解説　

ノンスイッチング回路を採用したプリメインアンプ。

パワーアンプ部にパイオニア独自の回路技術であるノンスイッチング回路を採用しています。
ハイスピード・バイアスサーボ回路により、入力信号に応じてバイアス電流をコントロールすることで、トランジスタを常に動作状態に保つ独自の方式で、これによりトランジスタが原理的にスイッチングしないため、B級アンプにつきものであった、スイッチング歪をゼロに抑えています。
また、クロスオーバー歪も徹底して追及し、ペア特性の優れたパワートランジスタを採用し、トランジスタの最適ポイントに設定してリニアリティの高い入出力特性を実現しています。

ファンクションスイッチやスピーカー切換スイッチなどのランダムアクセス部分は、クリスタルブラウンの自照式でワンタッチのプッシュボタンを採用しています。

レコードを聴きながらFM放送のエアチェックができるなど、アンプの機能を広げるRecセレクターを搭載しています。

ファンクションスイッチ、RECセレクター、スピーカースイッチは、同時にいくつものスイッチを押す事により生じる動作不良を抑えるため、上側優先回路を搭載しています。

パワー部は、音質に悪影響を与えるコンデンサを追放したDCアンプ構成とすることで、コンデンサに起因するダンピングの劣化や中・低域での位相ずれや過渡的混変調歪の発生を抑えています。

オーバーオールに音質の向上を目指し、ひとつひとつのパーツを厳選して採用しています。
特にパワー部のトランジスタはSuper Linear RET(Ring Emitter Transistor)を採用しています。これは、高域でのリニアリティにすぐれた集団トランジスタで、ノンスイッチング回路の性能を高めています。

放熱器は、放熱効果を50%以上高めたT型スカイブフィンを採用して、連続ハイパワー再生にも、安定した音質を獲得しています。

Phono入力部はICL方式のFET差動入力回路を採用しています。
また、フラットアンプ部にもICL方式のFET差動入力回路を採用しています。

MCカートリッジがダイレクトに接続できるMCポジションを搭載しています。スイッチの切換え一つでゲインを切換える事ができる方式です。

トーンコントロールは、センター位置でトーン回路をジャンプし、フラットな特性が得られるセンターディフィート方式を採用しています。

レコードのソリなどに起因して発生する不要な超低域成分(15Hz以下)をカットするサブソニックフィルターを搭載しています。

小音量時に便利なラウドネスコンターを搭載しています。

機種の定格

型式	プリメインアンプ
実効出力	70W+70W(8Ω、歪率0.008%、20Hz～20kHz、両ch駆動)
高調波歪率(20Hz～20kHz)	0.005%(35W出力時、8Ω)
混変調歪率(50Hz:7kHz＝4:1)	0.005%(35W出力時、8Ω)
出力帯域幅	5Hz～50kHz(IHF、両ch駆動、歪率0.01%)
ダンピングファクター	60(20Hz～20kHz、8Ω)
入力感度/インピーダンス	Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:0.25mV/0.1kΩ Tuner、AUX、Tape Play1、2:150mV/50kΩ
Phono最大許容入力 (1kHz、歪率0.01%)	MM:250mV MC:25mV
出力レベル/インピーダンス	Tape Rec1、2:150mV/2.2kΩ Speaker:A・B・Off、4Ω～16Ω
周波数特性	Phono:20Hz～20kHz ±0.2dB Tuner、AUX、Tape Play1、2:5Hz～80kHz +0 -3dB
SN比(IHF、Aネットワーク、 ショートサーキット)	Phono MM:89dB Phono MC:72dB Tuner、AUX、Tape Play1、2:110dB
トーンコントロール	Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz)
サブソニックフィルター	15Hz、6dB/oct
ラウドネスコンター(Volume -40dB時)	+8dB(100Hz)、+3dB(10kHz)
ミューティング	-20dB
電源電圧	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力(電気用品取締法)	145W
外形寸法	幅420x高さ120x奥行368mm
重量	9.9kg