Pioneer XL-1551
¥63,000(1977年頃)
解説
XL-1550にクイックストップ機構を追加したレコードプレイヤー。
XL-1551にはクイックストップ(ブレーキ)機構を採用しています。
操作レバーをOFFにするとターンテーブルが停止し、次のレコードへ素早くチェンジできます。
また、外観はメタリックスター調仕上げが施されています。
サーボ回路にクォーツPLL方式を採用しています。
この方式ではモーターの回転軸に取付けたジェネレベーター(発電機)の出力パルスと、水晶発振器のパルスを比較することで位相差を検出し、モーターの回転数を維持しています。
また、回路自体の信頼性を高めるために回路のIC化を図っており、駆動回路用にはバイポーラ型IC、制御回路用にはMOS型ICを採用しています。
駆動回路には両方向駆動回路を採用しており、正方向と逆方向に動作します。このためモーターの回転数が速くなっても逆方向に電気的ブレーキがかかり、素早く応答ができます。このため回転数の切換時にもすぐに定速回転になります。
高精度制御回路やハイトルクのダイレクトドライブモーター、精密加工された軸、軸受、ターンテーブルなどによって優れた特性を実現を実現しています。
ストロボには調整が容易な1本縞ストロボを採用しており、縞目が見易い波形回路を採用しています。
従来の速度微調整用ストロボは一般に家庭用AC電源の周波数を利用して照射していました。このため電源周波数と回転数ごとに、4通りの縞目を必要としていました。その上に一般の賞用電源は0.1%程度の周波数変動があり、精度の高い微調整が困難となっていました。
XL-1551ではストロボを水晶振動子の発振周波数(3MHz帯)を電子回路で分周して点灯しており、電源周波数の変動による影響を排除しています。また、回転数切換時も分周比率(33・1/3rpm:55.5Hz、45rpm:75Hz)を変えることによって1本縞での調整を可能にしています。
また、ストロボの照射電流は波形整形回路によってパルス点灯されているため、ターンテーブル外周に刻まれたストロボをはっきりと読み取ることができます。
サーボ回路にはCR発振器を内蔵しています。このためクォーツをOFFにしてもPLL(位相制御)が働き、微調整時にも優れた耐負荷特性とドリフト特性が得られます。
駆動モーターにはハイトルクのブラシレスDCサーボホールモーターを採用しており、直径32.4cm、慣性質量340kg・cm2の大型アルミダイキャスト製ターンテーブルを2/3回転以内で定速回転させます。このモーターの起動トルクは1kg-cmとなっています。
また、スイッチング機構には独自に開発した3個のホール素子の働きを応用しており、高いS/Nと耐久性を得ています。
トーンアームにはS字型パイプアームを採用しています。
このアームは実効質量の軽減を図ると共に、垂直・水平回転部に高精度アンギュラコンタクトベアリングを採用し、摩擦を少なくして高い感度を得ています。
また、アーム取付ベースには6tアルミパネルを使用し、さらにキャビネットの内面からも鋼板(厚さ6mm、重量700g)で補強することによって超低域再生時にもトーンアームをハウリングから守っています。
ヘッドシェルはアルミ合金製の無共振タイプを採用しており、軽質量化が図られています。
カートリッジにはMM型カートリッジであるPC-330/IIを採用しています。
このカートリッジのカンチレバーはチタンパイプを特殊熱処理して使用しています。0.45mgと軽く、たわみが少ないため、機械インピーダンスを低く抑えると共にトレース能力を高めています。
キャビネットはパーチクルボードを組合わせたものを採用しています。
基準位置より±5mmの高さで調整できるアーム高さ調整機構を搭載しています。
アンチスケーティング機構を搭載しています。
ターンテーブルシートにはブチルゴムを採用しています。
特殊ゴムとダイキャストソリッドを組合わせたインシュレーターを採用しています。
このインシュレーターは水平度の調整も可能で、インシュレーター1回転につき0.5mm可変できます。
機種の定格
型式 | クォーツPLLダイレクトドライブプレイヤー |
<ターンテーブル部> | |
モーター | クォーツPLLホールモーター |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
ターンテーブル | 32.4cm径アルミダイキャスト |
ターンテーブル慣性質量 | 340kg-cm2 |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
回転数切換 | 電子式 |
回転数微調整範囲 | ±6% |
回転ムラ | 0.025%以下(WRMS) |
S/N | 62dB(JIS) 70dB(DIN-B) |
負荷変動 | 0%(針圧120g以内) |
起動特性 | 2/3回転以内 |
回転数偏差 | 0.003%以下 |
温度ドリフト | 0.00004%/℃以下 |
時間ドリフト | 0.0003%/h以下 |
<トーンアーム部> | |
形式 | スタティックバランスS字型パイプアーム |
アーム実効長 | 221mm |
オーバーハング | 15.5mm |
適合カートリッジ自重 | 4g~14.5g(9.5g以上サブウェイト使用) |
高さ調整範囲 | ±5mm |
カートリッジ部> | |
形式 | MM型(PC-330/II) |
構造 | シールドケース:スーパーパーマロイ フレーム:アルミ合金ダイキャスト |
針先 | 0.5milダイヤモンド |
振動系実効質量 | 0.45mg |
使用針圧範囲 | 1.0g~1.8g(1.5g適正) |
周波数特性 | 10Hz~28kHz ±3dB |
チャンネルセパレーション | 25dB以上(1kHz) 20dB以上(100Hz~10kHz) |
出力電圧 | 3mV(1kHz、50mm/sec、RMS) |
出力バランス | 1dB以内(1kHz) |
ダイナミックコンプライアンス | 12x10cm-6/dyne(100Hz、水平垂直) |
スタティックコンプライアンス | 18x10cm-6/dyne(光学式) |
出力インピーダンス | 2kΩ(1kHz) |
負荷抵抗 | 30kΩ~250kΩ(適正47kΩ+170pF) |
自重 | 6.4g |
寸法 | 幅14.8x高さ17x奥行290mm |
取付寸法 | JIS及びEIA規格 |
交換針 | PN-330/II |
<その他> | |
付属機構 | アンチスケーティング機構 ラテラルバランサー 針圧直読ウェイト アーム高さ調整機構 クイックストップ機構 アームエレベーション機構 ヘッドシェルスタンド(EPアダプター受共用) ストロボ照明ランプ フリーストップヒンジ 高さ調整機能付きインシュレーター |
供給電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 5W |
外形寸法 | 幅490x高さ185x奥行390mm |
重量 | 12kg |