作をさせることができ、NFをかける前の裸特性が非常に素直なため、高調波歪やノッチング歪が少なく自然な音質を得ています。
また、ドライバー段にはMIDV(Matched Impedance Driver for Vertical FET)方式を採用しており、低インピーダンス駆動回路で縦型FETの特長を生かしています。
このドライバー段の方式では縦型FETを余裕を持ってドライブするため利得自体を低くとっているためメインアンプに必要なり得を得るにはプリドライバーが必要となります。そこで、SM-5000Vではオプトニカが開発した直結FET増幅回路DCV(Direct Cupled Vertical FET)アンプを採用しています。ローノイズFETの作動回路と縦型FETを無調整で直結できるため、ノイズが少なく、優れた周波数特性が得られ、歪が少なく、かつ安定であるという特長を持っています。このDCVアンプをプリドライバーとしてMIDV方式でドライブすることにより、歪の少ない理想的な波形伝送を可能にしています。
NF型のトーンコントロール回路にもDCVアンプを採用しています。
ローノイズFETでノイズを抑え、電圧増幅には高耐圧縦型FETを使用することでノイズやダイナミックレンジの点に配慮しています。
また、ターンオーバースイッチを搭載しており低域と高域共に2段階切換えが可能です。
イコライザーアンプ部にはDCVアンプPhaseIIを採用しています。
これはDCVアンプの基本構成を保ちつつローノイズFETと縦型FETの組合せを特にイコライザー用に改良したもので、特に低域のフリッカノイズを減少させています。(CACDS採用)
ミューティング回路にはフォトカプラーを採用したフェードインミューティングを採用しています。
この方式ではミューティングを解除した時に音量がスムーズに大きくなるよう設計されており、OFF時に急に大きな音が出るのを防いでいます。
また、ミューティング回路での歪を防ぐためCdS+ランプのフォトカプラーを採用しています。
サブソニックフィルターとハイフィルターを搭載しています。
ボリュームには33ステップ式の高級ディテントボリュームを採用しています。
過熱防止回路にポジスタを採用しています。
プロテクション表示には2色LEDを採用しています。
トーンディフィートスイッチを搭載しており、トーン回路をジャンプできます。
ダビングスイッチを搭載しており、ダビング中に他ソースの視聴が可能です。
ラウドネスコントロールを搭載しています。
プリアウト、メインイン端子を搭載しています。
機種の定格
型式 | プリメインアンプ |
<パワーアンプ部> | 回路方式 | オールFET純コンプリメンタリOCL |
実効出力 | 50W+50W(8Ω、両ch動作、20Hz~20kHz) |
高調波歪率 | 0.1%(実効出力時) |
混変調歪率 | 0.1%(実効出力時) |
周波数特性 | 5Hz~100kHz |
SN比(IHF-A、ショートサーキット) | 100dB以上 |
ダンピングファクター | 30以上(1kHz、8Ω) |
残留雑音 | 1mV以下(8Ω、プリ+パワーアンプ) |
入力感度/インピーダンス | Main in:800mV/50kΩ |
出力端子 | Speaker:A、B、A+B Headphone:4Ω~16Ω |
<プリアンプ部> | |
回路方式 | 縦型FETイコライザー、FETプリアンプ回路 フォトカプラー使用ミューティング回路内蔵 |
入力感度/インピーダンス | Phono1、2 MM:2.5mV/47kΩ Tuner、Aux、Tape Monitor1、2、Tape MOnitor2(DIN):150mV/47kΩ |
Phono最大許容入力(1kHz) | 300mV |
出力レベル/負荷インピーダンス | Tape rec1、2:150mV/47kΩ Tape rec2(DIN):30mV/80kΩ Pre out:800mV/10kΩ以上 |
周波数特性 | Phono(RIAA偏差):30Hz~15kHz ±0.3dB Tuner、Aux、Tape monitor:5Hz~100kHz +0 -1dB |
SN比(IHF-A、ショートサーキット) | Phono:80dB以上 Tuner、Aux、Tape monitor:90dB以上 |
トーンコントロール | Bassターンオーバー:600Hz、300Hz Trebleターンオーバー:1.5kHz、3kHz |
サブソニックフィルター | 10Hz/30Hz、6dB/oct |
ハイフィルター | 7kHz/20kHz、6dB/oct |
ラウドネスコントロール(Volume-34dB) | +4dB(100Hz)、+2dB(10kHz) |
ミューティング | -20dB、フェードイン時定数2(秒) |
<総合> | |
使用半導体 | FET:32個 IC:3個(うちFET IC 2個) トランジスタ:18個 ダイオード:34個 |
電源コンセント | 電源スイッチ連動:2系統 電源スイッチ非連動:1系統 |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
定格消費電力 | 175W |
外形寸法 | 幅442x高さ145x奥行375mm |
重量 | 15kg |