KEF Model103/4S
¥175,000(1台、1991年頃)
解説
シンプルな構成ながらスケールの大きい表現力を持たせたトールボーイ型スピーカーシステム。
低域再生能力を高めるため、20cmコーン型ウーファーを2個用いたTCC(ツイン・カップルド・キャビティ)方式を採用しています。
この方式では、エンクロージャー内部に2つのウーファーを上下に水平に取り付けた構造を採用しており、ウーファーをツインドライブすることによってエアーダイアフラムと呼ばれる低音域用ポートから瞬時性に富んだ自然な重低音を放射しています。
この構造はバスレフ方式と似て見えますが動作原理が異なります。バスレフ方式では量的な低音感を増すために共鳴効果を利用しているため、一波長遅れてから音として再生されたり、楽音とは無関係にまとわりつくような低音表現になりがちでした。TCC方式では上下に水平にされたウーファーはそれぞれ密閉キャビティを持っており、そのウーファー間に挟まれた中間スペースにエアーダイアフラムを配しているため、ウーファーの動きに対して空気層が有効な負荷となり、高効率を実現しています。
さらに、2つのウーファーは特殊ロッドによって互いのマグネット部が連結されており、こもりの原因となる遅延共振を防止するフォースキャンセルの役目を果たすだけでなく、上下2つの磁気回路が与える力を余さず音響エネルギーに変換してます。
このTCC方式では、バスレフ方式で起きていた共振周波数以下でユニットとダクトが逆位相となって発生するキャンセル現象を防いでいます。
中高域には16cmコーン型ユニットと2.5cmソフトドーム型トゥイーターで構成された同軸ユニット
UNI-Qドライバーを搭載しています。
UNI-Qドライバーは平面上だけ統一された同軸ユニットとは違い、奥行き方向の単一音源化も図るためトゥイーターとドライバーの2つのユニットの音響的中心を完全に重ね合わせた構造を採用しています。
このUNI-Q構造を実現するため、トゥイーターの磁気回路にはフェライトの10倍のエネルギーを持つ新磁性体ネオジウム・アイアン・ボロンを採用しており、小型化したトゥイーターの磁気回路を低音域ユニットのボイスコイルの中に重ね合わせた構造となっています。
CLM機構を採用しており、不規則で複雑なスピーカーのインピーダンスを可聴周波数帯域にわたって限りなくフラットな抵抗値に変換しています。
ユニットがマウントされているバッフル部には充分な質量と適度な内部損失を持つ高圧縮型MDFが使用されています。また、エンクロージャーの外観は左右対称に木目を合わせた突き板によるウォルナット仕上げが施されています。
左右ペア・ユニットと左右ペア・ネットワークの特性を厳密にコンピューター管理しており、音圧レベルが左右で0.5dB以内に抑えられています。
バイアンプ接続が可能なセパレート型入力端子を採用しています。
取り外し可能なスパイクとスパイクカバーが装備できます。
機種の定格
方式 | 3ウェイ・3スピーカー・バスレフ方式・トールボーイ型 |
使用ユニット | 低域用:20cmコーン型x2 中域・高域用:同軸型(16cmコーン型、2.5cmドーム型) |
周波数特性 | 50Hz~20kHz ±2.5dB(軸上2m) |
音圧レベル | 91dB(基準軸上1m、50Hz~20kHz、無響室、2.83Vrmsピンクノイズ入力時) |
インピーダンス | 4Ω(±2.5dB、50Hz~20kHz) |
クロスオーバー周波数 | 180Hz、2.4kHz |
定格入力 | 100W |
最大入力 | 200W |
外形寸法 | 幅215x高さ900x奥行305mm |
重量 | 19.1kg |