Pioneer PL-30/PL-30L
PL-30:¥55,000(1980年頃)
PL-30L:¥59,800(1980年頃)
解説
上級機と同様ユニット設計のよさをそのまま生かしたマニュアル式レコードプレイヤー。
通常版のPL-30と、サイレントリフトアップ機能を搭載したPL-30Lの2種類がありました。
駆動部には上級機と同様にSH・ローター方式のフォノモーターを搭載しています。
従来モーター底部にあったローターの支点(ベアリング)をターンテーブルのすぐ下へ移動した構造により、ワウ・フラッターの大幅な低減に成功しており、優れた特性を実現しています。
さらに、モーターには起動トルク1.3kg-cmのクォーツPLL DCサーボ・ホールモーターを採用し、330kg-cm2の慣性質量を持つ大型ターンテーブルを組合わせる事で、200gの負荷に対しても負荷変動を起さない安定度を実現しています。
また、モーターの磁極切換え機構には、パイオニアが開発したホール素子を3個使用しており、さらに細部のパーツにいたるまでミクロンオーダーの加工精度を求めることで、微細なノイズを提言しています。
ターンテーブルには音響特性に優れたターンテーブルシートを採用しています。
レコードのソリや偏芯によって生じる低域共振を抑えるため、シリコンオイル制動方式(on/off可能)を採用しています。
アーム軸上部のダインピングつまみを押す事で、オイルカップに注入されたシリコンに制動フィンが沈み、アームに粘性制動をかける方式で、しかも制動フィン(リング状)の先端を45度にカットすることにより、水平・垂直方向にそれぞれ適した制動をかけられるよう設計されています。
これにより有害な低域共振を抑えるとともに、可聴帯域に有害な悪影響を与える混変調歪を大幅に低減しています。
オイルには経時変化や温度による粘性変化がなく、制動オイルとして優れているシリコンオイルを採用しています。さらに、このシリコンオイルを高精度に作られたオイルカップに収納することで、オイルの滲み出しの無い信頼性の高いものとなっています。
スタビライザー効果を持たせたダイキャスト性のアームベースを採用しています。
また、アームには高剛性アルミパイプを使用した実効長250mmのロングタイプアームを採用しており、さらにメインウェイトをアーム軸に近づけた質量集中方式にすることで、アームの慣性モーメントを低減し、オイル制動をかける以前のアーム自身の基本性能を向上させています。
ハウリングなどの振動を抑えるため、キャビネットには針葉樹を厳選した高密度キャビネットを採用しています。
さらに、キャビネットを支えるインシュレーターには、新開発の低重心構造の大型インシュレーターを採用しており、外部からの振動に強い設計となっています。
別売りのダンピング調整アダプターを使用することで、PL-70と同様に1~5までのレベルで調整することができ、あらゆるカートリッジのコンプライアンスに対応することが可能な、レベル制動量可変アームとなります。
また、自重の重いカートリッジ(オルトフォン SPU-GTタイプ等)を装着する時は、別売りの交換ウェイトの使用を推奨しています。
PL-30Lでは正確で静かな動作を実現したサイレントリフトアップ機能を搭載しています。
まずアームを上下させるエレベーション機構にはスピーカーの動作原理を応用したムービングコイル方式を採用しており、DC電圧で無接触動作をさせています。
さらにレコード音溝の終端位置検出は、アーム軸内部に取り付けられたホール素子とこれに対向して取り付けられたマグネットによって無接触検出を行う方式を採用しています。
さらに、サイレントリフトアップ機構に連動し、瞬時にターンテーブルを停止させる純電子クイックストップ機構を搭載しています。
機種の定格
型式 | カートリッジレス・プレイヤーシステム |
<フォノモーター部> | |
モーター | クォーツPLL DCサーボ・ホールモーター |
駆動方式 | ダイレクトドライブ |
軸受構造 | SH・ローター方式 |
ターンテーブル直径 | 31cm |
ターンテーブル慣性質量 | 330kg-cm2(ターンテーブルシート含む) |
回転数 | 33・1/3、45rpm |
回転数切換え | ショートストロークスイッチによる電子式 |
回転ムラ | 0.012%以下(PL-30L、WRMS/FG直読法) 0.013%以下(PL-30、WRMS/FG直読法) 0.023%以下(WRMS/JIS) |
S/N | 78dB以上(DIN-B) 63dB以上(JIS) |
負荷変動 | 0%(針圧200g以内) |
起動特性 | 1/3回転以内 |
起動トルク | 1.3kg-cm |
速度検出方式 | 全周積分方式FG |
回転数偏差 | 0.002%以下 |
ドリフト | 時間ドリフト:0.00008%/h 温度ドリフト:0.00003%/℃ |
ブレーキ機構 | 純電子式 |
<トーンアーム部> | |
型式 | オイル制動方式スタティックバランスS字型パイプアーム |
実効長 | 250mm |
オーバーハング | 14mm |
トラッキングエラー | +2.1゜、-1.2゜ |
針圧調整 | ウェイト1回転1g(0.1g目盛り) |
適合カートリッジ自重 | 4g~13g(付属シェル使用時) |
高さ調整範囲 | ±3mm |
ヘッドシェル | アルミインパクトプレスヘッドシェル、自重10.5g |
<総合> | |
付属機構 | クォーツロックインジケーター クイックストップ サイレントリフトアップ(電子式、PL-30Lのみ) |
使用半導体等 | 水晶:1 IC:6 ホール素子:4(PL-50は3) LED:4(PL-50は3) トランジスタ:4 ダイオード:4 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | PL-30:8W PL-30L:12W |
外形寸法 | 幅490x高さ180x奥行401mm |
重量 | 11.5kg |
別売 | ダンピング調整アダプター JP-506(¥8,500) 交換ウェイト JP-507(¥2,400) |