解説　

PMA-850の改良型にあたるプリメインアンプ。

各増幅段には対称型(Fully Complementary)プッシュプル回路を採用しています。
この方式ではPNP、NPNバイポーラトランジスタで構成しており、従来の方式に比べてトランジスタなどの部品数が多くなりますがNFBに依存する事なく伝送特性を向上させる事が可能となっています。これにより、裸特性に優れた対称型プッシュプル回路と負帰還技術によって伝送特性を向上させ、S/N、周波数特性、ダイナミックレンジ、位相特性、過渡的混変調歪を改善しています。

パワートランジスタにはハイスピードなスイッチング特性を示すPc100WのEBT(エミッターバラストトランジスタ)をパラレルで使用しており、十分な余裕を持たせた設計を行うことで、4Ω負荷まで広帯域にわたって歪の低減を図っています。

パワーアンプ部にはA級/B級動作切換方式を採用しています。
これにより高能率スピーカーから低能率スピーカーまで幅広い組み合わせで力を発揮できます。

電源部には大型トロイダルトランスと10,000μFx2+2の大容量ブロックコンデンサーを採用しています。

MCカートリッジ専用のヘッドアンプを搭載しています。
このアンプは低雑音バイポーラトランジスタを初段に16石構成のヘッドアンプで高いS/N歪率を実現しています。

イコライザーアンプ部は90dBのS/Nと高利得(42dB)高出力(25V)を実現しています。
さらに歪の低減化を図ると共に、RIAA偏差は±0.2dB以内の高精度を誇っています。

PMA-850IIでは中間コントロール部を必要としない場合は主回路からコントロールアンプを完全に切り離すことができ、イコライザーの出力で直接パワーアンプをドライブできます。
また、トーンコントロール回路はBass Treble共にツマミの指示がDefeatの位置で完全なフラットアンプとなり、その他の指示位置では連続可変では音質調整が可能です。

イコライザーの出力で直接パワーアンプをドライブしている状態から必要に応じてフィルター回路をパワーアンプ前段に挿入することができます。

位相特性やセパレーション特性を重視した内部構造となっています。

ボリュームには信頼性や精密度の高い連続可変ボリュームを使用しています。

MC入力端子には金メッキ端子を使用しています。

機種の定格

型式	プリメインアンプ
定格出力(両ch駆動、20Hz～20kHz、0.01%)	A級動作時:22W+22W(8Ω) B級動作時:100W+100W(8Ω)
出力帯域幅(IHF、8Ω)	A級:5Hz～100kHz(THD 0.02%) B級:5Hz～100kHz(THD 0.05%)
入力感度/インピーダンス	Phono MM:2.5mV/50kΩ Phono MC:0.37mV(Rs=40Ω) Tuner：320mV/40kΩ Main in:1V/50kΩ
SN比/許容入力	Phono MM:90dB/200mV Phono MC:74dB/30mV(Rs=40Ω) Tuner:105dB Main in:122dB/1V
全高調波歪率	MM-Rec out:0.01%(出力25V時) Tuner-Pre out:0.003%(出力3V時)
周波数特性	RIAA偏差:20Hz～20kHz ±0.2dB Tuner-Pre out:5Hz～100kHz +0 -1dB Main-SP:DC～100kHz +0 -1dB(0.5W、8Ω)
トーンコントロール	Bass:±8dB(100Hz) Treble:±8dB(10kHz)
フィルター特性	Subsonic filter:20Hz、12dB/oct High cut filter:7kHz、6dB/oct
電源	AC100V、50Hz/60Hz
消費電力	250W(電気用品取締法)
外形寸法	幅434x高さ164x奥行400mm(脚、ツマミ、端子含む)
重量	18kg