Nakamichi BX-1
¥59,800(1982年発売)
解説
価格の制約の中で今までにない新しい価値を追求し、高音質化を図ったステレオカセットデッキ。
音質を追求するため、必要最低限のファンクションのみを搭載し音質に悪影響を与える要素を排除しています。
録音イコライザーアンプには、ダブルNF回路を採用して歪の低減と直流安定化を図るとともに、理論値に基いた厳密なヘッドの損失補正をしています。また、高性能ローノイズオペアンプを使ってダイナミックレンジを稼いでいます。
また、再生イコライザーアンプもダブルNF型を採用しており、再生ヘッドと相性のいいトランジスタを選んでディスクリート構成にしています。
バイアス電流の波形が歪んだり、電圧が不安定な事で音楽信号が変調されて音質劣化を招くのを防ぐため、バイアス発振回路には定電圧電源を入れるとともに、発振器に贅沢な回路を使って波形歪を抑えています。
また、セットの内部に左右チャンネルZX、SX、EXの各テープポジションごとに専用のバイアス調整機構を設け、ベストバイアスに調整しています。
ヘッドにはテープとの接触面を双曲線状(ハイパボリック形状)にした1.2μギャップハイバイアス録再兼用ヘッドを採用しています。
メカニズム部では、巻取り用モーターの精度がフラッターに影響を与える事に着目し、きちんとした軸受けを持つモーターを使用し、プーリーなども金属製の真円度の高いものにして、動力伝達の段階でもフラッターが出ないようにしています。
また、メカニズムコントロールには専用のマイクロプロセッサーを採用しており、メカニズムに取り付けられたカムの状態から現在の状況を判断し、プロセッサーが命令を出してモーターを動かしています。
生産されたBX-1は、1台残らず30項目ほどの調整がされており、製品ごとのばらつきを抑えています。
2ポジションのイコライザースイッチを搭載しており、120μsと70μsの2ポジションが選択できます。
LEDピークレベルメーターを搭載しており、-30dB~+5dBの範囲で確認が可能です。
録音バランス、録音マスターボリュームを搭載しています。
機種の定格
型式 | ステレオカセットデッキ |
トラック型式 | 4トラック・2チャンネル・ステレオ方式 |
ヘッド | 録再x1 消去x1 |
モーター(テープ駆動用) | キャプスタン用:DCサーボモーターx1 リール用:DCモーター |
テープ速度 | 4.8cm/s |
ワウ・フラッター | 0.06%以下 WTD RMS 0.11%以下 WTD Peak |
周波数特性 | 20Hz~20kHz(録音レベル -20dB) |
総合S/N比(IHF-A) | DolbyNR B on:62dB以上(ZXテープ、70μs、400Hz、THD 3%、WTD RMS) |
総合歪率 | 1.0%以下(400Hz、0dB、ZX、EXIIテープ) 1.2%以下(400Hz、0dB、SXテープ) |
消去率 | 60dB以上(100Hz、0dB) |
チャンネルセパレーション | 36dB以上(1kHz、0dB) |
クロストーク | 60dB以上(1kHz、0dB) |
バイアス周波数 | 105kHz |
入力感度/インピーダンス | 50mV/30kΩ |
出力レベル/インピーダンス | ライン:0.5V(400Hz、0dB)/2.2kΩ ヘッドホン:1.2mW(400Hz、0dB)/8Ω |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 最大23W |
外形寸法 | 幅430x高さ110x奥行250mm |
重量 | 約5.5kg |