Pioneer SA-810
¥77,000(1973年頃)
解説
全回路に正負2電源方式を採用し、各セクション初段に差動アンプを搭載した、広帯域、低歪率の出力特性を重視したステレオプリメインアンプ。
イコライザー部はノイズ経時変化の少ないキャンシールドトランジスタ2石と、ローノイズトランジスタ2石による初段差動アンプ3段直結NFBの回路構成となっています。
差動アンプは、直流NFBが100%かけられるため、直流安定度が向上し、厳選した素子類の採用とあいまって高S/N、低歪な特性を得ています。
イコライザーのNFB素子とNFBを受ける素子に、ニクロム蒸着金属被膜抵抗(誤差1%)、スチロールコンデンサ(誤差2%)を採用したことにより、RIAA偏差30Hz~15000Hzにおいて±0.2dBの精度を実現しています。
Phono、AUXとも入力回路は2回路が設けられており、Phono1、AUX1のストレート入力に対して、Phono2、AUX2はレベルコントロールができます。
とくにPhono2回路は、高出力カートリッジを使用したときに、入力インピーダンス、ダイナミックマージンに影響を与えずに、レベルをコントロールできるよう考慮されており、出力差のある2個のカートリッジを用いての交互再生や、比較試聴するときなどに便利です。
正負2電源方式により、入出力点が常にゼロ電位近くに保たれ、スイッチ切換えによるショックノイズが激減しています。
Bass、Trebleのコントロール回路は、さらにMain、Subの二つにわけてコントロールできるツイントーンコントロールとしています。
Mainは1kHzを中心に、Bassは100Hzで±10dB、Trebleは10kHzで±10dBの増減特性が得られます。
Subは、Bassが50Hzで±5dB、Trebleが20kHzで±5dBのコントロールが出来ます。
これにより、MainとSubを組合わせてコントロールすることで、約2000種類のトーン特性をつくることができます。
夜間などボリュームをしぼりこんだ使い方をする場合、ボリュームコントロールのMIN点近くで、わずかなコントロール範囲で調節することになります。この不便さを解消するためレベルセット機構が設けられています。
この回路では0dB、-15dB、-30dBの3段に切換えができ、全体のレベルをこの標示どおりに減衰させることができるので、常にボリュームの中央近くで使いよい回転範囲で調整できます。
コントロール部も初段に100%直流NFBのかかる差動アンプを採用しており、3段直結NF型回路構成となっています。
初段にはキャンシールドトランジスタを採用し、長期の経時変化にも高い信頼性を得ています。
すぐにフラットな特性が得られるトーンディフィートスイッチを搭載しています。
12dB/octでシャープにカットするLow/Highのサブソニックフィルターを内蔵しています。
パワー回路は差動1段純コンプリメンタリーOCL回路を採用しています。
さらに、ドライバー、パワートランジスタにはペア特性で選んだ、PNP、NPN型を採用しています。
さらに大型放熱器、電流制限回路、電子保護回路の採用で、大パワーを十分にとりだせるよう万全を期してます。
電子回路とパワーリレーを組合わせた保護回路を搭載しています。
オーディオミューティングスイッチを搭載しており、瞬時に-20dBの音量ダウンが可能です。
A、B、A+Bで楽しめるスピーカー出力端子を搭載しています。
プリメイン分割スイッチの他、セパレートしたときにはパワーアンプにもサブソニックフィルターが入れられるなど、付属回路も豊富に完備しています。
一台ごとに実測データの資料が添付されています。
機種の定格
型式 | ステレオプリメインアンプ | ||||||
<パワーアンプ部> | |||||||
回路方式 | 差動1段全段直結純コンプリメンタリーOCL | ||||||
実効出力 |
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高調波歪率 | 実効出力時:0.3%以下 1W出力時:0.05%以下 |
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混変調歪率 | 実効出力時:0.3%以下 1W出力時:0.05%以下 |
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出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 5Hz~40kHz(歪率0.3%) | ||||||
周波数特性 | 7Hz~80kHz、+0 -1dB | ||||||
入力感度/インピーダンス | Power Amp In:500mV/50kΩ | ||||||
出力端子 | Speaker:A、B、A+B(4Ω~16Ω) Head Phones:4Ω~16Ω |
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ダンピングファクター(1kHz、8Ω) | 60以上 | ||||||
S/N(IHF、ショートサーキットAネットワーク) | 95dB以上 | ||||||
残留雑音(8Ω、プリ+パワーアンプ) | 1mV(0.13μW)以下 | ||||||
サブソニックフィルター | 8Hz(12dB/oct) | ||||||
<プリアンプ部> | |||||||
回路方式 | イコライザーアンプ:初段差動3段直結NF型 コントロールアンプ:初段差動3段直結NF型 |
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入力感度/インピーダンス | Phono1:2.5mV/50kΩ Phono2:2.5mV~5mV/50kΩ Phono最大許容入力(rms/p-p):250mV/700mV MIC:2.0mV/50kΩ Tuner:150mV/100kΩ AUX1:150mV/100kΩ AUX2:150mV~1.5V/50kΩ~100kΩ Tape Monitor1、2:150mV/100kΩ Tape Monitor2(DIN):150mV/100kΩ |
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出力レベル/インピーダンス | Tape Rec1、2:150mV Tape Rec2(DIN):30mV/80kΩ Pre Out:2V/5Ω |
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高調波歪率(20Hz~20kHz) | 0.05%以下 | ||||||
周波数特性 | Phono(RIAA偏差):30Hz~15kHz、±0.2dB MIC:10Hz~10kHz、+0 -1dB Tuner、AUX、TapeMonitor:10Hz~70kHz、+0 -1dB |
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トーンコントロール |
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フィルター | Subsonic:8Hz(12dB/oct) Low:30Hz(12dB/oct) High:8kHz(12dB/oct) |
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ラウドネスコンター(ボリューム-40dB時) | +10dB(100Hz) | ||||||
S/N(IHF、ショートサーキットAネットワーク) | Phono:80dB以上 MIC:70dB以上 Tuner、AUX、Tape Monitor:90dB以上 |
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ミューティング | -20dB | ||||||
レベルセット(3段切換) | 0dB、-15dB、-30dB | ||||||
<総合> | |||||||
使用半導体 | トランジスタ:49 ダイオード他:25 |
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電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz | ||||||
定格消費電力 | 105W | ||||||
最大消費電力 | 260W | ||||||
電源コンセント | 電源スイッチ連動1、非連動2 | ||||||
外形寸法 | 幅430x高さ138x奥行341mm | ||||||
重量 | 12.1kg |