PASS Aleph 2
¥1,200,000(2台1組、1996年10月発売)
解説
徹底してシンプルな回路構成を追求したモノラルパワーアンプ。
パワーデバイスには最大電流が各々50Aに及ぶ大型MOS-FETを使用しており、6パラレル構成となっています。
Aleph2ではクリッピングポイントまでシングルエンドのA級動作を維持する設計を採用しており、シンプルな回路構成で高い音質を獲得しています。
増幅回路は出力段と差動入力段の2ステージ構成を採用しており、無帰還動作となっています。
信号経路を徹底してシンプル化することで音質の劣化を排除しています。
回路方式には非対称増幅回路を採用しています。
この方式ではプラス方向の出力レベルがマイナス方向よりもわずかに高い設計となっています。このような増幅特性は真空管のシングルアンプでも得られるものですが、実用的な消費電力でハイパワーを得るため、厳選したパワーMOS-FET素子をシングルエンドで使用しています。
非対称増幅回路は空気はプッシュプルの対象運動をせず、常に正の圧力範囲で振動して音を伝えていて引く時よりも押す時に必要な力の方がわずかながら大きく、この非対称性を人間は自然に受け止めているという設計者であるネルソン・パスの考えがベースとなっています。
電源部には出力ショートまで含む広範囲な負荷条件に対して常に最適な動作点を与えて高い安定性を維持するよう設計された電流源回路を採用しています。これによりスピーカー実装状態での特性や音質が大幅に改善されています。
また、AC電源電圧が定格値以下になった場合には自動的に出力段の電流を増加させて正常な動作を保つ補償機能を備えています。定格出力内でのAleph2の消費電力は一定なので、無信号時に発熱が最も大きくなりますが、ヒートシンクの表面温度は50~55℃を超えないように設計されています。内部温度が約70℃をオーバーするとサーマルプロテクションが動作し、アンプの電源は遮断されます。
バランス入力とアンバランス入力に対応しています。
バランス動作は入力段に直結したパッシブネットワークを通して行われます。これはアクティブ素子の追加による音質劣化が無い方式で、アンプのトータルゲインは20dBです。
アンバランス入力時はキャノンコネクタのアース側ショートプラグを取り去ってゲインを26dBに高めることもできます。
バイワイヤリング接続に対応する2系統の出力端子を搭載しています。
シャーシフレームにはコンピューター制御のフライス盤から削りだしたアルミニウムを使用しており、板材を使用していません。
全体がヒートシンクとして機能する堅牢な精密構造で、トップパネルは圧力を加えた状態でタイトに固定されています。
機種の定格
型式 | モノラルパワーアンプ |
ゲイン | balanced:20dB unbalanced:20dB、26dB |
周波数特性 | 0.5dB 2Hz ~ -2dB 100kHz |
定格出力 | 100W(8Ω) 200W(4Ω) |
最大出力 | 10A、40V |
出力ノイズ | 600μV(unweighted) |
入力インピーダンス | balanced:25kΩ unbalanced:10kΩ |
歪率(1kHz) | 0.5%(100W、8Ω) 1%(200W、4Ω) |
入力端子 | RCAピンジャック XLRジャック |
出力端子 | デュアル・六角メタルロックナット (バイワイヤリング対応) |
ダンピングファクター | 100 |
DCオフセット | 100mV以下 |
動作温度 | 室温より25℃上昇(アンプ上部) |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 300W |
外形寸法 | 幅304.8x高さ266.7x奥行304.8mm |
重量 | 20.4kg |