Pioneer PL-50LII
¥95,000(1981年発売)
解説
上級機で得た音質向上の技術を反映し、音質を磨き上げたレコードプレイヤー。
トーンアームには、軽量、高剛性かつ減衰特性に優れたカーボングラファイトと高剛性アルミベースとの二重構造のヘッドシェル一体型ストレートアームを採用しています。素材そのものを吟味すると同時にコンピューターによる振動解析によって、複雑な分割共振現象を排除しています。
ヘッドシェル部、根元のコネクター部の強度も十分に高め、共振による悪影響を排除しています。
低域共振の追放と高感度を同時に実現するために、レベル可変型シリコンオイル制動方式を採用しています。
これは、アーム軸上部のオイルカップに注入されたシリコンオイルに制動フィン(リング状)を沈め、ダンピングをかける構造となっており、様々なカートリッジとアームの等価質量を適正にマッチングさせ、アームの適応範囲を広げています。
さらに、フィンの先端を45度にカットすることで、水平・垂直方向にそれぞれ適した制動を同時にかけられる構造とし、低域共振のQ(共振鋭度)を低下させてます。また、アームのメインウェイトを回転軸に近づけた質量集中方式との相乗効果により、混変調歪を大幅に改善しています。
アームベースにはスタビライザー効果を持たせたダイキャスト性の重量級アームベースを採用しています。アームをしっかり固定し部分共振を抑える事で、より解像度の高い低域再生を実現しています。
回転精度を高めるため、原理的にコギングの発生しないコアレス構造を採用しています。さらに、モーター底部にあったローターの支点(ベアリング)をターンテーブルのすぐ下に移動させたSH・ローター方式を採用することで、優れた回転特性を実現しています。SH・ローター方式は、従来の構造では防げなかったモーターシャフトと軸受け間の僅かなクリアランスで起るモーターシャフトの逆円錐運動を根本から解消しています。
また、針先がレコード音溝から受ける抵抗によって生じる負荷変動を追放するため、1.6kg-cmの起動トルクを持つコアレス・クォーツPLL DCサーボ・ホールモーターと、330kg-cm2の慣性質量をもつ直径31cmのターンテーブルの採用により、針圧200gの負荷に対しても回転数変動を起さない安定度を実現しています。
さらにモーターの磁極切換え(スイッチング)機構には、パイオニアが製法開発したホール素子を3個使用しています。また、その他細部のパーツに至るまでミクロンオーダーの加工精度を求めることで、微細なノイズを追放しています。
メカ音の出ないサイレントリフトアップ機構を搭載しています。これは、アームを上下させるエレベーション機構にスピーカーの動作原理を応用したムービングコイル方式を採用したもので、DC電圧で無接触動作させる構造となっています。
また、レコードの音溝の終端位置検出には、アーム軸内部のホール素子とマグネットにより無接触検出を行う方式を採用しており、側圧の発生がなく、アームの感度を損なうことがありません。
さらに、純電子式のクイックストップ機構を採用しています。
キャビネットには、ソリッドボードを積層した高密度キャビネット(マーブルエボニー仕上げ)を採用しており、特にハイトルクモーターの回転モーメントの反作用によるキャビネットの振れを効果的に防止しています。
また、これを支えるインシュレーターには、独自の低重心インシュレーターを採用し、ハウリングなど外部からの振動に対しても安定度を確保しています。
トーンアームのリード線およびPUコードには伝送ロスの少ない無酸素銅線を採用しています。
ヘッドシェルの交換が容易にできるS字型ユニバーサルアームパイプ(大型ウェイト付)を装備しており、ツインパイプ交換方式によってあらゆるカートリッジが楽しめます。
また、カーボングラファイトのシェル一体型ストレートアームパイプも別売りであり、カートリッジの数だけストレートアームを揃え、簡単にカートリッジを交換して楽しめます。
機種の定格
型式 | カートリッジレス・プレイヤーシステム |
<フォノモーター部> | |
モーター | コアレス・クォーツPLL DCサーボ・ホールモーター |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
軸受構造 | SH・ローター方式 |
ターンテーブル直径 | 31cm |
ターンテーブル慣性質量 | 330kg-cm2(ターンテーブルシート含む) |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
回転数切換え | ショートストロークスイッチによる電子式 |
回転ムラ | 0.011%以下(WRMS/FG直読法) 0.023%以下(WRMS/JIS) |
S/N | 82dB以上(DIN-B) 65dB以上(JIS) |
負荷変動 | 0%(針圧200g以内) |
起動特性 | 1/3回転以内 |
起動トルク | 1.6kg-cm |
速度検出方式 | 全周積分方式FG |
回転数偏差 | 0.002%以下 |
ドリフト | 時間ドリフト:0.00008%/h 温度ドリフト:0.00003%/℃ |
ブレーキ機構 | 純電子式 |
<トーンアーム部> | |
型式 | 可変型オイル制動方式 スタティックバランス・ツインパイプ交換方式パイプアーム |
実効長 | 250mm |
オーバーハング | 12mm |
トラッキングエラー | +2.7゜~-1.3゜ |
針圧調整 | ウェイト1回転1g |
適合カートリッジ自重 | ストレート:3g~11g S字型:6g~32g(シェル込み) |
高さ調整範囲 | +3 -4mm |
ヘッドシェル | 炭素繊維複合材 |
<総合> | |
付属機構 | クォーツロックインジケーター クイックストップ サイレントリフトアップ(電子式) |
使用半導体等 | 水晶:1 IC:10 ホール素子:3 LED:4 トランジスタ:11 ダイオード:6 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 15W |
外形寸法 | 幅490x高さ190x奥行401mm |
重量 | 14.6kg |
別売 | シェル一体型ストレートアーム JP-515(¥7,000) |