DENON POA-7700
¥145,500(1台、1989年頃)
解説
デジタルソースへの対応と共に低インピーダンススピーカーの駆動能力を持たせたモノラルパワーアンプ。
出力段はPc130Wの大容量高速パワートランジスタを用いた4パラレルプッシュプル構成となっており、ステレオパワーアンプ1台分に近い大型トロイダル電源トランスを採用した電源部で駆動しています。これにより420W/4Ωをクリアするハイパワーを実現しており、例えスピーカーが瞬間的に1Ωに低下しても1.1kWまでドライブする高いスピーカー駆動能力を実現しています。
DENON独自のバイアス回路によるノンスイッチング方式を採用しており、スイッチング歪やクロスオーバー歪の低減を図り、小出力時においてもピュアな増幅を追求しています。
アンプ部にはデュアルスーパー無帰還回路を採用しています。
この回路方式ではオーディオ信号が一方向の回路構成となるため、信号のハイスピード伝送が可能となっています。
ディストーションサーボ回路を搭載しており、パワートランジスタなどの増幅素子のノンリニア特性から生じる静的歪や固有の雑音に対応しています。
POA-7700ではパワー段のNチャンネルとPチャンネル各々トランジスタで相互に歪みを打ち消し合うディストーションサーボ回路と、スピーカー出力段に出てくるトータルな歪を除去するディストーションサーボ回路の3つのサーボアンプで構成しています。
電圧増幅段は低雑音・低帰還容量FETを初段に用いた3段差動増幅に加え、ファイナルにfT100MHzの高速トランジスタを設置した構成となっています。
また、この増幅段とパワー段とのインターフェース特性を重視し、UCI(Unity Current Interface)回路を採用しています。この回路は電圧増幅段の負荷がパワー段の動作に無関係に常に一定になる方式で、パワー段を電圧だけで駆動する事でハイスピード低歪でダイナミックレンジの広い信号伝送を実現しています。
電源部には独自のピュアダイナミック電源方式を採用しており、電源部で発生するリップル電流と入力信号が干渉しあって発生するダイナミックIM歪を効果的に低減しています。
電源トランスは漏洩磁束が少なくて瞬時電流供給能力に優れた連続定格720VA級の大型トロイダルトランスと、総計40,000μFの大容量ブロックコンデンサー、大容量整流器などで構成しています。また、トランスの2次側は5電源構成でパワー段、ドライバー、ディスプレイの3つのブロックにクリーンな電源供給を可能にしています。
ヒートシンクには3mm厚の大型銅板を合着した新開発のアイソレーターヒートシンクを採用しており、熱拡散効果を大幅に高めています。
アンバランス接続に加えてバランス接続にも対応しています。
また、スピーカー端子には金メッキ処理された計測器用のジョンソンターミナルを採用しており、機械的なショックを避けるため大型ゴム保護キャップを装備しています。
ピークインジケーターには従来の1つのポイントだけで測定・表示する従来方式ではなく、スピーカーの動的インピーダンス変化とピークパワーレベルを高速演算し、それぞれのクリッピングレベルで点灯する方式を採用しています。これにより常にアンプの直線増幅領域で使用する事が可能です。
脚部には焼結金属、アルミキャップ、ウレタンパッドの3層構造インシュレーターを採用しています。
機種の定格
型式 | モノラルパワーアンプ |
ダイナミックパワー | 1.1kW(1Ω) 900W(2Ω) 650W(4Ω) |
定格出力(20Hz~20kHz) | 270W(8Ω) 330W(6Ω) 420W(4Ω) |
全高調波歪率 | 0.002%(8Ω、出力135W、20Hz~20kHz) |
混変調歪率 | 0.002%(60Hz:7kHz=4:1、出力135W、8Ω) |
出力帯域幅 | 5Hz~80kHz(出力135W、0.02%、8Ω) |
周波数特性(ライン入力) | 1Hz~300kHz +0dB -3dB(Normal & Balance) |
入力感度/入力インピーダンス | Normal:1V/25kΩ Balance:1V/10kΩ |
出力インピーダンス | 0.1Ω |
出力端子 | AorB:4Ω~16Ω A+B:8Ω~16Ω |
スルーレイト | ±500V/μs以上 |
表示機能 | インプットインジケーター(Normal/Balance) ピークインジケーター スピーカーインジケーター プロテクトインジケーター |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 300W(電気用品取締法) |
外形寸法 | 幅310x高さ207x奥行456mm |
重量 | 19.5kg |