ONKYO Integra M-506R
¥170,000(1981年頃)
解説
アンプを単一の電気回路としてだけではなく、再生音場のアコースティックな面まで含めて解析し、時間差歪の問題を徹底的に究明したスーパーサーボ・インテグラル方式のステレオパワーアンプ。
オンキョー独自のW・スーパーサーボ方式に加え、スピーカーの起電力による影響を抑えるスーパーサーボ・インテグラル方式を採用しています。
スピーカーのボイスコイルが振動した時に、そのコイル内に起電力が発生するマイクロホン効果が発生し、再生音に影響を与えいます。スーパーサーボ・インテグラル方式では、この起電力の影響を-20dB以下に低減する回路を採用しており、電流増幅段だけにリニアリティの補正回路による正・負帰還をかけて、この段のリニアリティを飛躍的に向上させ、時間差歪を抑えてます。
ファイナルトランジスタの動作にはリニアスイッチング方式を採用しています。
この方式は、B級動作と同様に2個のトランジスタで増幅しており、この場合に問題となる動作カーブの継ぎ目のリニアリティを、特殊なバイアス回路により補正して、リニアな動作特性を得ています。これによりクロスオーバー歪が減少し、B級のメリットのままA級動作に近い特性が得られています。
さらにHigh fTパワートランジスタの採用により、スイッチング歪も無視できる範囲に抑えこんでいます。
対数圧縮及びピークホールドを、安定性の良いモノリシックICで行い、左右のバラツキを抑えた大型のピークメーターを搭載しています。
高速応答性を得るために、オペアンプによる専用のメータードライブ回路でドライブを行っており、レベルは前面スイッチで0dBを130Wと13Wに切換え可能です。
保護回路にモノリシックICを採用しており、安定性を向上させるとともに、スピーカー端子に現れる直流リーク電圧及びパワー段の過電流を検出し、万一の場合はリレーを遮断して回路部品を守ります。
スピーカー切換えリレーには信頼性の高い金張り銀接点リレーを採用し、さらにパラ接続使用により、ダンピングファクターの劣化を防ぎます。
また、直流電圧検出用のローパスフィルターも左右独立で、左右の極性が異なった場合にも働くようになっています。
電源部には、ツイン・ワイド方式の大型パワートランスを使用しており、整流用のケミコンには、入念な検討を重ねてマルチタブ方式のローインピーダンス・ワイドレンジケミコンをブスアースと直結させた低インダクタンス回路として使用しています。
また、各セクションへの給配電、アースライン等も徹底したローインピーダンス化を図っています。
各パーツの部分的な温度変化を検出し、安定したバイアス供給を行うオートトラッキング・バイアス方式を採用しています。
機種の定格
型式 | W・スーパーサーボ方式ステレオパワーアンプ |
<アンプ部> | |
実効出力(20Hz~20kHz) | 170W+170W(4Ω) 130W+130W(8Ω) |
ダイナミックパワー(1kHz) | 200W+200W(8Ω) |
全高調波歪率(THD、20Hz~20kHz) | 0.003%以下(実効出力時) 0.002%以下(65W出力時) |
混変調歪率(SMPTE 70Hz:7kHz=4:1) | 0.003%以下(実効出力時) |
パワーバンドウィズス(IHF -3dB、THD 0.2%) | 5Hz~100kHz |
利得 | 30dB |
周波数特性 | 1Hz~100kHz +0 -1.5dB |
SN比(IHF-Aネットワーク入力シャント) | 120dB |
入力感度/インピーダンス | 1V/47kΩ |
スピーカー負荷インピーダンス | 4Ω~16Ω |
ダンピングファクター(8Ω、1kHz) | 180 |
出力端子 | Speaker System1、2 Headphone |
トランジェントキラー動作時間 | Power on:5sec Power off:100msec |
<メーター部> | |
レンジ切換 | x1(0dB=130W) x0.1(0dB=13W) |
指示範囲 | -40dB~+4dB |
指示精度 | 0±1dB -10±2dB -20±3dB |
応答速度 | 100μsec(-∞→0dB) |
復帰速度 | 1sec(0dB→-20dB) |
<総合> | |
使用半導体 | トランジスタ:49個 FET:8個 IC:6個 ダイオード:48個 |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
ACアウトレット | 最大600W 電源スイッチ非連動:1系統 |
消費電力 | 230W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅450x高さ174x奥行422mm |
重量 | 18.5kg |