DENON DH-710F
¥439,000(1978年頃)
解説
本格的な38/2トラック高性能デッキを指向して持てる技術を全て投入したテープデッキ。
メカニズム部にはダイレクトドライブ2キャプスタン方式を採用しています。
2つのキャプスタンがテープとヘッドとの接触面を外部(リール側)の振動要素から遮断し、ヘッド面のテープ走行の安定化を図っています。さらにDH-710FではメインキャプスタンをACモーターと直結したダイレクトドライブ方式とし、このモーター軸とサブキャプスタン間を特殊な非弾性ベルトで結合した新設計のダイレクトドライブ2キャプスタンとしています。
さらに、アウターローター型キャプスタンモーターのスピードサーボにはDENON独自の高精度磁気記録検出方式を採用しており、優れたワウフラッター特性を獲得しています。
電子式テンションサーボを送り出しリールモーターと巻取りリールモーターの両方に採用しています。
これはリールモーターに流れる交流電流をコントロールし、録音・再生中だけでなく早送りや巻き戻し中もリールサイズやテープの残量に関わりなくテープテンションを一定に保っています。
2キャプスタン方式と電子式テンションサーボによって立ち上がり特性やワウフラッターなどの基本走行特性を向上させています。また、2つのキャプスタン間をできるだけ近づけることによってテープパスを短くし、テープの縦振動や微振動を極力追放し、FM変調によるノイズの軽減を図っています。
左右のテープテンションアーム間のテープ走行は録音・再生中以外は直線となるように設計されています。これによりテープセッティングが容易になり、テープシフターも不要となっています。
また、ヘッド以外のテープと接触する部分は新設計のガイドローラーを使用しており、全て回転体となっているためロングプレイテープなどの薄いテープを使用する際にも安定した走行特性が得られています。
さらに左右のテンションアームにはワンウェイエアダンパーを用いてスタート時の過度テンションを防いでいます。
キャプスタン軸には放送局規格に準じた直径12mmのものを使用しており、信頼性を高めています。さらに限界まで精密加工を施すことで真円度を高めるとともに硬質クローム処理をすることによって耐久性を向上させています。
ヘッド部には独自開発によるセンダスト合金ヘッドを採用しています。
トラック幅が広い放送局用ヘッドを使用しているため雑音が少なく、歪の小さい優れた録音・再生特性が得られ、長時間の使用にも安定した性能を維持します。
特に再生ヘッドは形状効果による低域のあばれが少なくなるように特殊形状に仕上げられています。形状効果はヘッドがテープと接触する面の形状によって起こりますが、テープが徐々にヘッドから離れるようにヘッドの形状を仕上げることで形状効果を限界まで抑えています。
マイクアンプ、録音アンプとも大きなマージンを確保することでダイナミックレンジの広い録音を可能にしています。
さらに、マイクアッテネーターを装備しており、クオリティの高い生音源でも余裕を持って録音ができます。
フレーム部には高精度に機械加工されたアルミ鋳物の一体フレームを使用しています。
これによりヘッド系とテープ走行系の正確なマウントを可能としており、経年変化等で生じる機械的な歪を抑え、初期性能を長期間維持しています。
バイアス量と録音イコライザー特性を連続可変型としており、付属のテープ別BIAS/EQ調整表に基いて調節することによって録音テープの能力を発揮できます。
また、録音バイアスは高い周波数(DF-710Fでは200kHz)を採用しており、S/Nの向上を図るとともにFMステレオ放送を録音する際のビーとを防いでいます。
再生ボリュームツマミを長線の基準位置に合わせることで基準再生レベルを容易にチェックすることができます。
ピークレベル指示とVU指示に切替えられるレベルメーターを搭載しています。
リモートコントロールが可能です。
水平・垂直使用が可能です。
機種の定格
型式 | テープデッキ |
トラック形式 | 2トラック2チャンネル録音・再生 4トラック2チャンネル再生 |
ヘッド | 録音、再生:センダストヘッド 消去:フェライトヘッド |
テープスピード | 38cm/s、19cm/s |
スピード偏差 | ±0.5%以内 |
使用モーター | キャプスタン用:6極アウターローター型ACサーボモーター リール用:6極ACサーボモーターx2 |
キャプスタン駆動方式 | ACサーボダイレクトドライブキャプスタンとサブキャプスタンによる2キャプスタン駆動 |
テンションサーボ方式 | 電子式テープテンションサーボ |
ワウフラッター | 38cm/s:0.02%Wrms以下 19cm/s:0.025%wrms以下 |
使用リール径 | 最大10号(26形) |
早巻き時間(10号リール、740mテープにて) | 2分以内 |
録音バイアス | 周波数:約200kHz バイアス量:±40%調節可能 |
録音再生補償特性 | NAB規格(使用テープにより録音補償の調節可能) |
総合SN比(聴感補正JISA) | 66dB以上(最大録音レベル(514pWb/mm)に対して) 58dB以上(規準録音レベル(200pWb/mm)に対して) |
総合歪率特性(1kHz基準レベル) | 全高調波歪率:0.5%以下 第3高調波歪率(Scotch #250使用):0.1%以下 |
総合周波数特性 | 38cm/s:30Hz~30kHz ±2dB 19cm/s:20Hz~20kHz ±2dB |
チャンネルセパレーション(1kHz) | 55dB以上(2トラック) |
入力(但し0dB:0.775V) | Mic:0.2mV(-72dB、Att 0dB)/50kΩ不平衡 Line:62mV(-22dB)/100kΩ不平衡 |
出力(基準出力レベル(0VU) | Line:0.775V(0dBm)/100Ω以下、適合負荷600Ω以上 Headphone:8Ω以上適合 |
リモコン端子 | 有り |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 130W |
外形寸法 | メカニズム部:幅505x高さ420x奥行310mm(蓋付き) アンプ:幅490x高さ180x奥行330mm(蓋付き) |
重量 | メカニズム部:27kg アンプ:8.5kg |
付属 | 10号リールx1 10号リールクランパーx2 7号リールクランパーx2 リール高さ調整シートx2 並行ピンコードx2 ソケットレンチM3用x1 |