LUXMAN C-5000A
¥355,000(1979年12月発売)
解説
最高級オーディオシステムのため、デュオベータ回路などのラックス独自の技術を投入して開発されたコントロールセンター。
音質改善のため、ラックス独自のデュオ・ベータ回路を採用しています。
この回路では、全帯域に必要最少限の適量NFBをかけておき、さらにDCサーボ回路を組合わせています。
これにより、アンプのゲインを低くしておいてNFB量を少なくする事でTIM歪を追放しており、また、DCサーボ回路では混変調歪の原因となる超低域ノイズをカットするだけでなく、ローノイズFETアンプの採用や、ローパスフィルター回路に質の良いフィルムコンデンサーを使用することで、締まった低域再生を可能にしています。
デュオベータ回路に適したゲインが低く特性の良いアンプを実現するため、入力段にカスコード差動入力式ブートストラップ回路と、トランジスタによる動抵抗回路の組みあわせを採用しています。
また、出力段には出力インピーダンスを低く抑えるため、トランジスタ4個によるSEPP回路を採用しています。
配線を必要最小限に留めるため、全てのスイッチをリモートスイッチ化することによって基板と直結し、パネル面のツマミで基板上の回路を直接切り替えられるようにしています。また、スイッチにはあえて多回路のものをパラレルに使い、接点による音の劣化を防いでいます。
回路構成は左右チャンネルをブロック化したうえ、基板ごとに独立分離して相互間の干渉を排除しています。
基板の接続部には、通信機器などに使われる高信頼度のコネクターを厳選採用し、基板側の端子面にも金メッキを施して、接点の信頼性をより高いものとしています。
電源部には大容量トロイダルトランスとツインモノラル構成の高速定電圧電源を採用しています。
トランスには、リーケージフラックスが少なく、磁気効率の良いトロイダルトランスを採用し、コアサイズも一般的な25Wx2程度のパワーアンプにも使用できる大容量のものを使用することで余裕を持たせています。
電磁的歪対策のため、基板の対抗面から金属類のシールドを排除しています。
また、ノイズ対策のため、両面基板などにより基板をブロック化し、リモートスイッチを採用して配線による悪影響を避けており、さらにスイッチ類にも非磁性体素材を使用したものを特注して採用しています。
音質を重視して厳選したパーツ類を採用しています。
無極性フィルムコンデンサーにも極性があると考え、極性を決定したうえ、意識的にバイアスを与えてこの非直線性の問題を解決しています。この直流バイアスによりフィルムコンデンサー内部の箔の極性間に発生するクーロン力で、同時に機械振動を防いでいます。
ボリュームには耐久性や音質、使用感を考慮してコンダクティブ・プラスティックボリュームを採用しています。
また、プリアンプの要所であるイコライザー段とフラット段には、性能的に最も優れている窒化タンタルの抵抗などを、試聴による確認の上採用しています。
トーンコントロールにはラックス方式NF型湾曲点切替付を採用しています。
ハイフィルターやサブソニックフィルターを搭載しています。
また、使用しない時にはフィルター回路がバイパスできます。
別売りのMC型カートリッジ用8000シリーズ昇圧トランスに対応したソケットを搭載しています。
このトランスはコア材に最高の素材を採用し、銀線とリッツ線を巻線に使用したトロイダルトランスで、とくに高域特性に優れています。
機種の定格
型式 | デュオ・ベータ・サーキット・ステレオ・コントロールセンター |
出力電圧 | Pre Out:標準1V、最大20V(歪率0.002%以下) Rec Out:標準145mV、最大18V(歪率0.002%以下) |
出力インピーダンス | Pre Out:47Ω Rec Out:100Ω |
全高調波歪率 (20Hz~20kHz) |
Phono MM1、2、MC:0.005%以下(Rec Out:145mV) Tuner、AUX1、2:0.005%以下(Pre Out:1V) Monitor1、2、3:0.005%以下(Pre Out:1V) |
混変調歪率 (60Hz:7kHz=4:1) |
Phono MM1、2、MC:0.002%以下(Rec Out:145mV) Tuner、AUX1、2:0.002%以下(Pre Out:1V) Monitor1、2、3:0.002%以下(Pre Out:1V) |
周波数特性 | Phono:20Hz~20kHz ±0.2dB Tuner、AUX:1Hz~150kHz -0.5dB Monitor:1Hz~150kHz -0.5dB |
入力感度 (Pre Out:1V) |
Phono MC:220μV(LUXトランス8020使用時) Phono MM1、2:2.2mV Tuner、AUX1、2:145mV Monitor1、2、3:145mV |
入力インピーダンス | Phono MC:20Ω~40Ω(LUXトランス8020使用時) Phono MM1:50kΩ Phono MM2:100Ω、50kΩ、100kΩ Tuner、AUX1、2:60kΩ Monitor1、2、3:60kΩ |
SN比(IHF-A、 入力ショート) |
Phono MC:78dB(LUXトランス8020使用時) Phono MM1、2:80dB Tuner、AUX1、2:100dB Monitor1、2、3:100dB |
トーンコントロール | LUX方式NF型湾曲点周波数切替付(バイパス可能) 低域湾曲点:55Hz、77Hz、110Hz、155Hz、220Hz、310Hz、440Hz、620Hz、880Hz 高域湾曲点:440Hz、620Hz、880Hz、1.2kHz、1.7kHz、2.5kHz、3.5kHz、5kHz、6kHz 変化量:-8dB、-4dB、-2dB、-1dB、0dB、1dB、2dB、4dB、8dB |
サブソニックフィルター | 6dB/oct、10Hz/off/20Hz 12dB/oct、10Hz/off/20Hz 両フィルターonで18dB/oct |
ハイカットフィルター | 6dB/oct、9kHz/off/15kHz 12dB/oct、9kHz/off/15kHz 両フィルターonで18dB/oct |
付属装置 | MM-2キャパシタンス切替(50pF、100pF、300pF) テープモニター3系統 テープダビング ローブースト・スイッチ(50Hz/off/100Hz) |
電源電圧 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 30W(電気用品取締法) |
ACアウトレット | Switched:2系統、total900W Unswitched:4系統、total200W |
外形寸法 | 幅498x高さ180x奥行350mm |
重量 | 11.5kg |