オーディオの足跡

PR:ヤフオク!で中古オーディオを検索

Σ2000の画像
 解説 

寺垣研究所の寺垣氏がセイコーエプソンとの共同開発で開発したレコードプレイヤー。
完全な変換器に限りなく近いプレイヤーを作り上げる事を目標に、支点の明確化という観点で開発を進め、「表面粗さ計」ともいえる極めて正確なプレイヤーを実現しています。

Σ2000は1994年に発表されたΣ5000の廉価タイプとして発表された機種で、50台ずつ2回生産されました。

軸受構造は、1.5゜傾いた主軸が2枚の円板に寄り掛かるような構造となっており、軸受のクリアランスが常に0となるように作動しています。これにより、油膜の厚さによるガタすら防いでいます。
主軸はSKS鋼に硬質クロームメッキを施し、高精度研磨してあり、円板の接触幅は1mm以下で接触面積を極力減らしてあります。さらに、円板の硬度を僅かに落とすことで、使うほど主軸の仕上げ面が転写しSN比が向上しています。
主軸の下部は超硬ボールによる点構造となっており、摩擦が最小で、かつターンテーブルの波動が変調されることなく伝達されるよう設計されています。

ターンテーブルは黄銅の押出し材を十分なアニール処理を行った後、高精度旋盤により仕上げてあり、音質を考慮してメッキやコーティングなどの処理が行われていません。上面は傾き1.5゜のスリ鉢形状となっており、針先のトレースする位置で主軸の傾きを完全にキャンセルするよう配慮されています。
また、スタビライザを使用することで、レコードがターンテーブルに押し付けられ、安定したセットを実現しています。
ターンテーブルの断面は定在波が起こりにくい特殊計上となっています。
主軸とターンテーブルは、単なるはめ合わせではなく4本のネジによるフランジ結合で強固に一体化しており重量は約8kgとなっています。

トーンアームにはスタティックバランス方式を採用しており、ヘッドの重量は300g以上あり、カートリッジの基準位置を安定させています。この構造を一般的なスタティックバランス方式で用いると2kg以上のバランスウェイトが必要となり水平方向の慣性が大きくなりすぎてスムーズな動作ができませんが、Σ2000ではテコを2つ利用し、レバー比の差により、軽いウェイトで釣合うよう工夫されています。
アームの各支点には常に一方向に接触圧力がかかる構造となっており、スムーズな動作を実現しています。
アームビームの中には高張力鋼の棒を組込み、強い圧縮応力をかけることで剛性を高めています。

ターンテーブルの駆動には、新開発のコアレスブラシレスモーターを用いた独自の方式を採用しています。
アイドラは、モーターが回転することにより、ターンテーブルに食い込みながら回転し、自動的に最も安定した場所で回転し高い効率でトルクを伝達しています。

機種の定格
型式 レコードプレイヤー
方式 電源別体型ターンテーブル
回転数 33・1/3、45rpm
回転微調整 ±3%
針圧調整範囲 1g~5g
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 25W
外形寸法 幅500x高さ240x奥行430mm
重量 25kg