オーディオの足跡

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C-290Vの画像
 解説 

C-290で確立したバランス伝送技術をベースに、カレント・フィードバック増幅回路を採用し、アナログ・プリアンプの集大成として、さらに全回路の完成度を高め最高峰を目指したコントロールアンプ。

出力信号を電流の形で帰還する電流帰還型増幅回路を採用しています。
この回路では、帰還側の入力端子のインピーダンスを下げて電流を検出し、その電流をトランス・インピーダンス増幅器でI-V変換し出力信号を作り出しています。帰還入力部分のインピーダンスが極めて低いため、位相回転が発生し難く、位相保証の必要が殆どありません。このため、少量のNFBで諸特性を大幅に改善でき、立ち上がり等の動特性に優れ、音質面でも自然なエネルギー応答を得ています。

ブリッジ・フィードバック方式のバランス出力回路を搭載しています。
バランス伝送は、互いに位相が反転した正負対称信号を同時に送る方式で、コモンモードの雑音成分を除去する能力に優れています。
C-290Vでは、2組のアンプのそれぞれの出力を相手側にフィードバックするたすき掛けの関係にあり、+−の対称信号を低いインピーダンスで送り出しています。この回路では、+−の対称信号がグラウンドからフローティングされているため、出力の片側をアースしても両方のアンプが作動して、出力電圧が変化しません。

ラインアンプ部は、ピュア・コンプリメンタリー・プッシュプル回路で、これをカレント・フィードバック増幅回路によるディスクリートパーツで構成しています。これにより各段の位相補償を軽くしています。

信号伝送回路には、テフロン基材(ガラス布フッ素樹脂)によるプリント基板を採用しています。
この材料は、最も低い比誘電率と誘電正接をもち、耐熱性や高周波特性が優れ、主にSHF帯を使用する衛星放送や高精度計測器などに使われています。
プリント基板は、誘電率が低いほど信号の伝播速度は速くなり、誘電正接が小さいほど伝送損失が小さくなります。C-290Vでは銅箔面に金プレートを施し、さらに音質の向上を図っています。

電源トランス、フィルターコンデンサとも左右独立し電気的に完全にモノラル構成となっています。さらに全ユニットアンプに広帯域低インピーダンス電源を搭載し、アンプ間の相互干渉を徹底的に防止しています。
電源トランスには、周波数特性の優れたアモルファス・コアを採用しています。アモルファス(Amorphous)は、溶融金属を超急冷することにより得られる合成薄帯で、結晶構造を持たない非結晶金属となってます。このため結晶構造金属に比べて磁気的・機械的に優れた性質を示し、オーディオ用として優れた特性・特長を備えています。

ボリュームにはCP(コンダクティブ・プラスチック)素子を抵抗体に採用した4連ボリュームを採用しています。
CP抵抗体は抵抗素子を印刷後、高温加圧成形することにより表面は鏡面状に仕上げられた低接触抵抗、低歪率の素子です。
直径8mmの極太真鍮シャフトをアルミ切削軸受けで支持し、4子の素子をそれぞれ高精度アルミ切削ケースに収納して完全なシールドを施し、音質の向上を図ってます。
可変方式は連続可変型で、トラッキングエラーは-60dBの位置で、実測0.5dB以内となっています。

最短でストレートな信号伝送を構成するため、ロジックリレーコントロール方式を採用しています。
これに使用するリレーには通信工業用の密閉形リレーを採用しており、接点は金貼り・クロスバーツイン方式で、低接点抵抗・高耐久性を得ています。

アンプ回路は、ライン入力、バランス出力など左右合計4ユニットアンプで構成されており、それぞれに専用電源部を搭載しています。
これらのユニットアンプが干渉するのを防止するため、厚手のアルミハウジングに収納しています。

入力はRCAフォノジャックが9系統、バランス入力が3系統搭載しています。また、出力は6系統を備えています。

左右のバランス・コントロールは、左右の押しボタンでそれぞれ0から-6dB及び-∞まで変化させる、1dBステップのアッテネーターを採用しています。パネル面のディスプレイ上に表示されます。

アナログ・レコードの再生にも対応するため、別売りの専用フォノイコライザーユニットAD-290Vをリアパネル側より増設することでレコード再生にも対応しています。
AD-290Vではプリント板の材質にテフロン基材(ガラス布フッ素樹脂)によるプリント基板を採用しており、頑丈なアルミケースに収納することで外部の影響を防いでいます。
回路構成は全回路対称型プッシュプルで構成されており、MM/MCそれぞれのカートリッジにマッチした専用入力回路を備えています。MM入力時は高S/NのFET素子で構成しており、MCは微小信号を低インピーダンスで受けるため、低雑音素子による差動入力回路を構成し、雑音の少ない再生を可能にしています。
MC入力インピーダンスは3種類が選択可能です。また、利得もカートリッジの出力に合せてMC/MMそれぞれ2系統が選択できます。これらの切替えはC-290Vのパネル面で行えます。

C-290で使用したフォノイコライザーユニットAD-290とも互換性があり、C-290Vに使用することが可能です。

機種の定格
アナログ・ディスク特性はAD-290V増設時を示す
型式 ステレオコントロールアンプ
周波数特性
Balanced、Unbalanced: 3Hz~300kHz +0 -3.0dB
20Hz~20kHz +0 -0.2dB
AD MM/36dB、MC input:20Hz~20kHz ±0.2dB
AD MM/30dB input:20Hz~20kHz ±0.3dB
全高調波歪率 0.005%
入力感度/インピーダンス
(定格出力/0.5V出力)
AD MM/30dB:8.0mV/2.0mV/47kΩ
AD MM/36dB:4.0mV/1.0mV/47kΩ
AD MC/62dB:0.2mV/0.05mV/10Ω、30Ω、100Ω切替
AD MC/68dB:0.1mV/0.025mV/10Ω、30Ω、100Ω切替
Balanced:252mV/63mV/40kΩ
Unbalanced:252mV/63mV/20kΩ
定格出力/インピーダンス Balanced、Unbalanced output:2V/50Ω
Tape rec(AD入力時):252mV/200Ω
S/N、入力換算雑音
入力ショート・A-補正 EIA S/N
定格出力時 S/N 入力換算雑音
AD MM/30dB: 94dB -136dBV 86dB
AD MM/36dB: 90dB -138dBV 86dB
AD MC/62dB: 80dB -154dBV 85dB
AD MC/68dB: 75dB -155dBV 85dB
Balanced: 111dB -123dBV 95dB
Unbalanced 111dB -123dBV 95dB
最大出力レベル
(歪率 0.005%、20Hz~20kHz)
Balanced、Unbalanced output:8.0V
Tape rec:9.5V
AD最大入力電圧
(1kHz、歪率 0.005%)
MM(30dB/36dB) input:300mV/150mV
MC(62dB/68dB) input:7.5mV/3.75mV
最小負荷インピーダンス Balanced、Unbalanced output:600Ω
Tape rec:10kΩ
ゲイン Balanced、Unbalanced input → Balanced、Unbalanced output:18dB
Unbalanced input → Rec output:0dB
AD MM(30/36dB) input → Balanced、Unbalanced output:48/54dB
AD MM(30/36dB) input → Rec output:30/36dB
AD MC(62/68dB) input → Balanced、Unbalanced output:80/86dB
AD MC(62/68dB) input → Rec output:62/68dB
コンペンセーター
(Volume -30dB)
1:+3dB(100Hz)
2:+8dB(100Hz)、+6dB(20kHz)
サブソニックフィルター 10Hz、-18dB/oct
アッテネーター -20dB
電源 AC100V、50Hz/60Hz
消費電力 24W
最大外形寸法 幅469x高さ160x奥行405mm
AD-290V増設時:奥行414mm
重量 23.8kg
AD-290V増設時:24.8kg
別売 フォノイコライザーユニット AD-290V(¥200,000)