QUAD ESL-63
1981年発売
¥430,000(1台、1986年頃)
¥374,000(1台、1991年頃)
解説
QUADが4半世紀を費やし完成させたスピーカーシステム。
このスピーカーは2枚の固定電極とその間に置かれた振動膜で構成されています。
振動膜に高い電圧をかけ静電気を発生させておいて固定電極にオーディオ信号が送られると、振動膜と固定電極の間にクーロン力が働き、振動膜を動かす事で音を鳴らしています。
この方式は振動膜が全面均一に動くため強度を必要とせず、非常に軽い振動膜が設定でき、極めて少ないエネルギーでドライブできます。また、空気とのインピーダンスのマッチングが良く、キャビネットを必要としないなどのメリットがあります。
ESL-63ではこの方式をベースに全周波数を一点で発生させる事に成功しています。
一般的な静電型スピーカーは平面駆動のため平面波になりがちなため、リスニングポジションが限定されていました。
これを改善するため、ESL-63では固定電極を同心円状に7分割し、それぞれに遅延回路を設定しており、内周から外周につれ1段あたり約24μsec、合計約168μsecの信号遅れを生じさせることで平面の振動膜から球面波を発生させることに成功しています。これにより振動膜の約30cm後方に音源を持ち、周波数の変化によって起こる指向性の変化に自由に対応できています。
振動膜には3.5ミクロンの超極薄のメリネックスを使用しています。
また、製造上の誤差をリファレンス機と±1/2dBに抑えるなど、高い音質を実現するためにQUADのポリシーを貫いています。
2つの保護回路を内蔵しており、不慮のアクシデントにも対応しています。
搭載しているのは入力電圧を制限するリミッターと、異常な入力信号や瞬間的なショートを検出してスピーカーに流さない回路となっています。
別売りオプションとしてチルトスピーカースタンドがありました。
このスタンドを用いると、ESL-63PRO/ESL-63を近距離で聴く場合に角度調整が可能です。
機種の定格
型式 | コンデンサー方式・フロア型 |
公称インピーダンス | 8Ω |
再生周波数帯域 | 35Hz~20kHz (35Hzで-6dB、20kHzで-6dB) |
出力音圧レベル | 86dB/W/m |
感度 | 1μbars/V/m(86dB/2.83Vrms) |
最大入力 | 最大連続入力電圧:10Vrms 無歪出力を得るプログラム中の最大ピーク入力:40V 許容最大ピーク入力:55V |
最大出力 | 2N/m2(軸上2m) |
指向特性 | 125Hz:5dB 500Hz:6.4dB 2kHz:7.2dB 8kHz:10.6dB |
電源入力 | AC100~120V/200~240V、50Hz/60Hz |
外形寸法 | 幅660x高さ925x奥行270mm(150mmの底板を含む) |
重量 | 18.7kg |
別売 | チルトスピーカースタンド QST-63BK(ブラック)/QST-63BR(ブラウン)、(2台1組、¥90,000) |