解説　

トランジスタの非直線性歪を打ち消すスーパーリニアサーキットを採用したプリメインアンプ。

半導体がもつ、それ自体の固有の非直線性(歪)に着目し、パワー部初段にスーパーリニアサーキットを採用しています。
このパイオニア独自の技術であるスーパーリニアサーキットは、それまでのアンプのようにNFB(負帰還)だけに頼らず、トランジスタのもつ非直線性(歪)そのものを解消してしまう回路で、トランジスタの非直線性に、逆モードの非直線性をもったトランジスタを設定し、カレントミラー回路により非直線性を打ち消し、等価的に優れた直線性を得るという回路になっています。
これにより根本からの特性(裸特性)が向上するため、従来のように多量のNFB(負帰還)をかける必要がなく、これまでの1/1000という約10dBにまで低減できています。
この結果、NFBに起因する、TIM歪の発生や位相補正時の周波数特性の劣化、高域での不安定性などがなくなり、入力信号と相似形の出力信号を生み出すというNFB本来のメリットを生かすことが出来るようになりました。

あくまでも歪のない音質を求め、パワー段とドライバー段にノンスイッチング回路を搭載しています。
これは、パイオニア独自のハイスピードバイアスサーボ回路の働きで、入力信号に応じてバイアス電流をコントロールすることにより、トランジスタを常に動作状態に保つ方式で、これによりトランジスタは原理的にスイッチングせず、スイッチング歪を根本的にゼロにしています。
また、クロスオーバー歪ゼロも追求し、採用するトランジスタを厳選しており、ペア特性の高いトランジスタを使用し、動作点を最適ポイントに設定することにより、よりリニアリティの高い入出力特性を実現しています。

イコライザーアンプとパワーアンプ初段の電源供給にクリーンサーボレギュレーターを採用しています。
従来の直列制御型に対し出力電流ループを小さくした並列制御型となっており、等価的に電源のインピーダンスがゼロになり、他の信号回路への影響を抑制しています。
この結果、信号漏れなどのクロストークが無くなり、より純度の高い音質を実現しています。

イコライザーアンプ、パワーアンプにはそれぞれにDCサーボ回路を採用しています。
これにより、MC入力部からSP出力部まで信号系にある全てのカップリングコンデンサーを取り除き、全段ノンカップリングコンデンサー化を実現しています。
これにより位相ズレや過渡的混変調歪の発生を抑制しています。

より純化された音質を求め、ラインストレートスイッチを搭載しています。

MCカートリッジが使え、MC/MM切換えとなっています。
また、カートリッジの性能を引き出すため、MM/負荷容量、MC/負荷抵抗を切換え可能です。

不要な超低域(20Hz)の混入を光で知らせるサブソニックインジケーターを搭載しています。

Rec Outセレクターを搭載しており、Rec1、2のどの端子に録音出力が出ているか一目でわかるようインジケーターを搭載しています。

機種の定格

型式	プリメインアンプ
実効出力	90W+90W(8Ω、20Hz～20kHz、両ch駆動)
高調波歪率(20Hz～20kHz)	0.008%(実効出力時) 0.007%(45W出力時、8Ω)
混変調歪率(50Hz:7kHz＝4:1)	0.008%(実効出力時) 0.004%(45W出力時、8Ω)
出力帯域幅	5Hz～40kHz(IHF、両ch駆動、THD 0.008%)
出力端子	Speaker:A、B Tape Rec:150mV
ダンピングファクター	60(20Hz～20kHz、8Ω)
入力感度/インピーダンス	Phono MM:2.5mV/50kΩ、負荷容量:200pF、400pF Phono MC:0.25mV/0.1kΩ、負荷抵抗:0.1kΩ、0.033kΩ Tuner、AUX、Tape Play1、2:150mV/50kΩ
Phono最大許容入力(1kHz)	MM:300mV MC:30mV
周波数特性	Phono MM:20Hz～20kHz ±0.2dB Tuner、AUX、Tape Play:5Hz～200kHz +0 -3dB
SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット)	Phono MM:89dB Phono MC:72dB Tuner、AUX、Tape Play:105dB
トーンコントロール	Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz)
フィルター	Low:20Hz、6dB/oct
ミューティング	-20dB
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力(電気用品取締法)	185W
外形寸法	幅420x高さ132x奥行423mm
重量	13.3kg