Accuphase P-500
¥510,000(1985年5月発売)
解説
オーディオ新時代に向け、アキュフェーズ伝統の技術を投入し開発されたステレオパワーアンプ。
音楽信号の急激な変動や、時々瞬発するパルス性の信号にも対応するため、大出力化を図っており、出力段はコレクター損失Pc150Wのトランジスタを6パラレル・プッシュプル、計12個/chで構成しています。
出力段のパワー効率を70%とすると理論的限界出力は4,200Wとなります。そのため、定格最大出力を取り出しても十分な余裕を持ち、出力段の安全性を向上させています。
出力段で生じる小出力時のスイッチング歪を抑えるため、PNP、NPNそれぞれの素子が入力信号によってカットオフにならないよう動作点を厳密に設定しています。
そして、終段をドライブする前段はノンスイッチングA級ドライブと等価なMOS
FETを採用し、カスコード・プッシュプルで構成しています。また、このMOS FETに信号を送る前段もA級カスコード・プッシュプルとしています。
これによりノイズ領域の小出力から定格出力の大出力まで、歪の少なく、負荷に対しても安定した出力段を構成しています。
入力回路はカスコード・ブートストラップ・プッシュプル回路を構成しています。
カスコード・ブートストラップ回路は高利得で高周波特性に優れ、入力インピーダンスの変動に対しても歪率の悪化がないという特徴を持っています。
この回路をプッシュプルで構成することで、広帯域ドライブ段と相まって、NFループ内の素特性を向上しています。
入力部には直結方式を採用しています。
また、DCドリフトの大きいプリアンプ等が接続された際にそれが増幅され、スピーカーが破損してしまうのを防ぐため、アキュフェーズのオリジナルであるDCサーボ方式によって直流をカットするとと共に、温度変化によるアンプ自体のDCドリフトも安定化させています。
通常の20kΩフォノジャック入力の他に、本格的な40kΩ平衡入力を搭載しています。
10Hz以下をカットするサブソニック・フィルターを搭載しています。
良質な素子により音質劣化をなくし、可聴帯域に影響を与えない周波数に設定されています。
dBと出力ワットを直読できる指針式メーターを搭載しています。対数圧縮式により、-60dB~+3dBの広いパワーレンジを直読できます。
また、メーターの作動と照明を切るスイッチも内蔵されています。
ブリッジ接続切り替えスイッチにより、モノラルパワーアンプとしての使用が可能です。
機種の定格
型式 | ステレオパワーアンプ | ||||
連続平均出力 (20Hz~20kHz、 歪率0.02%) |
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全高調波歪率 |
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IM歪率(SMPTE-IF) | 0.003% | ||||
周波数特性 |
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ゲイン(利得) | 28.0dB(ステレオ・モノラル共) | ||||
負荷インピーダンス | ステレオ仕様時:2Ω~16Ω モノラル仕様時(ブリッジ接続):4Ω~16Ω |
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ダンピング・ファクター (50Hz) |
ステレオ仕様時:500 モノラル仕様時(ブリッジ接続):250 |
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入力感度(8Ω) |
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入力インピーダンス | 20kΩ不平衡 40kΩ平衡 |
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S/N(A補正、 ステレオ・モノラル共) |
120dB(入力ショート、連続平均出力時) 100dB(入力1kΩ、1W出力時) |
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サブソニックフィルター | 10Hz、-18dB/oct | ||||
出力メーター | 対数圧縮型 -60dB~+3dB及び出力直読目盛 |
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使用半導体 | トランジスタ:82個 FET:10個 IC:8個 ダイオード:79個 |
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電源 | AC100V/117V/220V/240V、50Hz/60Hz | ||||
消費電力 | 115W(無入力時) 840W(電気用品取締法) 850W(8Ω負荷定格出力時) |
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外形寸法 | 幅481x高さ218(脚含む)x奥行445mm | ||||
重量 | 33.5kg |