AUDIO CRAFT AR-110
¥350,000(1983年頃)
解説
メカニカルフローティングシステムを採用したアームレスレコードプレイヤー。
フローティングシステムは、スプリングを主体に、振動係数の異なる弾性体の緩衝材との組み合わせで構成されており、音質と使い勝手の両方を考慮したサスペンション設定にチューニングされています。さらに駆動モーターはフローティングデッキから分離することでモーターの振動が伝わるのを防いでいます。
また、3点支持のフローティングデッキは厚肉アルミ合金鋳物による黒の艶消し仕上げとなっており、デッキ裏面のアームボード真下の位置にはラスク吸振材を装着することで、外部からの微振動などを低減しています。
ターンテーブルはアルミ合金製で、直径30cm、重量3.2kgとなっています。このターンテーブルと直径15mmのシャフトは、嵌合の後に一体研磨する工作精度の高い方式を採用することで正確な水平・垂直を確保しています。さらに、シャフトと軸受けは充分に長さを取り、ターンテーブルのガタツキや緩みを防止しています。また、軸受オイルには基音による粘度変化の少ない、特殊合成潤滑油を採用しています。
ターンテーブル裏面には質量のあるウッドリングを内蔵しており、慣性モーメントの向上を図るとともにターンテーブルの鳴きに起因する金属的な響きを抑制しています。
ターンテーブルシートには新開発のオリジナル高導電性フェルトマットを採用しています。
厚さ5mmのオリジナルマットによって高い帯電防止効果を得ており、静電気の発生を抑えてスクラッチノイズを減少させています。
駆動方式にはベルトドライブ方式を採用しており、駆動ベルトにはネオプレン製ベルトを採用しています。
このベルトは表と裏、両サイドの4面に研磨が施されています。
駆動モーターにはDCサーボモーターを採用しています。
モーター部はダンパー材を介することで回転による微振動を吸収しています。
電源部にはリーケージを少なくした特注品のトランスを採用しています。
ストロボスコープを搭載しており、+12%~-6%の速度微調整が可能です。
キャビネット部はモノコック構造となっており、特に底板には35mm厚のものを採用しています。また、4隅の脚を取り外す事でフラットな底面が得られます。
デッキの水平調整はボード真上から3本のビスを回すことで調整できます。
AR-110は、設計段階からラスク吸振材との併用が考慮されており、広い接触面の確保が可能となっています。
ラスクインシュレーターはダンピングキャパシティの大きい特殊なネズミ鋳鉄を使用することで高い吸振・吸音効果を得ています。AR-110にはI-5040mkIIが最適となっています。
機種の定格
型式 | アームレスプレイヤー |
駆動方式 | メカニカルフローティング・ベルトドライブ |
モーター | ブラシレスDCサーボモーター |
ターンテーブル | 30cmアルミダイキャスト製、3.2kg |
慣性モーメント | 470kg・cm2 |
定格回転数 | 33・1/3、45rpm |
回転数微調整範囲 | +12%~-6% |
ワウ・フラッター | 0.03%以下(WRMS) |
SN比 | 60dB(JIS) |
装着可能トーンアーム | 実効長245mmまで |
電源 | AC100V、50Hz/60Hz |
消費電力 | 10W |
外形寸法 | 幅500x高さ250x奥行450mm |
重量 | 20kg |
別売 | トーンアームスペアボード A-11(¥8,000) スペアベルト B-10(¥2,200) チャッキング・ディスクスタビライザー SD-600 |