harman/kardon CitationXXP
¥750,000(1982年頃)
解説
ハーマンカードン・アンプの設計思想の伝統を引き継ぐとともに発展させて開発されたプリアンプ。
CitationXXPではオープンループ特性を高めることで回路全てが取り扱う信号に比べて広い帯域と速いスピードを実現しています。その上で仕上げとしてごく少ない量のNFを適用することで安定した性能を実現しています。
また、回路の能力を越えるような帯域外の信号成分が入らないように作られており、TIM(過渡混変調歪)の発生をシンプルに防ぐとともに回路の複雑化による弊害を回避しています。
フォノアンプ回路には新開発のデュアルRIAAイコライゼーションサーキットを搭載しています。
一般的なアンプに搭載されているフォノイコライザー回路は基本的にはNF型とCR型の2つに分けることができます。NF型はSN比やダイナミックレンジ、歪率などで優れた特性を得られます。また、CR型は過渡特性に優れていますがSN比やダイナミックレンジの点で良い特性が得られにくいという特徴を持っています。
NF型はRIAAイコライゼーション特性そのものをNFによって作り出しており、逆RIAA特性を持ったネットワークをNFループ内に設け、それを通してNFをかけることでRIAA特性を得ています。この場合NFは高い周波数では深くかかり、低い周波数では浅くしかかからないため、NF量が可聴周波数帯域で極めて不均一となり、動特性上から見ると問題となります。
CitationXXPに搭載されたデュアルRIAAイコライゼーションサーキットでは名前のとおりRIAAネットワークを2つ搭載しており、1つは増幅段の間に、もう1つはNFループ内に置かれています。この構成によってNFループをかける前の段階でRIAAカーブが得られており、これに全帯域にわたって均一なNFがかけられています。これによりフォノイコライザー回路における最適NF量と均一なNF量の適用という2つの目標を達成しています。
出力レベル調節機構にはCOCシステム(Combination Output Control System)を採用しています。
この方式ではフラットアンプの出力側にボリュームコントロールを搭載し、フラットアンプの入力側にはインプットアッテネーターを搭載しています。この構成とすることで一般のボリュームのようにフラットアンプへの入力レベルが絞られることがなくなり、ノイズの低減を可能にしています。
電源部には徹底したノイズ対策が施されており、電源トランス本体にはファラデーシールドを施し、電源部全体にも厳重なシールドが行われています。
内部コンストラクションは最新の実装技術が駆使されたレイアウトとなっています。
シャーシは非磁性体を用いた剛性の高い構造となっており、回路はワイヤーの引き回しの極めて少ない合理的なトポロジーを実現しています。
イコライザーアンプとフラットアンプはモジュール化されており、性能の安定化を図っています。
機種の定格
型式 | コントロールアンプ |
入力端子 | Phono1、2、Aux1、2、3、Tape(play) ※Phono1、2にそれぞれ独立してキャパシタンス・トリム・セレクターが付属 |
出力端子 | Output:3系統(キャノン型コネクター1系統を含む) Tape(rec):2系統 |
入力感度/インピーダンス | Phono1:1.6mV/47kΩ Phono2:3.2mV/47kΩ Aux1、2、3:100mV/24kΩ Tape play:100mV/24kΩ |
出力レベル | 定格出力:1V 最大出力:5V |
サブソニックフィルター | 15Hz(-3dB)、6dB/oct |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 44W |
外形寸法 | 幅425x高さ120x奥行375mm |
重量 | 11.5kg |