オーディオの足跡

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POA-3000の画像
 解説 

POA-3000のトータルイメージを踏襲しつつ最新のハイテクノロジーを投入して開発されたステレオパワーアンプ。

POA-8000などで開発した無帰還技術を応用・発展させたデュアル・スーパー無帰還回路を搭載しています。
この方式ではパワー段のNチャンネルとPチャンネルの各トランジスタで相互に歪みを除去しあうディストーションサーボ回路(A2、A3)と、スピーカー出力に現れるトータルな歪を除去するディストーションサーボ回路(A1)の3つのサーボアンプで構成されています。
サーボアンプA2とA3は出力パワーステージを構成するNチャンネルとPチャンネルの各トランジスタから発生する歪成分を分離して検出して入力信号と比較し、歪成分のみを位相反転してNチャンネルトランジスタの歪成分をPチャンネルに、Pチャンネルの歪をNチャンネルに加え、各チャンネルの出力端で相互に加算・除去しています。また、サーボアンプA1では最終出力段において入力信号と出力信号を比較してオーバーオールに歪み成分を除去しています。
この構成により、完全に負帰還ループを不要としながらNFB方式を凌ぐ低歪率(高調波歪0.002%、混変調歪0.0015%)を達成しています。また、NFB回路が無いためスピーカーからの逆起電力の影響を受けず、スピーカー接続時にも歪みの増加がありません。

無帰還方式に加え、ft200MHzの高速トランジスタを用いたプリドライバー段を持つ3段ダーリントン接続パワーステージやディストーション・サーボ回路の高速化、ダイレクトDCサーボ回路採用の全信号経路の完全コンデンサーレス(完全DC構成)による信号経路の高純度化などによって、限界値とも言えるハイスルーレート±500V/μsecを達成しています。

出力段にはPc130Wの大容量高速パワートランジスタを採用すると共に、4パラレル接続の余裕ある構成とする事で小出力時から大出力までハイクオリティな増幅をを実現しています。
また、独自のバイアス回路による安定度の高いノンスイッチング方式を採用する事でスイッチング歪の発生を解消するとともにクロスオーバー歪の低減化を図っています。

電圧増幅段はローノイズFETによるカスコードブートストラップ付き差動入力を初段に採用した3段差動増幅回路を基本構成としており、プリドライバー段にはft120MHzの高速トランジスタによるカレントミラー負荷パラレル差動増幅、ファイナルエミッタフォロワー段はPc25Wの大容量トランジスタをダーリントン接続する構成となっています。
さらに、このステージは大型トロイダルトランスの二次側から供給される左右独立の160Vの高圧電源をスイッチング歪を解消するファストリカバリーダイオードなどの高速整流回路によって定電圧化した上で左右チャンネルを別々にドライブする構成となっています。これによりプリドライバー段での広ダイナミックレンジ化と安定化を図っています。

電源部には大型トロイダルトランスを採用すると共に、新たにオーディオ用に開発された112,000μFの大容量ブロックコンデンサや大容量10A級整流器などで構成しています。
トロイダルトランスの二次側は5巻線となっており、パワー段のL/R各チャンネル、ドライバー段のL/R各チャンネル、制御回路の5つのブロックに電力を供給しています。このため電源部はプリドライバー段やパワー段を通して完全モノラルコンストラクションとなり、電源を介しての左右の干渉を抑えて安定性を高めています。

増幅回路の性能が高くなるとアースの処理方法が重要な要素となります。そこで、POA-3000Zではコンデンサー部の従来のコモンプレートに極ローインピーダンスのブリッジを加えたフローティングロード回路を採用しています。
これにより電源リップル電流による歪の発生やリップル電流のアンバランスによって生じるスパイクノイズを低減しています。

内部レイアウトは電源部の完全モノラル構成の長所を生かし、電源トランスを中心に左右チャンネルを完全に対称としています。
また、トランスの二次巻線以降はプリドライバー/パワー段をはじめ、ブロックコンデンサーさえも左右独立の構成としています。

フロントパネルは大型ピークレベルメーターと自己診断ディスプレイを備えたデザインを採用しています。
また、側面には鏡面仕上げのサイドウッドを採用しており、プリアンプPRA-2000Zとデザインが統一されています。

内部の動作状態は、ヒートシンクの異常温度検出、左右各チャンネルのパワー段の動作状態などを順に自己診断し、その状態をフロントパネルの中央にあるディスプレイで表示します。
電源投入後、約10秒で正常動作をインジケートします。

CDプレイヤーやHiFiビデオ用としてデジタル・オーディオ専用の入力端子を搭載しています。 この端子には40kHzハイカットフィルターを装備しています。

プリント基板には誘電率約-30%、絶縁抵抗約1,000倍のハイグレードプリント基板を採用しています。

機種の定格
型式 ステレオパワーアンプ
定格出力(両ch駆動、正弦波出力、20Hz~20kHz) 300W+300W(6Ω)
250W+250W(8Ω)
全高調波歪率 0.002%以下(20Hz~20kHz、定格出力-3dB、8Ω)
混変調歪率(60Hz:7kHz=4:1、定格出力相当振幅出力、8Ω) 0.0015%以下
TIM歪率 測定限界以下
出力帯域幅(両ch駆動、8Ω) 5Hz~80kHz(THD 0.01%)
周波数特性 1Hz~300kHz +0 -3dB(1W出力時)
入力感度/インピーダンス Normal in:1V/18kΩ
High cut filter in:1.41V/25kΩ
出力インピーダンス 0.08Ω(1kHz)
S/N比(Aカーブ・ウェイティング) 123dB
スルーレート ±500V/μsec
High cut filter特性 40kHz、6dB/oct
スピーカー負荷 6Ω~16Ω
サブソニックフィルター特性 16Hz、6dB/oct
レベルメーター特性 指示方式:ピーク値指示方式出力レベルメーター
指示範囲:-50dB~+5dB(0dB=200W/8Ω)
周波数特性:10Hz~100kHz +0 -3dB(1W出力時)
自己診断機能 異常温度上昇、L/R動作状況診断の各表示
電源電圧 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 400W(電気用品取締法)
外形寸法(ツマミ、端子、脚含む) 幅493x高さ199x奥行480mm
重量 30kg