DENON TUA-600
¥88,000(1980年頃)
解説
16局プリセットが可能なシンセサイザーチューナーとMC入力付プリメインアンプを一体化したチューナーアンプ。
チューナー部にはシンセサイザー方式を採用してます。
この方式では、水晶発振器から得られる基準周波数とローカル発振周波数を分周して得られる周波数を位相比較し、バリキャップをサーボコントロールしています。このため、温度変化などによるローカル周波数のドリフトもなく、良好で安定した受信が可能となっています。
フロントエンドには4段バリキャップとMOS FETを採用しており、高感度受信を実現するとともに妨害波排除能力を高めています。また、中間周波増幅(IF)部は、歪の低減を重視してリニアフェイズ・セラミックフィルター2段構成を採用しています。さらに、検波回路には新Quadrature検波ICを採用しています。
AMチューナー部は、新開発の3端子型高選択度セラミックフィルター2段にコイルを組合わせたIF段にすることで9kHzのビート障害を押えています。
さらに、電界性ノイズに強いローインピーダンス・ループ型のアンテナを採用しています。このアンテナは裏面パネルと着脱が自由な設計となっており、受信状態の良好な場所に設置することができます。
FM/AM各8局のメモリー選曲が可能です。希望局を選局後にメモリーボタンとプリセット1~8のボタンを押すことでメモリーできます。
オート選局機能を搭載しており、オートのボタンを押すだけで周波数の低い方から高い方へと自動的に放送局の電波を探し、同調点でストップします。さらに再びスイッチを押すと次の同調点を探します。
アップとダウンの各チューニング・ボタンを操作することでマニュアル選局が可能です。受信周波数はデジタルカウンターで表示され、オート選局ではキャッチできない微弱な電波を捉えることができます。さらにアップ/ダウンのチューニングボタンを押し続けると、周波数のカウント速度が除々に速くなる設計になっています。
アップ/ダウンの各チューニングボタンは、ワンプッシュ操作の場合FM100kHz、AM9kHzずつ変化します。
電源をOFFにする前の状態を記憶するメモリー回路を搭載しています。通常の使用状態では電源を切ってから約3ヶ月間も記憶されます。
パワーアンプ部にはノンスイッチング-A方式を採用しています。
この方式では、パワートランジスタのバイアス電流供給方式に新開発のバイアス回路を採用しており、常に安定したバイアス電流が流れるようにコントロールすることでパワートランジスタのカットオフを防いでいます。これによりスイッチング歪を追放するとともに、クロスオーバー歪を低減しています。
パワーアンプ部の基本構成には、DC構成による差動2段ドライバー段+ピュアコンプリメンタリープッシュプル出力段を採用しています。さらに、最終段に新開発リアルタイム電流リミッターを組み込んでいます。
電源部に大型トランスを使用することでレギュレーションを改善しています。さらに、シャーシ内の高密度コンストラクションに対応するため、コアに多重シールドを施すことでリーケージフラックスを低減しています。
また、チューナー部とプリアンプ部(トーンアンプ部)には、パワー回路から独立した二次巻線で供給することで、相互干渉を低減しています。
トーンコントロール回路にはワン・タイムコンスタント方式トーン回路を採用しています。
この回路では、基本構成は実績のあるNF型トーン回路としながら積極的な改善を加えたもので、トーン・フラット時の周波数特性を大幅に改善しています。また、回路中のコンデンサーを少なくする独自の回路によって音質への影響を少なく抑えています。
イコライザーアンプ部はMC/MMの両方のカートリッジに対応しています。
回路構成は、初段にローノイズ・デュアルFETを採用することでカップリング・コンデンサーを除去したダイレクト・カップル方式とし、入力段の音質劣化を抑えています。そして、ICオペ・アンプによるハイスピード・ハイゲイン増幅をしています。
また、精密なRIAA素子を採用することでRIAA偏差を改善してます。
MC/MMの切換えスイッチは、フレキシブル・ワイヤード・スイッチによって、基板上のスイッチをリモート・コントロールする構造となっています。これによりワイヤーの引き回しによる特性劣化を抑えています。
プログラムのセレクト用スイッチにDENON独自のスイッチ・システムを採用しています。
このシステムでは、パネル面のスイッチは回路基板上のC-MOS ICを駆動し、ファンクションの切換えを行うことで音質の劣化を防止しています。
2系統のスピーカー出力端子を搭載しています。
2系統のテープデッキ入出力端子を搭載しています。
サブソニックフィルターやラウドネスコントロールを搭載しています。
スピーカやパワートランジスタを保護するダブル保護回路を搭載しています。
機種の定格
型式 | FM/AMチューナーアンプ |
<FMチューナー部> | |
受信周波数 | 76MHz~90MHz |
アンテナ端子 | 75Ω、300Ω(ターミナル式) |
実用感度 | 1.8μV/10.2dBf |
S/N50dB感度 | stereo:31.6μV/35.2dBf mono:3μv/14.2dBf ただし、μVは300Ω時、0dBfは10-15W(新IHF規格) |
イメージ妨害比 | 75dB |
IF妨害比 | 98dB(76MHz) |
スプリアスレスポンス | 80dB(83MHz) |
AM抑圧比 | 50dB(IHF規格) |
実効選択度 | 60dB(±400kHz) |
キャプチャー比 | 1.2dB |
周波数特性 | 20Hz~15kHz +0.2 -1dB |
SN比 | stereo:68dB mono:74dB |
全高調波歪率 | stereo:0.2% mono:0.1% |
<AMチューナー部> | |
受信周波数 | 531kHz~1,602kHz |
アンテナ | ターミナル式、ループ型フェライトアンテナ付属 |
実用感度 | 300μV/m(S/N 20dB) |
選択度 | 35dB(±9kHz) |
<パワーアンプ部(Aux in - Speaker out)> | |
定格出力(両ch駆動、正弦波連続出力、 20Hz~20kHz) |
65W+65W(4Ω) 60W+60W(8Ω) |
入力感度/インピーダンス | 150mV/30kΩ |
全高調波歪率 | 0.03%以下(1kHz、定格出力-3dB時) |
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1) | 0.03%以下(定格出力相当振幅出力時) |
出力帯域幅(IHF、両ch駆動) | 10Hz~30kHz(THD 0.5%) |
周波数特性 | 10Hz~30kHz ±0.5dB(1W出力時) |
出力インピーダンス | 0.1Ω以下 |
出力端子 | Speaker:AorB、A+B(4Ω~16Ω) Headphone:ステレオヘッドホン(8Ω~200Ω) |
<プリアンプ部(入力感度/インピーダンスを除きPhono in - Rec out)> | |
入力感度/インピーダンス | Phono MM:2.5mV/47kΩ Phono MC:0.3mV/100Ω Aux、etc:150mV/30kΩ |
最大出力/定格出力 | 10V/150mV |
SN比 | Phono MM:86dB Phono MC:72dB |
RIAA偏差 | MM/MC:20Hz~20kHz ±0.3dB |
全高調波歪率 | 0.002%以下(出力6V時) |
<主な付属機能> | |
トーンコントロール | Bass:±10dB(100Hz) Treble:±10dB(10kHz) |
サブソニックフィルター | 15Hz、6dB/oct |
ラウドネスコントロール | 低域:+8dB(100Hz) 高域:+4dB(10kHz) |
<総合> | |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力(電気用品取締法) | 145W |
外形寸法(つまみ、ゴム脚、端子含む) | 幅434x高さ112x奥行408mm |
重量 | 11kg |