KRELL Model600
価格不明(1997年頃)
解説
クレル・フルパワーバランス・シリーズの最上級機にあたるステレオパワーアンプ。
サスティーン・プラトー・バイアスIIを搭載しています。
この回路は出力段にかかる実負荷などアンプのあらゆる動作状態を広範囲にわたって監視する予測センサー回路と、独自のシフトスケジュールを持つバイアス設定回路を連携させた回路で、理想的なクラスAオペレーションを実現しています。
回路構成は入力から出力に至る全段を完全バランス差動回路で構成しています。
入力ゲインステージ・アンプを反転~非反転アンプ間の電流で動作するカレントモード増幅段としており、さらに独自のマイクロコントローラー制御によって各増幅部間の厳密なゲインマッチングを図ることで高精度なバランス駆動を実現しています。これによりスピーカーを実際に駆動する際のリアクティブな負荷によるアンプ側のグランドラインへの悪影響や、グランドラインをめぐる各ステージ間の相互干渉をキャンセルし、優れたドライブ能力をあらゆる状況下で保証しています。
出力素子にはクレル・パワーアンプのリファレンスモデルであるKAS(クレル・オーディオ・スタンダード)のためにモトローラ社と共同開発したメタルキャンタイプの特製品を全面的に採用しています。
さらに、定電圧電源による高安定な電源供給を初段~ドライバー段のみならず出力段に対しても全面的に行うフルレギュレーテッドパワーステージとしており、アンプ側出力段のドライブ電流と負荷とを常に監視してその変化に応じた要求電圧を瞬時に供給しています。
Model600ではPc250W級の大容量パワートランジスタを14本採用しています。
フルオートキャリブレーション機能を搭載しており、出力バイアスやレギュレーター電圧、DCオフセットなどアンプ内部の電気的な調整状態を自己判定して自動的に適正化を行います。
生産ラインでは内部パラメーターの入念なチェックが一台ごとに実施し、その結果をアンプ内部にデータとして保持します。実使用時にはAC電圧を含むあらゆる動作状態が随時監視され、これに基づく各部の厳密なキャリブレーションとサスティーン・プラトー・バイアスIIのプラトーレベルの適正な選択が行われます。この機能によって工場出荷時と変わらないパフォーマンスを長期間にわたって実現しています。
また、万一の発振やDCリーク、出力端子のショートなどの異常事態が発生すると瞬時に電源供給をカットオフします。これにより高い安全性を確保しながらリレーやヒューズによる一般的な保護回路を排除し、出力段とスピーカーのダイレクトな接続を実現しています。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ |
定格出力 | 600W+600W(8Ω) 1200W+1200W(4Ω) 2100W+2100W(2Ω) |
出力電圧 | 239Vp-p、84Vrms |
入力感度/インピーダンス | 2.14Vrms/100kΩ |
周波数特性 | 20Hz~20kHz +0 -0.5dB 0.1Hz~240kHz +0 -3.0dB |
全高調波歪率 | 0.02%以下(1kHz) 0.15%以下(20kHz) |
ゲイン | 26.2dB |
入力感度 | 3.39Vrms |
入力インピーダンス | 100kΩ |
入力端子 | バランス1系統 シングルエンド1系統 |
消費電力 | 85W(スタンバイ時) 430W(アイドリング時) 6000W(最大) |
外形寸法 | 幅483x高さ260x奥行650mm |
重量 | 74kg |